
尾川メイジ、グランドスラムの夢潰える/全日本大学選抜選手権
「仕上がりは良い」(株本コーチ)。拳士らは確かな自信を得ていた。尾川メイジ発足時から続いた地獄のような稽古。昨年度から増加したその稽古量が実を結び、東日本リーグでは2年ぶりの王座戴冠を果たした。「おれのやり方が間違っていないことが証明された」(尾川主将)。今団体戦へ向けたこの1カ月間は、優勝をつかみ取った拳にさらなる磨きをかけてきた。
準決勝で迎え撃つは団体インカレ連覇中の強豪・関大だ。だがこの大一番で下級生の詰めの甘さが露呈してしまう。平松(法1)、神田(理工2)共に、開始早々の面突きで一本を奪うも、「勝ち急いでしまった」(神田)と冷静さを失い、瞬く間にポイントを取り返され逆転負けを喫した。副将・岡部(文1)は勝って尾川主将に望みをつなげたいところであったが、得意の組み技に持っていけず、面突きをたたき込まれ敗北。優勝の夢は尾川主将の眼前ではかなくも崩れ去った。ショックを隠し切れない尾川主将はしばし立ち尽くし、その場から動くことができなかった。
残された3位決定戦へ向け、応援に駆け付けていたOBらからげきが飛ぶ。「3位を取って締めるぞ!」、「気合い入れてけ!」。最後は牧コーチの掛け声のもと、恒例の円陣。悔しさを振り払い、再び闘志をたぎらせ大商大戦に臨んだ。
先鋒戦には尾川主将が出場。左の前拳を中心に試合を組み立てていった。巨漢の相手に組み付かれるも粘り腰で寝技へ持ち込ませず、鋭い突きをたたき込みチームに先勝をもたらした。だが次鋒の神田は戦い方に幅を持たせられず、組み技一辺倒の戦いに。得意の分野でも圧倒できず、面突きなどを決められあえなく敗退。続く矢島(文4)はこの日初の出場。就職活動による練習不足が懸念されたが、これまで培ってきた拳法で相手をねじ伏せた。矢継ぎ早に繰り出した組み膝と右面突きで一本を奪い、鮮やかな勝利を果たした。一方、副将・宮下(文4)は「最悪だった」。投げを見舞うも、体を入れ替えられ下になってしまう。必死に食らい付くも、抑え胴突きを決められ完敗を喫した。
2勝2敗で回ってきた大将戦。勝負の行方は後山に託された。後山は打撃から組み技に移行。組み付いて相手を投げるも、こちらも目まぐるしく体勢が入れ替わる展開に。だが相手の力をうまく利用し、上を取って抑え込み、勝利の抑え胴突きをたたき込んだ。猛る後山。沸き上がる明治サイド。紙一重の勝負を明治が制し、3位を死守した。
試合後コメント
「今の明治は4年生が強く、上手くリーダーシップが取れている。今が一番良いチーム。今日の試合は府立での団体インカレに期待が持てる試合。秋につながる良い大会だった。府立では7人をどう使っていくのかがカギになる。今年は部長に就いて3年目。毎年団体インカレは大阪まで観戦に行っている。今年こそ団体インカレで優勝できそう。楽しみだ」。
北野副部長
「紙一重。努力して、正々堂々と戦っていた。3位だったが、優勝してもおかしくなかった。決勝で関大と当たっていれば勝ってたかもしれない。他大との差はない。部員は一生懸命やってくれた。目的を持っていい学生生活を送れていると感じた。みんなには、この先も努力を続けてください。ごくろうさまでした、と言いたい」。
一ノ宮監督
「1、2年生は詰めが甘く、勝つ執念がまだ身に付いていない。4年生には就活などで練習が満足に行なえない選手もいた。でも今日の経験は必ず秋につながる。良い弾みになった。結果として3位になれたが紙一重の勝負だった」。
尾川主将
「完敗。関大のほうが練習してきたってこと。でもこっちも練習を信じて、やることはやってきた。一本も取れてる。これからは体力をつける練習に重点を置く」。
後山
「明治は取りこぼしがいくつかあった。関大との差はないが、関大は一つ一つの練習がきめ細やかにできていたと思う。3位は最低限の順位。結果には満足していない」。
宮下
「最悪。練習していたパンチが出せなかった。1年生に負けないように、レギュラー入りして、府立で校歌を歌いたい」。
肥下(法3)
「優勝できると思っていた。それくらいの練習をしていたから。もっと役に立たないといけないと感じる。これから4年生に対して恩返しができるように頑張りたい」。
神田
「勝ち急いで負けてしまった。まだまだ改善点がある。もっと立ち技ができるようにならなければダメ」。
岡部
「調子は良かった。関大戦で戦った相手は同級生だったので絶対に負けたくなかった」。
平松
「頑張っているつもりだったけど、甘さが残っていた。中途半端に満足していた。(他大と対戦することに関して)何をしてくるか分からないから、考えすぎて基本がおざなりになってしまった。これからちゃんと仕留められる拳法を目指す」。
関連記事
RELATED ENTRIES