全日本選手権展望(男子編)

 12月19日、いよいよ全日本選手権(全日本)が開幕する。毎年年末に行われる今大会は国内最大規模の大舞台であり、今年度は各地方のブロック、東西選手権などを勝ち抜いた精鋭たち30人が集結した。また、2025-26シーズンの今大会は、来年2月に控えているミラノ五輪への代表選考も兼ねており、注目度も高い。明大からは佐藤駿(政経4=埼玉栄)、三浦佳生(政経2=目黒日大)、周藤集(政経1=ID学園)さらにはOBの大島光翔(令7政経卒・現富士薬品)がエントリー。明大の選手を中心に、全日本の見どころを紹介する。

五輪代表選考 熾烈な3枠目争い
 今大会は26年2月に行われるミラノ・コルティナ五輪の選考を兼ねる。日本が所持している男子シングルの出場枠は3枠。1枠目は今大会のシニア優勝者が自動的に内定となる。2、3枠目は今大会と国際大会での成績を基に選考される。男子の有力候補は鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)と佐藤。GPファイナル(グランプリファイナル)でそれぞれ2位、3位と結果を残し、代表選考で大きくリードしている。注目は熾烈(しれつ)な3枠目争いだ。三浦は友野一希(第一住建グループ)、壷井達也(シスメックス)、山本草太(MIXI)ら実力者と枠を争う。世界選手権への出場経験のある選手が名を連ねたハイレベルな戦いが予想される今大会に向け、三浦は「ただ自分のベストを尽くすこと。ベストを出せば勝てるという気持ちでいく」と意気込みを語った。最後に五輪の切符をつかむのは誰か。

(写真:調整をする三浦)

佐藤駿 初の表彰台と五輪内定なるか
 佐藤は今シーズンのGPシリーズ(グランプリシリーズ)中国杯で優勝、NHK杯で2位につけ、GPファイナル進出を決めた。12月上旬に行われたGPファイナルでは、FS(フリースケーティング)で自己ベストとなる194.02点を記録し、2年連続となる銅メダルを獲得。6月末に負った右足首の骨挫傷の影響で「10月末ぐらいまでは本当に完璧な状態ではなかった」と語るものの、ファイナルを含むGPシリーズ3戦の総合得点は平均、約285点と安定して好成績を残している。近年の国際大会ではGPファイナルや四大陸選手権でメダルを手にしてきた一方、全日本では2022-23シーズンの4位が最高成績。昨シーズンはジャンプが思うように決まらず、総合7位と悔しさを味わった。昨シーズンのリベンジを果たし、目標とするシーズンベストを更新することができれば表彰台、その先に五輪内定もついてくるはずだ。

(写真:衣装を着て確認を行う佐藤)

個性光る明大勢 周藤とOB大島に注目
 明大からは佐藤、三浦に加えて周藤が2年ぶりに出場する。前回はSP(ショートプログラム)でノーミスの演技を披露し、74.61点をマークして13位につけた。しかし翌日の公式練習で右足首を骨折。FSは棄権となった。悔しさを胸に挑む今大会は「FSも出て、いい順位を取って来シーズンにつなげていきたい」と意気込む。周藤はジュニア推薦枠からの出場となる。FSでは、ジュニアの要素にはないステップシークエンスに注目が集まる。

(写真:2年ぶりの全日本出場となる周藤)

 明大OBからは大島が出場する。18日に行われた開会式では赤いスーツ姿で登場し、会場を笑顔にさせた。SPは『Let Me Entertain You』でロックスターを演じ、FSは振付師ミーシャ・ジーさんとつくりあげた『Footloose』を披露する。ノリのある明るい曲調に乗せ、リンクを赤く染め上げる。

(写真:目を引くスーツで登場した大島)

[髙橋未羽]