日体大下し連勝 次戦へさらなる成長を/関東大学対抗戦Aグループ

2025.10.12

 関東大学対抗戦(以下、対抗戦)3戦目の相手は日体大。悪天候下でハンドリングエラーや連携に苦しむものの、安定したセットピースや粘り強いディフェンスで試合の流れをつかみ、最終スコア43-12でノーサイド。しかし前半から規律面でやや精彩を欠くシーンも見られた。

◆10・11関東大学対抗戦Aグループ(大和スポーツセンター競技場)
▼対日体大戦
〇明大43{17―7、26―5}12日体大

 試合が動いたのは前半5分。左センター平翔太主将(商4=東福岡)のブレークからアドバンテージを得ると、スタンドオフ萩井耀司(商2=桐蔭学園)は右センター東海隼(情コミ4=光泉カトリック)への大きなキックパスを選択。東からボールを受け取ったナンバーエイト藤井達哉(政経3=東福岡)が大きく前進し、一気に相手ゴール前まで攻め込んだ。その後ゴール前でフェーズを重ね、最後はボールを大外に展開し左ウイング阿部煌生(政経2=流経大柏)が先制トライを奪った。テンポの良いアタックで試合の流れをつかんだように見えた明大だったが「入りのところでミスをどんどん重ねて自分たちが苦しむようになってしまった」(平翔)と振り返るように、ここから明大のペナルティーが目立ち始め、10分には自陣5メートルのラインアウトまで追い込まれてしまう。明大は粘り強くディフェンスで前に出るも、オフサイドの反則の繰り返しで藤井にイエローカードが出され、そのままトライを献上。コンバージョンキックも決まり、5-7と逆転を許した。それでも明大は果敢にアタックを仕掛け、徐々にペースを取り戻していく。15分、平翔から大外の右ウイング白井瑛人(商2=桐蔭学園)へフラットなパスがつながると、白井が快足でブレーク。短く蹴ったボールは相手に入ったものの大きくゲインし、相手陣地深くでラインアウトのチャンスを得た。ラインアウトからの攻撃は惜しくも得点にはつながらなかったものの、その後のスクラムを圧倒し再度ラインアウトを選択。モールからフッカー西野帆平(文4=東福岡)が抜け出しグラウンディング。平翔がコンバージョンも決めて12―7と突き放した。その後右サイドでの白井の好ランとスクラムでチャンスを演出すると、ラインアウトからの攻撃で左へ展開。萩井から阿部へのロングパスがつながり、そのまま阿部がトライエリア左隅に飛び込んでトライ。スコアを17―7とし前半を終えた。

 後半最初にはキックオフリターンでのダイレクトタッチから連携ミスを突かれ、先制トライを許す。しかし後半6分にモール、スクラムで立て続けにペナルティーを得るとタップキックから速攻を仕掛け、藤井と交代し対抗戦初出場を果たした中村つぐ希(営2=目黒学院)が左隅にグラウンディング。「チームに勢いをつける役割で入った。最初の僕のトライやチームへの声かけで勢いをつけられたと思う」(中村)。中村のトライに勢いづいた明大はディフェンスでも好タックルからチャンスを演出。フロントローが全員交代したスクラムでも優位に立ち続け完全に試合の主導権を手にした。ハンドリングエラーで一時は自陣まで押し戻されるも、阿部の好ランで前進すると、裏のスペースに平翔が技ありのキックを蹴りこむ。10メートルライン付近でのラインアウトからアタックを展開すると大外でボールを受けとった右フランカー利川桐生(政経4=大阪桐蔭)が力強いアタックで会場を沸かせ、最後は左へ展開し阿部が3トライ目をマーク。ハットトリックを達成した。「スキルフルなバックスがいる中で、しっかり自分からコールを出したら通してくれるというところを信頼していた。僕にボールが回ってきたら走り切るという役割があるので、そこをしっかり意識してできたのは良かった」(阿部)。さらに72分には途中出場の山川遥之(営4=尾道)の突破から鮮やかなパスで左フランカー大川虎拓郎(法3=東福岡)が抜け出しトライ。また、75分には途中出場の高比良恭介(政経2=東福岡)のブレークから蓬田雄(政経4=流経大柏)、竹之下仁吾(政経3=報徳学園)とボールを繋ぎ大きく前進。竹之下のトライかと思われたが惜しくも得点には結びつかなかった。それでも再び果敢にアタックを仕掛け、またしても高比良のキャリーで大きく前進。最後は白井のランから竹之下がトライエリアにボールを持ちこんだ。コンバージョンも決まり43―17としたところで大勢は決し、明大は後半相手を圧倒したままノーサイドとなった。

 7トライを挙げ、結果としては大差で勝利した明大だが「前半はミスが多かったので、後半に修正しようとハーフタイムで話したがそれでも先制点を取られてしまった。内容的には明治としては満足いくものではなかった」(柴田竜成・営4=秋田工)、「一つ一つのミスや雰囲気のところで、明治としてあってはいけない雰囲気が出てしまっていた」(白井)と、選手たちは決して楽観視していない。今試合でも圧倒していたスクラムや安定感が増したラインアウトなどセットプレーの部分では大きく改善が見られているだけに、今後の成長に大きな期待がかかる。これから慶大、帝京大、そして早大と強敵が控える対抗戦。明大のラグビーを『完遂』するべく紫紺の戦士たちがどれほどの飛躍を見せてくれるのか必見だ。

[加藤晃誠]

試合後のコメント
平翔
――今日の試合の収穫と改善点をそれぞれお願いします。
 「改善点しかないです。ディシプリンやアタックのタイミングをBKもFW本当に練習からしっかり一つ一つ高めていきたいと思います。12番も10番と一緒にオーガナイズする立場であるので、本当に自分からしっかりタイミングや、深さ、ディパーチャーのところは突き詰めていきたいです」


西野
――今日のセットプレーを振り返っていかがですか。
 「ラインアウトに関しては、雨という天候の中でコーラーたちがいいサインをチョイスしてくれたので、スロワーとしても投げやすく、成功率は良かったと思います。スクラムもしっかり自分たちのセットアップで組めて、初スタメンに佐々木(大斗・政経1=常翔学園)がいる中で、佐々木もしっかり自分の役割を持ってしっかり組んでくれたので、これは継続してやっていきたいと思います」

佐々木
――メンバーに選ばれた時はどんな気持ちでしたか。
 「自分はこんなに早く紫紺を着られると思っていなくて、ずっと着たいと思っていたので嬉しかったです。率直にありがとうございますという気持ちでした」

左ロック亀井秋穂(政経3=長崎北陽台)
――セットプレーの完成度はどれくらいですか。
 「筑波大戦であまり良くなかったので、そこは菊池(優希・政経4=山形中央)さんや物部(耀大朗・商3=中部大春日丘)と話し合って一試合一試合改善できていると思います」

阿部
――今後の意気込みを教えてください。
 「今後もっと相手の強度も上がってきますが、相手どうこうよりも自分たちにフォーカスして、自分たちのラグビーをしたら自ずと結果もついてくるのでそこを意識して、あとはミスなくやろうと思います」

白井
――ご自身のパフォーマンスを振り返っていかがですか。
 「タイミングのところで、もう1個ためておけばよかった所がたくさんあるので、もっと冷静になって、視野を広く持つというのが今日の自分の課題です」

中村
――試合展開を受けてFWで何を話し合いましたか。
 「自分たちFWの方からモメンタムを生み出せていなかったのが課題に出ていて、相手のプレッシャーを受けていてしまったので、自分たちのプレーをやろうということをハーフタイムや試合中に話しました」

柴田
――後半のゲームメークではどのようなことを意識しましたか
 「雨の中でミスが多かったので、シンプルなことに立ち返って、エリアを取るところだったり、シンプルに縦のオプションを使っていこうということを考えていました。後半から出たので、勢いをつけられるようにテンポを出すところは意識しました」