
(女子)住吉が1位、江川が3位発進/東京選手権
東京選手権の初日にはシニア女子SP(ショートプログラム)が行われ、明大からは住吉りをん主将(商4=駒場学園)、江川マリア(政経4=香椎)、元榮愛子(商3=目黒日大)、山﨑舞美(商2=釧路湖陵)、奥野友莉菜(商1=駒場学園)の5人が出場し、3選手がFS(フリースケーティング)に進出した。
◆9・19~9・21 東京選手権(辰巳アイスアリーナ)

観客の大歓声に迎えられ登場した住吉。薄紫色を基調とした上品な衣装を身に纏い、家族への「感謝」をテーマとしたプログラム『Alba Lullaby』に挑んだ。冒頭のダブルアクセルを鮮やかに決めると、続く3回転ルッツ、3回転トーループのコンビネーションではGOE(出来栄え点)1.18を獲得。難度の高いジャンプを確実に決め、演技の流れを引き寄せた。最後の3回転フリップでは体勢を崩す場面もあったが、粘り強く堪え大きな失点は免れた。「このプログラムでは、自分自身や家族への感謝を常に意識しています。見てくださる方々にも、大切な人を思い出してもらえるような演技になっていたら嬉しいです」。繊細なピアノ曲に合わせた豊かな表情と手先まで気を配った美しい一つ一つの動きそれぞれが試合を重ねるごとに完成度が増している。さらに、ロンバルディア杯で課題となったスピンは、この日はすべてレベル4を獲得。中3日というタイトな日程の中でも確かな修正力を発揮した。今大会は全日本選手権、さらにその先、夢のオリンピックの出場へとつながる第一歩。FSでも住吉の勝負強さに期待がかかる。

「大会で緊張している時でも、その曲が流れた瞬間に曲が助けてくれるように感じていて」と自身の名前の由来となった特別な曲『アヴェ・マリア』を披露した江川。冒頭のコンビネーションジャンプを成功させると、その後のジャンプも大きなミスなく全て華麗に着氷させた。ステップではレベルを落としたものの、スピンでは全てレベル4を獲得。「今年はあまり試合に対しての結果を求めずにやることで、プレッシャーなくのびのび滑ることができている」。この言葉通り、緊張を感じさせない、曲に合わせた和やかな笑顔と伸びやかなスケーティングで終始観客をプログラムの世界観へと引き込んだ。演技後には観客からスタンディングオベーションが送られた。SPは住吉に次いで3位につけた。FSではさらに上を目指せるか、期待がかかる。

元榮はSPで大河ドラマのテーマソング『光る君へ』を披露した。1本目に跳んだのは3回転サルコーと2回転トーループのコンビネーション。「いつもはしっかりと降りられていたが、危ない感じになってしまった」と着氷が伸びなかった。2本目の3回転フリップが2回転フリップになってしまう。二つのスピンでレベル4を獲得するなど、各エレメンツでは実力を発揮した。転倒で2点の減点を受けるなどジャンプでは課題を残す結果になったものの、元榮は持ち味の雄大なスケーティングで平安時代の優美な世界を表現し、18位でFS進出を決めた。

1番滑走という重圧がかかる中で演技に臨んだ奥野。「朝だから体が動かなかったとかそういうわけではなく、ただ単に本当にかみ合わなかったというのが正しいかなと思う」。冒頭に跳んだ2回転アクセルが1回転になると、続く3回転ルッツも着氷が乱れてしまう。さらに3本目の3回転フリップも着氷で膝をついてしまい、コンビネーションをつけることができなかった。「本当に何もわからない。練習でもとても悪いというわけではなかったので落ち着いてやれば跳べるかなと思ったが、まさか1本目のアクセルで抜けてしまうと思わなかった」と演技後には涙を流した。しかし演技構成点では7位に食い込むなど、奥野らしい伸びやかなスケーティングと高い表現力をしっかりと見せた。

「今回の試合は緊張があったし足が震えちゃって、滑りもスピンもジャンプも全部上手くいかなくて」。試合後にこう振り返った山﨑。冒頭のジャンプからミスが続いた。それでも手足の長さを生かしたダイナミックな振付と持ち前の明るい笑顔で氷上を支配した。シーズン前インタビューでは、今年の目標は「東日本選手権に出場すること」と語っていた山﨑。悔しくも東日本選手権への道は閉ざされた。試合後、涙を流しながらも「国スポ(国民スポーツ大会)の北海道の選考会が11月に残っているので、そこで北海道代表選手に選ばれるように、次はそこに向けて、まずは体のコンディションを回復させてピークをそこに持っていく」と前を向く。彼女の今後の七転八起する姿を最後まで見届けたい。
[大島菜央、杉山瑞希]
試合後のコメント
江川
――新SP『アヴェ・マリア』はファンの方からの評判もいいですね。
「そうですね。やはり大会で緊張している時でも、その曲が流れた瞬間に曲が助けてくれるような、そんなふうに自分は感じていて。それと同時にお客さんの歓声がこの自然の静かなメロディーと一緒に聞こえてくるのがすごく嬉しくて。やはり現役も残り少ないと思うので、そういう意味でもこの貴重な体験を一つ一つかみしめながら滑っていければなと思います」
住吉
――SPは今季滑って間もないですが、今試合の中で一番手応えを感じたポイントがあれば教えてください。
「ステップシークエンスのところでは、ロンバルディアから少しステップの軌道を前に持っていくように変更した部分があります。そこでお客さんやジャッジの方々を今までよりも近くに感じることができましたし、ロンバルディアで取りこぼしていた部分のスピンのレベルが取れていたらいいなと感じています」
元榮
――東京選手権に向けてどのような練習をされてきましたか。
「やはりジャンプとか、全体的に少し崩れてしまっているので、そこを何とか持ちこたえられるように、頑張って調整している感じの練習になってしまっていたかなと思います」
山﨑
――終始、笑顔が印象的でした。表情で意識しているポイントを教えてください。
「今回は心の底からスケートを楽しいと正直思えなかったところはあるのですが、母が作ってくれた素敵な衣装と、素敵なプログラムで滑れるのは当たり前のことではないので、この場に立てているということを噛みしめながら滑っていました」
奥野
――演技を振り返っていかがですか。
「本当にどうしたらいいかわからなくて。しっかり練習してきたはずなのですが、これだけ練習しても、試合の直前から調子が悪くなってしまって。ずっと調子は悪かったのですが、こっちの会場に入ってから調子が戻ってきたので行けるかなと思ったんですけど。もう、今シーズンあんなにことごとく失敗したのは練習でもあまりなかったので、もう本当に今はどうしたらいいかわからないです」
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