“重戦車”再び 帝京大に劇的勝利/関東大学対抗戦Aグループ

2025.11.17

混沌を極める関東大学対抗戦(対抗戦)。上位4校が4勝1敗で並ぶ中、明大は対抗戦優勝に向け大一番に臨んだ。両者一歩も引かぬ攻防が繰り広げられたが、後半ロスタイムに明大がペナルティートライを奪い逆転勝利。帝京大から3年ぶりの白星を挙げた。

◆11・16 関東大学対抗戦Aグループ(秩父宮ラグビー場)

▼対帝京大戦

〇明大21{0-10、21-7}17帝京大

 前半は我慢の時間が続いた。前半3分のスクラムでは明大のコラプシングを取られるも、その後のラインアウトをスチール。モールを押し込み、前に出るディフェンスで相手の攻撃の芽を潰しにかかるが、逆にオフサイド等の反則を多くとられてしまう。試合の流れがやや帝京大に傾いた21分、ゴール前での攻防からラックサイドの一瞬のスキを突かれ先制トライを許した。それでも24分にはハーフウェーライン付近でのスクラムからハイパントを織り交ぜたテンポの良い攻撃を展開し、ゴール前まで攻め込む。惜しくも帝京大のトライラインドロップアウトとなったが、蹴りこまれたボールをつなぎ再度攻撃に転じると、スタンドオフ伊藤龍之介(商3=国学院栃木)が抜け出しブレーク。ターンオーバーされるもラックで圧力をかけ続け、守備でも積極的な姿勢を見せる。勢いに乗る明大は30分に相手陣でのラインアウトを獲得すると、強力なFW陣がモールを押し込んで大きく前進。FWのピックアンドゴーでじわじわと前に出ると、再びペナルティーを獲得する。ラインアウトからBKへ展開しゴール前で粘り強くフェーズを重ねるも、赤い壁がトライを許さず。逆にキックから自陣に攻め込まれ、スクラムでの反則によりペナルティーゴールを許し10点のビハインドで前半を終えた。

 「相手にスコアされて折り返したが、自分たちを信じて、焦る必要はないのでしっかり八幡山でやってきたことを出そう」(スクラムハーフ柴田竜成・営4=秋田工)と臨んだ後半。開始早々にスクラムでペナルティーを得ると、相手陣深くでのセットプレーから攻撃を展開。ナンバーエイト利川桐生(政経4=大阪桐蔭)の突進でゴール前まで攻め込むと、ラックからのピックアンドゴーで左プロップ田代大介(営3=大分舞鶴)がトライを決めた。「体が勝手に動いていた」(田代)。左センタ―平翔太主将(商4=東福岡)のキックも決まり、7-10と詰め寄る。続くキックオフからもハイパントを多用した攻撃を仕掛ける明大。右ウイング白井瑛人(商2=桐蔭学園)と左ウイング古賀龍人(商1=桐蔭学園)がクリーンキャッチを連発し空中戦で優位に立つと、相手の反則を誘ってスクラムの機会を得た。客席から「明治」コールが沸き上がる中、帝京大のFWを圧倒しペナルティーを獲得。「『明治』コールが自分たちの力になった。コールのおかげで勝てたといってもいいくらい大きかった」(左ロック菊池優希・政経4=山形中央)。60分にラインアウトからモールを組むと、まさしく重戦車を体現する突進を魅せフッカー西野帆平(文4=東福岡)が逆転のトライを決めた。「試合のプランとして自分たちの強みであるモールでいこうと思っていた」(西野)。平翔のキックも決まり14-10。その後、逆転を狙う帝京大の激しい攻撃にさらされるが明大FWの力強いディフェンスとスクラムで得点を許さず。しかし、79分にディフェンスの一瞬のほつれからブレークされ、逆転のトライを決められてしまう。ゴールも決まり14-17となった80分。ロスタイムに突入し遠くなりかけた勝利にも、明大戦士の瞳には闘志が宿っていた。「自分たちがトライを取るしか勝つ方法はない。キックオフからプレッシャーをかけて再トライを狙おうと話した」(柴田)。キックオフで圧力をかけ帝京大のノックフォワードを誘うと、何度も沸き上がった「明治」コールを背にスクラムで勝利しペナルティーを獲得。「FWがモールでいかせてくれと言っていたので、全員でそれを信じてラインアウトからのアタックを選んだ」(伊藤龍)。西野に代わって入った高比良恭介(政経2=東福岡)が安定したスローを放ちモールを組むと、この日何度も観客を魅了した重戦車FWが一塊となり一気に押し込む。最後はモールでペナルティートライをもぎ取り、21-17で劇的な勝利を収めた。

 安定したセットプレーと粘り強いディフェンスで“重戦車”を見事に体現し、帝京大から白星を挙げた明大。通年では3年ぶり、対抗戦では5年ぶりの勝利となった。「この勝利は23人だけのものではないし、みんながサポートして準備してくれたおかげ」(右フランカー大川虎拓郎・法3=東福岡)、「みんなが今日のプランを遂行した結果。FWには感謝しかない」(フルバック竹之下仁吾・政経3=報徳学園)。次戦はいよいよ早明戦。優勝を賭けた大一番となる。「優勝決定戦になるが、しっかり自分たちにフォーカスして1点でも勝ちにこだわってやっていきたい」(平翔)。今日の勝利を糧に力強く“前へ”進み、ファンに勝利を届けてくれ。

[加藤晃誠]

試合後のコメントはこちら

(51)関東大学対抗戦・帝京大学戦 試合後コメント①

(52)関東大学対抗戦・帝京大学戦 試合後コメント➁