インカレ初戦敗退 勝敗を分けた〝1.7秒〟/全日本大学選手権

 千葉組での最後の公式戦となる全日本大学選手権(インカレ)へ臨んだ。関東大学選手権3位、関東大学リーグ戦7位という、近年の明大の中では比較的好成績を残し、その実力に自信を持って日本経済大戦へ臨んだ。前半は互いにシュートが入らない状況が続き、膠着(こうちゃく)状態だったが、第3Qで明大がリードし流れを作った。しかし、第4Qの相手の猛追により、残り1.7秒で2点のリードを許してしまう展開に。ブザーのなるその瞬間まで必死にリングに飛び込むも、点差は返せず。惜敗により初戦敗退を喫した。

◆12・4〜12・14 第77回全日本学生選手権(国立代々木競技場 第二体育館他)
▼12・5 対日本経済大戦(横浜武道館)
明大61{12―10、16―20、18―7、15―26}63日本経済大○

スターターは、PG千葉天斗主将(法4=明成)、SG針間大知(情コミ4=福岡大大濠)、SF武藤俊太朗(政経3=開志国際)、PF塚田大聖(政経3=土浦日大)、PF鬼澤伸太朗(国際3=福岡大大濠)

 序盤は、互いにシュートの決まらない時間が続いた。開始2分30秒ほどで針間のレイアップにより先制点が決まると、そこからはシーソーゲーム状態に。オフェンス面では、互いにロースコアの状態の立ち上がりとなったが、明大は果敢にインサイドに切り込み続けた。一方ディフェンス面では、鬼澤、山岸(優介・政経4=洛南)らを中心に力強いガードで相手留学生を抑え込む。明大らしい強固な守りを展開して試合が進むが、相手の3Pシュートが確率良く決まり、スコアとしては差をなかなかつけられない状態に。前半を2点ビハインドで終える形となった。

 第3Qは、千葉の2連続得点とそれに続く塚田のシュートで流れを整え、完全に明大が流れを掌握した。ディフェンスの力強さが一層増し、相手の封じ込みにも成功。フィールドゴールをわずか3回しか決めさせなかった。ここで11点のリードが開き、明大がこのまま逃げ切るかというムードに包まれていた。

 点差が開いたとはいえ、決して油断ならない第4Q。最終局面ということもあり、互いに気合が1段階上がり、強度の高いバスケットとなった。11点差を埋めるべく、相手オフェンスの粘りが強まり、明大も積極的なディフェンスになっていく。ファールも増えていく中で、50―47の3点差まで迫られた場面で明大のタイムアウトが挟まった。タイムアウト明けは針間が4年生としての意地を見せ、多くのシュートを沈めるが、相手の確率良い3Pシュートで常に2、3点差で迫られる。残り時間1分39秒で相手のレイアップが決まり同点に並ばれるも、その20秒後には針間がバスケットカウントで3点を獲得。互いに譲れない展開が続く。残り時間38秒、相手のスティールからドライブで切り込んだシュートがバスケットカウントとなりまたもや同点に。負けたら終わりのインカレでここまでもつれ込んだことで、緊張感が会場を支配していた。

 しかしこの均衡を打ち破ったのは日本経済大だった。攻撃の場面で、3Pシュートが外れるも、リバウンドを逃さずに、セカンドチャンスポイントを獲得した。相手ベンチと応援席が雄たけびを上げる。残り時間1.7秒のことだった。その後、相手陣エンドラインから、明大ボールで再開。ジャンパーシュートを放つ針間の腕が伸びたが、ボールはリングを通らず、ブザーが会場に響き渡っていた。

 今シーズンを、インカレ初戦敗退という結果で終えてしまった明大。しかし、27年ぶりの関東大学選手権3位獲得など、目覚ましい活躍を見せたシーズンとなった。このシーズン、数々の試合で見せた〝勝ち切るバスケ〟は、確実に次世代への糧になる。わずか1.7秒で逆転されようとも、攻撃の手を緩めずに勝利に食らいついた彼らのバスケットは、その証明だ。

[中川美怜]