(女子)江川2位、奥野3位 全員が結果を残す/都民体育大会
都民体育大会のシニア女子部門に江川マリア(政経4=香椎)、元榮愛子(商3=目黒日大)、奥野友莉菜(商1=駒場学園)の3人が出場した。江川は2位、奥野が3位、元榮が5位と全員が入賞を果たしたが、課題も見られた大会となった。
◆11・15~12・14 都民体育大会(辰巳アイスアリーナ)
▼11・15、16 シニア女子

江川はSP(ショートプログラム)『アヴェ・マリア』に合わせて新調した白い衣装を身にまとい登場した。今季から再挑戦している冒頭の3回転フリップ+3回転トーループのコンビネーションジャンプを着氷すると、2本目の3回転ルッツではGOE(出来栄え点)1.18を獲得。しかし、その後のフライングシットスピンがノーバリューとなった。「今日は体感として緊張していて、考えすぎたのかなという感じ」。3本目のダブルアクセルも成功させジャンプはそろえ、その後二つのスピンでは最高難度のレベル4を獲得し演技をまとめた。59.54点で2位発進となり「スピンは練習するのみだと思うので、もっと練習しないといけない」と前を向いた。

2日目に行われたFS(フリースケーティング)では『トゥーランドット』を堂々と披露。FSでも冒頭の回転フリップ+3回転トーループのコンビネーションジャンプを華麗に決めた。「東日本選手権(東日本)ではSPは決まったが、FSではうまくトーループをつけることができなかったので、(今大会で)成功して良かった」。続く3回転ルッツもきっちりと着氷し、そのままの勢いでいけるかと思われたものの、3回転ループが1回転となってしまう。しかし「昨日のことがあったのでジャンプより緊張した」というスピンで最高難度のレベル4を獲得し、高い完成度で演技をまとめ総合順位2位で大会を終えた。昨年の全日本選手権(全日本)では総合20位と悔しい思いをした江川。「全日本で余裕をもってこの構成で演技できるように、もう少し練習を積んでいきたい」と大舞台での上位進出を目指し意気込んだ。

奥野は「全て締めるというのが目標だったが、少し慎重になりすぎてしまった」と演技を振り返った。冒頭のダブルアクセルを成功するも2本目のルッツが抜けてしまい、ノーバリューの評価に。それでも3本目の3回転フリップにリカバリーで2回転トーループをつけ着氷した。「(ルッツを)失敗してしまったことに焦りがなくはなかった。落ち着いてやって、タイミングを合わせれば跳べるというのは分かっていたので、そこがうまくいった」。スピンは三つ全てをレベル4の評価を受けたが、ジャンプのミスが響き得点は思うように伸びず。51.41点でSP3位発進となった。

巻き返しを狙うFSでは冒頭の3回転ルッツ+3回転トーループを回転不足があったものの着氷させた。しかしその後のジャンプでは「平常心を保てていなかった」と精彩を欠く結果になってしまう。特に最後の3回転サルコーについては「いつも練習で失敗しないので失敗してしまったことがとても悔しい」と悔しさをにじませた。それでもしなやかな体づかいで曲を演じ切り、3位入賞。「気持ち的に楽ではない状態で3回転+3回転を決めることができたというのは大きな収穫」と大会を振り返った。2025年は「夏にとてもいい成績を残せていたのに、シーズン本番になって出せなかった」年となった奥野。この悔しさを力に変え、来年はさらに成長した姿を見せてほしい。

東日本後ジャンプを中心に練習してきたという元榮は「練習から危ないのが(本番でも)出てしまった」と振り返った。冒頭の3回転サルコー+2回転トーループのコンビネーションジャンプは着氷したが2本目のルッツが1回転となりノーバリューの評価を受ける。それでも「ちゃんと降りられたので良かった」と3本目のダブルアクセルは成功させた。さらに「スピンが抜けてしまいそうで危なくて心配だったが、本番はとにかくミスはせずに回り切れた」と二つのスピンでレベル4を獲得。東日本での点数を上回る47.84点でSP4位発進となった。

翌日のFSでは冒頭の3回転サルコーを転倒するなど「(演技の)出だしからこけそうになってしまって、ボロボロだった」と涙を浮かべた。2本目のジャンプでは一つ目のルッツが抜けるも、ダブルアクセルを跳んでジャンプシークエンスとする。演技後半になるにつれジャンプは修正した。演技終盤のコレオシークエンスでは「体を大きく使うように意識した」と伸びやかなスケーティングを披露。SPから順位を落とす結果となったが、総合5位で入賞を果たした。

[堀口心遥、藤岡千佳]
試合後のコメント
江川
――全日本の目標順位はありますか。
「オリンピックシーズンというのがあって、多くの選手が4年間の中で一番仕上げてきているシーズンだと思うので、自分がその中でどのあたりに食い込めるっていうのが正直想像ができないというか、分からないです。でも一番はほんとに自分に集中してSP、FSをそろえるということなので、順位はその後ついてくるかなと思っているので、あまり順位については考えていないです」
――全日本までに調整したい部分を教えてください。
「やはり後半の最後のフリップが、練習でも本番でも成功率があまり良くないので、そこをちょっとどうするか、他のジャンプに変更するのもありかなと思っているのですが、もう少し練習しないといけないかなと思っています」
元榮
――3回転ルッツにダブルアクセルつけるのは目標としているのでしょうか。
「ルッツが良くなってきたら入れたいなと思っていたので、目標なのかなと思います。(今日は挑戦みたいな感じですか。)この6分間とかはできたりとか、結構最近は良かったかなと思っていたのですが、(今日は)ちょっと失敗してしまったなと思います」
――今季から滑ってきて場数を踏んできたと思うのですが、成長していると感じる点を教えてください。
「最初は結構曲に間に合わなくて追われている感じだったのですが、ちょっとだけ間に合うようになってきているのが成長だと思います」
奥野
――演技後泣いていらっしゃいましたが、どのようなお気持ちだったのでしょうか。
「悔しさが一番あります。国民スポーツ大会冬季大会と全日本学生氷上選手権の出場を狙っていて、また自分はブロック(東京都選手権)でSP落ちしてしまった身なので、順位的に良かったとしてもそれ相応の点数とか内容でないといけないということはすごく感じていたし、それを目標にしていたので、その目標が達成できなかったということは悔しかったです」
――来年度の目標を教えてください。
「今までのシーズンは、夏は調子が上り切れずに、でもシーズンはかろうじて乗り越えられていたという感じだったのですが、今年は夏でしっかり調子を上げられたので、そういった部分を継続しながら、夏の調子をしっかりシーズン本番まで継続できるようにして、全日本でFSに出場することを目標に頑張っていきたいです」
関連記事
RELATED ENTRIES

