目標の5位入賞も 来季へ課題残す/全日本大学対抗選手権
全日本大学対抗選手権(インカレ)が山梨市民総合体育館で2日間にわたって行われた。階級区分の変更に伴い、例年以上に調整が求められた今大会だったが、明大は目標としていた5位入賞を達成。個人では65キロ級の中野龍斗(政経3=水島工)、71キロ級の木村梁(営3=紀北工)が表彰台に登った。
◆12・13~14 第71回全日本大学対抗選手権(山梨市民総合体育館)
▼60キロ級
4位 深見(S105 J130 T235)
6位 角(S102 J 125 T 227)
▼65キロ級
3位 中野(S123 J141 T264)
5位 森本(S90 J120 T210)
▼71キロ級
3位 木村(S124 J150 T274)
▼79キロ級
9位 相馬(S123 J145 T268)
▼94キロ級
6位 新井(S133 J156 T289)
▼+110キロ級
8位 辻本(S129 J140 T269)
▼団体
5位 明大
※S…スナッチ、J…ジャーク、T…トータル
60キロ級では1年時から毎年インカレに出場している深見健(政経4=安曇川)とルーキーの角琉斗(政経1=札幌琴似工)がプラットフォームへ。深見はスナッチで5位発進となり「最近はジャークの方が調子が良かったので巻き返していこう」とジャークに挑んだ。2本目で130キロを成功させるが、挙上できれば逆転で3位となる135キロを失敗。「3位から5位の3人の戦いで、他2人はかなり前から階級が変わる準備をしていた中、自分は(10月の)国民スポーツ大会に向けてギリギリまで55キロ級で戦って、1か月半で60キロ級に挑戦するというビハインドがありながらも、ジャークの3本目が取れたら3位に入れたという、しっかり戦えるレベルまで持っていけたので個人的にはやり切れた、今自分ができることは出し切れたと思う」と4位という結果を前向きに受け止めた。
角は、スナッチの1本目で97キロを挙上するも、2本目の102キロは持ち上げ切れず。しかし3本目で同重量に挑戦すると見事成功させ、笑顔を見せた。ジャークでは125キロを挙上。「55キロ級から60キロ級に階級を上げての出場だったが、55キロ級の時に持っていた記録を(スナッチ、ジャーク)両方とも3から5キロ上回る結果になって、自分が任せられたチームとしての役割は果たせた」と達成感を語った。


「(重量を一気に上げることは)今回が初めてだったので、軽い重量から重い重量への気持ちの持っていき方がまだまだ甘かった」(森本凌功・営4=紀北農芸)。森本はスナッチ、ジャークともに当初設定していた重量から大きく下げて1本目を迎え、いずれも成功。2本目以降は重量を約15キロ引き上げ「自分の挑戦したかった重量に挑戦した」が、挙上することはできず、5位で最後のインカレを終えた。
今年度、出場した大会で3本のスナッチを全て成功させてきた中野。今大会でも1、2本目では安定した試技を披露したが、3本目の128キロはバーベルを前に落とし挙上し切れず「最後の最後でミスしたのが自分の中で一番悔しい」と振り返った。切り替えて挑んだジャークでも2本目までは危なげなく挙上。3本目は自己ベストを超える146キロに挑んだが、クリーンできずトータルで3位に。「この1年間で2位の小林光星選手(法大)に毎回負けていて、しかもスナッチは勝ってジャークで逆転されるのが恒例なので、この恒例を次の大会までにはなくしたい」と来年度への決意を語った。


71キロ級には木村が出場。「いざ本番でプラットフォームに立った瞬間に少し感覚がおかしくなって、ふわふわした状態になった」とスナッチの1本目を失敗するも、連続試技となった2本目を成功させる。ジャークでは3本目の150キロを挙げ雄たけびを上げるも、強者ぞろいの中で3位入賞にとどまった。79キロ級の相馬来輝(政経4=柴田)はスナッチを3本連続で成功させ、会場を沸かせる。ジャークは3本目こそ失敗するも1、2本目を挙げ「自己ベストの重量を触れたので100点に近い試合だった」と悔いのない試技となった。
94キロ級に出場した新井陽生主将(政経4=尼崎工)はスナッチで自己ベストとなる137キロに挑戦するも失敗し、133キロという結果になった。ジャークは「今までクリーンでつまることがあってもジャークで失敗するということがほとんどなかったので、最後の最後で自分の強みを生かしきれなかった」と1、2本目を落としてしまうも3本目で2本目よりも1キロ増やし、156キロを成功させる。最終日は辻本侑矢マキシム(法3=家島)が+110キロ級に出場。スナッチの1本目を成功させるも2本目を落とすと「気持ちが落ち込んでしまって、結果として焦って落としてしまった」と3本目も落としてしまい、129キロという結果になった。ジャークでは1本目の140キロを挙げると目標だった160キロに挑戦するも失敗。「何もできなかった」と悔しさの残る大会となった。しかし明大は木村や中野が表彰台に上がる活躍を見せ、目標としていた団体5位入賞を果たした。
今大会で4年生は引退となった。「苦い思い出は山ほど経験したが、楽しかったという一言に尽きる。後輩たちは最後の3本目を取り切れる選手になってほしい」(新井主将)。今大会では中野や木村など3年生の活躍や角が1年生ながら爪痕を残すなど後輩の活躍は際立った一方で4位の東国大には大差をつけられ課題を残す大会となった。来年度以降の明大ウエイトリフティング部の躍進に期待が高まる。
[塩谷里菜、重見航輝]
試合後のコメント
深見
――監督やコーチからどのような声を掛けていただきましたか。
「自分が結構肩とか足とか痛めていたので、おそらく心配はされていたと思うのですが、監督からは『お前が4年間頑張ってきた姿を知ってるし、お前が今まで頑張ってきたものは裏切らないからな』と言われて、練習ができなくて焦っていた中で自分が今までやってきたことを信じるという、その言葉がすごく刺さって、自分が今までやってきたんだから大丈夫という気持ちで落ち着いて、試合前に焦ることなく取り組むことができたと思います。セコンドは川上コーチ(川上直哉コーチ・令6政経卒)についてもらったのですが、すごく気さくに話しかけてくださって、すごくやりやすい中でできて、ほんまにいろいろ声を掛けていただきました」
――4年間の振り返りをお願いします。
「そうですね。個人的には4年間インカレに出させていただいて、結局1年生の時が一番点数を稼いでいたということで、なんかパッとしないというか(笑)。不思議な気分やなとは思うのですが、4年間インカレに出させていただいて、すごくいい経験になったというか、他のところでやっていたらどうだったのかというのは分からないですけど、この4年間でウエイトに対する向き合い方とか、ウエイト以外のものに対する考え方というのはすごく成長したと思っているので、自分的にはしっかりこの4年間でウエイト面でも人間面でもすごく成長できた、成長させてもらえた4年間だと思うので、充実した4年間を過ごさせていただいたなと思っています」
角
――夏から秋にかけて重点的に行ったことを教えてください。
「自分の中では次のステップに進むための技術はそこそこ足りていると思っていて、あと体づくりが足りないと思っていました。そのための筋トレとかスクワットとか、体の強化です」
――残りの3年間でどういった選手になりたいですか。
「今3年生がもうエースみたいな感じで、次の4年生の代は結構いい順位になれると思います。まず来年は次の4年生が主力になりながら2年生でチームに貢献して、3年生になったら上級生なので、そこからは『自分が引っ張っていくぞ』という気持ちでやっていきたいと思っています」
森本
――明大での4年間を振り返っていかがですか。
「下級生の頃はだいぶ厳しい指導を受けてきて苦しかったのですが、しっかりウエイトリフティングに集中させてもらえる環境や、監督であったりコーチ陣、OB、先輩方、後輩方、同期などに支えられて、自分という人間をしっかり持って4年間過ごしてこれたのかなと思います」
――成長したと思う部分はありますか。
「高校の頃はずっと親に甘えて生活してきたので一人で寮生活になって、自分のことを全部一人でやるという環境は最初は慣れなかったのですが、4年間で自立というところがすごく身についたのと、社会に出た時の知識だったり行動というのをしっかり教えていただけたので、そこはだいぶ成長できたかなと思います」
中野
――今大会から階級区分変更がありましたが、減量はいかがでしたか。
「過去イチしんどかったですね。でも自分は去年に比べて体ができているので、体ができているからこそ減量がしんどかったです。いつもは67キログラム級で大体2キロぐらいの減量だったのですが、今回は持ち体重も上がって、かつ自分の階級が下がったというところで大体5キロぐらい減量したので、そこの面でも正直体にはだいぶストレスはあったのかなと思います」
――1年間振り返っていかがですか。
「今年は去年に比べていい年になったのかなと自分的に思っていて、やはりスナッチの成功率は間違いなく今までのウエイト人生で一番良かったというので、それはフォームの改善がやはり大きかったのかなと思っています。あと、今年はやはり例年に比べて種目だったり補強だったりの伸び幅、伸び率が倍以上伸びていると思うので、前向きにウエイトできていて、改造もできているから、伸びていると言えるのかなと思っているので、来年はもっと伸ばして、なんとか一番を狙おうかなと思います」
新井主将
――目標の団体5位入賞を達成しました。
「目標としていたことを達成できたことは非常にうれしいです。自分は去年出て、目標の3位を達成できず7位で苦い思いをして今年こそは必ず目標を達成するぞという思いでこの1年やってきたので、インカレに出た選手のみんな、そしてそれを支えてくださった後輩たちや監督、コーチでなんとか目標を達成することができて、それに関しては非常にうれしいです」
――4年間で成長した点を教えてください。
「一つの目標に向かって努力できたことです。主将という立場と選手としても記録を取っていかなければいけない中で、食事制限や体調管理、生活習慣などいろいろ考えてウエイトに突き詰めてきた半年だったので、特にこの半年は自分の全てを背負い込んでこの大会に臨んだので、自分は本当に成長できたと思います」
相馬
――スナッチは3本連続で成功しました。
「自己ベストが122キロだったので、(3本目は)1キロ上の重量になるのですが軽く取れました。これで引退になってしまうのですがこの4年間を糧にして、これからも社会人でも頑張っていきたいなと思います」
辻本
――今大会で自分の中で見つかった課題などはありますか。
「大会が順調に進まなかった時に臨機応変にできないところが課題としてありますし、これから成長していく段階のところではあるなと思いました」
――4年生はどんな存在でしたか。
「1年生の頃は本当に厳しくて、でも優しい先輩でした。2年生に上がってからは後輩ができて、その目線での注意やいろいろな指導を改めてしていただきました。本当にいいところを見せてくださった先輩方だと思います」
木村
――来年度の意気込みをお願いします。
「やはり自分たちが一番上の学年になるので引っ張っていけるように、そして自分が1位を絶対に取れる選手になって明治を引っ張っていきたいと思います」
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