第549号企画 インカレ事後インタビュー ロード班②/林原聖真

2025.10.04

 千葉県と群馬県にて行われた全日本大学対抗選手権(インカレ)。今年度のインカレは、トラックでは総合7位、ロードでは総合6位という結果で幕を下ろした。本記事では、大会後の選手のコメントをお送りする。

 第5回は、ロード班ラスト! 林原聖真(法4=倉吉東)のインタビューをお届けします。
(この取材は9月7日に行われました)

林原
——今日のレースを振り返っていかがでしたか。
 「コース的にもスプリンターになる展開が普通なのですが、僕はそこに自信がないので、序盤もしくは中盤で逃げて、そのまま逃げ切りという展開しかないなと思っていました。ただ、スタート前から分かっていたのですがコンディションが良くなく、今日はきついかなというところでした。ですが、永野(昇海・理工4=横浜平沼)が乗ってくれて、他大がそれによって足を使ってくれたことで、僕がコンディションの悪い中でもアタックしたら意外とみんながきついという状況になったので、コンディションやコースを考えたら上出来だったかなと思います」

——永野選手は想定よりも長く引っ張ってくれた印象でしたか。
 「逃げに乗ったけれど落ちてくるというのは、避けてほしいと言っていました。予想外だったのは、逃げている京産大の選手が動いたことによって、前の集団が崩壊したところです。ですが、その予想外の動きがあった中でも、逃げに乗ったら前引くことよりも、落ちてこないことを優先してほしいということをしっかりと実行してくれました。今回の京産大の動きにも対応してくれたのはありがたいです」

——永野選手の逃げによって、どのようにレースが動くのでしょうか。
 「逃げにチームを乗せていたら、最悪その逃げの選手が逃げ切った場合でも、選手がいることで勝負できるので、集団を僕らが引く必要はなくなります。逃げに乗っていないチームに集団を引いてもらえるので、そこで体力を温存できるというのがあります」

——コンディションの面では、フランスに行かれていた影響もありましたか。
 「多少はあるのですが、疲労が取れずにフランスに行ってしまい、そのままレースに臨みました。フランスに行ったのもありますし、フランスまでの疲労を抜くのがうまくいっていなかったことを、ここまで引きずってしまいました」

——フランスに行くまでの夏の練習が結構影響した感じでしょうか。
 「フランスが標高の高い所でのレースだったので、そこに向けて焦点を合わせて練習していました。標高の高いところで上りの練習をたくさんした経験があまりなく、出しているパワー的には大したことないのですが、酸素が薄くて体の回復が追いつかなかったです。自分の中では考えていたつもりでしたが、初めてやったことで回復が間に合っていなかったことがあり、それを引きずってしまいました」

——残りの周回数が少なくなってから、ターニングポイントになったところはありますか。
 「レースの展開は逃げが起きた時です。永野が捕まるまでは京産大の選手が引いていたのですが、逃げがなくなったことで、新しく逃げたい選手がアタックし出しました。そこから僕の逃げを決められるところまでは良かったかなと思います」

——最後の周あたりでコーラを飲まれていましたが、その効果を教えてください。
 「もうしんどくて、レースが楽しくなくなってしまったので、娯楽としてコーラを飲みました」

——他大の選手も皆さんコーラを飲まれていました(笑)。
 「立命大の選手が言っていて『せこ(笑)』と思って(笑)。足がつりそうだったので、本当は経口補水液とかの方が良かったのですが、ちょっとコーラ飲みたいからちょっと許してという感じでした」

——最後はスプリント勝負になりましたが、振り返っていかがでしたか。
 「最初の4人逃げの段階で、僕以外が全員スプリンターで、僕だけ全くスプリントできないという感じだったので、本来はスプリントなるまでに人数を絞って3位以内に入りたかったです。ですが、補給がうまくいかなかったり、足がつりそうになったりで、自分から最後の方仕掛ける足が残っておらず、うまくいきませんでした」

——6位という結果については、率直にどのように捉えていますか。
 「コンディションとコースを考えれば上出来だと思いますが、途中で可能性が見えちゃったのでちょっと悔しいです。ワンチャン表彰台あるなと思っちゃったので(笑)」

——インカレ全体を振り返って、明大としてはいかがでしたか。
 「明大としては結構厳しい状況で、たまたまうまく結果が出なかったというわけではなく、インカレが始まる前から厳しい結果になるというのは大体予想がついていたと思います。実際、近年は弱くなっており、優勝を狙える選手がいないのも事実なので、ちゃんと見直して、また強いチームにしないといけないと思います」

——フランスでの収穫や楽しかったことはありますか。
 「フランスはめちゃくちゃ楽しかったです。収穫は、僕自身が海外レースや何日間も続くステージレースの経験が他の日本チームの選手より乏しく、スタートとゴールが違うレースもあまり経験がなかったので、そこで得られた経験になるかなと思います。同年代のトップ選手なので、レベルが違っており、人間じゃないような感じの人しかいなかったので、日々驚きと学びがありました。日本チームはサポートのスタッフの人たちもみんな優しくて、いい雰囲気で和気あいあいとしていたので、めちゃくちゃ楽しかったです」

——自分の強みだと改めて実感できたことはありますか。
 「全くなかったです。本来上りが得意なのですが、6〜7ステージぐらいあるうちの最後の2ステージの上りのコースで全く通用しなかったです」

——それでも、完走されていました。
 「完走がぎりぎりで、レースの展開に加わることは一切できませんでしたね」

——最後に、改めて今日のレース振り返って“逃げの龍”としてはいかがでしたか。
 「逃げの龍としての片鱗(へんりん)が見せられたかなという感じですね。最後の最後でちょっとだけ見せられて良かったです」

——林原選手、ありがとうございました!

[小松錦葵]