
15人制初陣は「素の力」で圧倒/定期戦
昨日の悪天候からはうって変わって晴れ渡った4月最後の日曜日。春の日差しが今季明治の初陣を祝福していた。八幡山のギャラリーにはその姿を見ようとたくさんのファンが詰めかけた。そのファンに思わぬサプライズが。試合開始直前、グラウンドに散った選手たちはこの時期にしては異例の紫紺ジャージーに身を包んでいた。これはファーストジャージーで戦う相手東大フィフティーンに対して、「こちらも戦う相手に対しては敬意を払わなければならない」という吉田監督の考えによって実現したものだった。1年生を含む多くのメンバーにとって初めての紫紺を着た戦いとなった。
今日のゲームの目標は「選手それぞれが自分の持っている素の力をそのまま出すこと」。新体制がスタートしてから首脳陣がフィットネスを重視したトレーニングのテーマとして掲げてきた、「人が本来持っている能力を呼び起こし、それを今後のラグビートレーニングの基本として生かす」ことに付随した目標設定だった。自分たちがラガーマンとして持っているスキルを試合中のパフォーマンスでしっかりと発揮する。今後戦っていく上で必要不可欠なこのポイントを早い段階からしっかりと意識として浸透させることで、チーム全体がこれから完成度を高めていく上での礎にしようという狙いがあった。今回の試合は、それを実戦の場で試す好機であった。
今日の試合は相互の同意によって明治は前後半でメンバーを総入れ替えすることになっていた。そこでハーフタイムに吉田監督は「メンバーが替わる後半は1からのゲームになる。お前たちのパフォーマンスがすべてなんだから、点差を考えることなくやれ」と指示を与えた。選手たちはそれに応え、後半も動きが悪くなりプレッシャーの掛けられなくなってきた東大相手に序盤からトライを量産した。終了間際には細かいところまでは全然詰めていないというスクラムからのFW戦も繰り出す余裕も見せて、100点ゲームで試合を締めくくった。
15人での初戦をいい形で飾った明治。来月5日の立正大との練習試合からはある程度AチームとBチームの線引きをしてゲームに臨んでいく。注目され、多くの視線を浴びる中でチームはこれからどのような進化を見せてくれるのか。今後の春の戦いからも目が離せない。
~試合後のコメント~
吉田監督
「今日の試合はキャプテンやバイスキャプテンが出ていないこともあり、このゲームの位置付けが微妙になってしまうのではないかという心配があったので、選手たちには部の代表として自覚と責任を持って戦うように話した。最近着手し始めた戦術面のことを理解した上で、選手個々のラガーマンとしての素の力を出してもらうことが目標だった。前半大差で折り返すことになったが、後半のメンバーには『まったく別のメンバーでいくわけだから、お前たちのパフォーマンスが後半を決める。1からのつもりでやってこい』と言って送り出した。1年生もいい動きをしてくれた。15人制の初戦だったが、みんな気持ちをしっかり入れて戦ってくれた。シーズンはあっという間に来るから、それに向けてしっかりとチームを作っていきたい」。
小泉
「この時期の紫紺ジャージは昨年にもなかったことだが、紫紺を着るとそれだけで明治という名前を背負うことになるから、変なプレーはできないと思った。個々も走れていたし、一人一人がちゃんとやれたと思う。戦術面でもチームで合わせたのがここ1週間で、そこまで時間を掛けられていないのにこれだけできたんだから、これからシーズンに向けてやっていったら強いチームになれるはず」。
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