関西学大に勝利 “正月“超えさらに前へ/全国大学選手権

2025.12.21

 ついに『完遂』への最後の戦いが始まった。明大は全国大学選手権(選手権)の初戦を迎え、関西学大と対戦。関西学大の力強いプレーに苦戦する明大だったが、粘り強く戦い抜き、試合終盤に突き放す。最後は関東大学対抗戦(対抗戦)を制した貫禄を見せつけ、46-19で関西学大を下した。

◆全国大学選手権 準々決勝(秩父宮ラグビー場)

▼対関西学大戦

〇明大46{22-14、24-5}19関西学大

 明大は序盤から多彩な攻撃を仕掛けていく。前半2分、相手陣22メートルラインでラインアウトのチャンスを得ると、モールからBKへ展開。スクラムハーフ柴田竜成(営4=秋田工)が右ウイング白井瑛人(商2=桐蔭学園)へのショートキックを繰り出す。惜しくもトライとはならなかったが、続く前半6分に再びラインアウトから攻撃を仕掛ける。モールからBKへ展開すると、スタンドオフ伊藤龍之介(商3=国学院栃木)からフルバック古賀龍人(商1=桐蔭学園)、そして白井へとロングパスがつながり先制トライを挙げた。「BKで精度高く取り切れたのは良かった」(白井)。流れに乗りたい明大だったが、続くキックオフ後の攻撃では得点の機会に恵まれず。逆に連携ミスを突かれ自陣ゴール前5メートルラインまで攻め込まれてしまう。トライラインを背に粘る明大だったが、ラックサイドのスキを突かれ14分にトライを許してしまう。さらに21分にも同様の形でトライを奪われ、5-14とリードを許した。しかし、ここから明大の反撃が始まる。前半25分、左ウイング阿部煌生(政経2=流経大柏)の2度のハイパントキャッチで関西学大のディフェンスを崩すと、伊藤龍が相手の裏へ短くキックを放つ。トライエリアに転がったボールを古賀龍が抑え、平翔太主将(商4=東福岡)のコンバージョンキックも決まり12-14とした。続く27分、ハーフウェイライン付近でのラインアウトを獲得すると、伊藤龍が得意のランでブレーク。阿部との連携で一気に相手陣トライライン5メートル前まで攻め込むとFWでフェーズを重ね、最後は左フランカー楠田知己が相手を引きずりながらトライを決めた。平翔のゴールも決まり19-14。さらに前半35分、この試合のファーストスクラムを圧倒しペナルティーを獲得。平翔が冷静にペナルティーゴールを決め、22-14とリードを広げる。8点差を守り抜いて試合を折り返した。

 後半は苦しい時間が続いた。立ち上がりのキック合戦を有利に進め攻撃を展開するもノットリリースザボールの反則を取られる。相手のラインアウトの乱れから右センター東海隼(情コミ4=光泉カトリック)がブレーク。相手の反則を誘い相手陣ゴール前5メートル地点でラインアウトのチャンスを得るも、モールを押し返され得点にはならず。両者一歩も引かぬ攻防が繰り広げられ、後半60分近くまで膠着(こうちゃく)状態が続いた。戦況が動き始めたのは後半62分。自陣での相手ボールラインアウトからモールを押し込まれトライを許し、3点差に詰め寄られてからだった。キックオフ後の攻防の中で左ロック亀井秋穂(政経3=長崎北陽台)のビックタックルがさく裂。さらに65分、相手陣22メートルラインでのラインアウトからモールを大きく押し込むと、途中交代の高比良恭介(政経2=東福岡)がモールから抜け出しトライ。平翔のキックも決まり29-19とした。勢いづいた明大はさらにテンポよく攻撃を展開していった。平翔の技ありのパスで相手を翻弄し、スペースが開けば途中交代の萩井耀司(商2=桐蔭学園)がキックを蹴りこんでいく。そして後半70分、相手陣深くでの攻防から、相手のパスをインターセプトした高比良が追加のトライを挙げた。明大の猛攻はまだまだ止まらない。75分、白井のキックからラックで相手に圧力をかけディフェンスを引きはがすと、途中交代で選手権デビューとなった田中景翔(文3=常翔学園)がボールを持ち出し自らゲイン。ボールを受け取った白井がトライエリアに飛びこんだ。「いい感じにエリアを取れて、自分のキックからトライに繋げられた。そういったプレーをこれから増やしていきたい」(白井)。78分には萩井の好タックルからブレークダウンでペナルティーを獲得。ラインアウトからモールを押し込んで右フランカー大川虎拓郎(法3=東福岡)がダメ押しのトライを挙げた。そして、80分のホーンが鳴り響いた後も続いた関西学大の粘り強い攻撃にも集中力を切らさずディフェンスでしのぎ切りノーサイド。後半に相手を突き放しての勝利となった。

 大学日本一を懸けた選手権の初戦を白星で飾った明大。中盤までは相手のプレッシャーに押される場面もあったが、終盤に立て直し得点を重ねた。「関西学大さんのアタックもとても素晴らしいものだったが、その前に自分たちのパスやランコースが疎かになっていて準備してきたものを出せていなかったのが1番大きかった。後半最後の20分でしっかり修正でき、しっかり自分たちで考えて、試合中に流れを変えられたのは今回の良かった点だと思う」(大川)、「選手権の何が起きるかわからない中で、しっかり自分たちの強み、プランを遂行できたのは良かったが、途中で細かいミスがあったり精度が疎かになっていた部分もあった。しっかり切り替えて、次の試合に向けてこの先もひたむきに頑張っていきたい」(平翔)と、課題と収穫を手に準決勝へと駒を進める。「自分たちが何か大きく変えることはなく、もう1回精度や全員の理解度を上げていく時間になる。相手の分析をして、対応するところを考えて、しっかり取り組んでいきたい」(伊藤龍)。『完遂』の戦いはここからが正念場。新年の国立へ、迷いなく進んでいく。

[加藤晃誠]