激闘制す 早大下し対抗戦優勝/関東大学対抗戦Aグループ
101回目を迎えた早明戦。今年度の関東大学対抗戦(対抗戦)の優勝決定戦でもあった今試合は、前評判通り手に汗握る激闘が繰り広げられた。前半を10-10で折り返した明大は後半開始早々にリードを広げると、早大の猛追を振り切り25-19でノーサイド。5年ぶりに対抗戦王座の栄光を手にした。
◆12・7 関東大学対抗戦Aグループ(国立競技場)
▼対早大戦
〇明大25{10-10、15-9}19早大
前半から両者一歩も譲らぬ熱戦が繰り広げられた。試合開始2分、明大がハーフウェイライン付近でのラインアウトからモールで10メートルほど押し込むと、続く攻防では早大が得意の展開ラグビーで明大陣地に侵入する。明大ボールのファーストスクラムで反則を取られるも、好ディフェンスを見せボールを奪取。再びラインアウトから攻撃に転じるも、なかなか得点のチャンスをつかめない。拮抗(きっこう)した展開を破ったのは早大だった。18分に明大のペナルティーからラインアウトを選択。素早く展開し、日本代表の早大フルバック矢崎由高が快足でトライエリアまで駆け抜けた。先制トライを許した明大だったが、すぐさま攻撃に転じ相手陣でペナルティーを奪うと、左センター平翔太主将(商4=東福岡)が冷静にペナルティーゴールを決め7-3と詰め寄る。その後早大にペナルティーゴールを決められ10-3と再び突き放されるも、ラインアウトからモールを押し込み波状攻撃を仕掛け、相手陣深くで再びマイボールラインアウトのチャンスを手にした。時計は30分、モールからFW陣がゴール前でピックアンドゴーを重ね前進すると、最後は左フランカー最上太尊(商4=仙台育英)がトライ。「モールは僕たちのプライドなのでその部分で取れたのは明治としていい収穫だった」(最上)。平翔のキックも決まり10-10と追いついた。流れに乗りたい明大は一層攻撃の手を激しくする。しかし前半終了間際、相手陣深くでのスクラムからチャンスを得てサインプレーに転じるも、トライライン目前で痛恨のノックフォワード。10-10で試合を折り返した。
後半開始早々ビッグプレーがさく裂する。45分、ラックからスクラムハーフ柴田竜成(営4=秋田工)が蹴りこんだボールを左プロップ田代大介(営3=大分舞鶴)が猛チェイス。早大のスタンドオフ服部亮太が陣地回復を図って蹴り上げたボールを田代がチャージすると、バウンドするボールを右センタ―東海隼(情コミ4=光泉カトリック)がキャッチしトライエリアへ。15-10とリードを奪う。「ラックに入った瞬間に柴田が蹴るのは分かっていた。服部はキックモーションが大きいので絶対にいこうと狙っていた」(田代)。流れに乗る明大は攻撃の手を緩めず、56分にも平翔がペナルティーゴールで3点を追加し18-10。1トライ1ゴールでも追いつけない点差に突き放した。しかし早大も意地を見せ、65分、66分に立て続けにペナルティーゴールを決め明大の背を猛追する。「明治」コールと「早稲田」コールが響き渡り会場の興奮が最高潮に達した70分、明大は相手陣ゴール前5メートル地点でラインアウトのチャンスを手にした。重戦車FWが一塊となりモールを押し込んでトライライン目前まで迫る。大歓声の中、ラックから最上がボールを持ち出し、右腕を目いっぱい伸ばしてグラウンディング。明大サイドの観客席からは割れんばかりの紫紺の歓声が沸き上がった。平翔のキックも決まり25-16。趨勢(すうせい)は決したかに見えたが、ここから“早明戦”の真骨頂が幕を開ける。逆転を狙う早大は波状攻撃を仕掛け、ペナルティーキックで25-19と6点差にする。明大も決死のディフェンスで早大の前に立ちはだかり、何度も臙脂(えんじ)のランナーに鋭いタックルを浴びせた。早大の猛攻を前に自陣ゴール前まで詰め寄られるも、ライン際の粘り強いディフェンスで相手のノックフォワードを誘う。時計は83分。柴田に代わって入った萩井耀司(商2=桐蔭学園)がスクラムから冷静にボールをさばき、伊藤龍之介(商3=国学院栃木)がボールを外へ蹴り出してノーサイドの笛が鳴った。
早明戦に勝利し、5年ぶりの対抗戦優勝を果たした明大。しかし今試合に限っては、規律やレフリングの対応にやや苦戦する節も見受けられた。「(レフリーと)終始合わなかったが、そこの修正力が大事になってくると思う。スクラムは明治の心臓と言われているので、そこで負けてしまったところが大きな反省点」(右フランカー大川虎拓郎・法3=東福岡)。ここから勝負の舞台は全国大学選手権(選手権)へと移る。全試合が負けたら終わりの大一番。「一つずつしっかり準備していって優勝を目指す。まずは一試合一試合しっかり自分たちのプレースタイルを貫いて準備してやっていきたい」(柴田)、「(早明戦は)通過点に過ぎないので、しっかり切り替えて選手権のことを考えて準備していきたい」(平翔)。福田(健太・平31営卒=現東京サントリーサンゴリアス)組以来7年ぶりの大学王者へ。『完遂』の旅路は、まだ終わらない。
[加藤晃誠]
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