
(2)遠藤、個人も団体も頂点へ
団体戦が始まり、各大学の1番手の選手たちがジャンプ台に昇っていく。その時、遠藤(政経4)はジャンプ台の頂にいた。「これまでの3年間は、団体メンバー3人の中で、アンカーを務めていた。最初に飛ぶからといって緊張はない。むしろ、俺がやらなければ、という気持ちになる」。遠藤に迷いはなかった。
今季の遠藤は、冬に入ってからずっと良い状態を保っていた。しかし、年が明けると事態は急変する。いくら飛んでも、なぜか「しっくりこない」。そんな、調整に苦しむ遠藤を助けたのは、大倉山ジャンプ台だった。長年飛び慣れてきたジャンプ台で練習するうちに、調子も上向いて行き「しっくりくるようになった 」。1月中旬には、外国人選手や国内の実業団選手たちが参加する、第36回HTBカップ国際スキージャンプ競技大会で、強豪を押しのけ4位入賞を果たすまでとなった。
もはや、インカレに遠藤の敵などいない。「絶対にK点以上飛べる」という自身を持って臨み、見事90mの特大ジャンプを決め逆転優勝を飾った個人戦。そして、団体戦でも遠藤の輝きが失せることはなかった。初めてのスターターというプレッシャーにも臆することなく、最高のジャンプを2本揃え、後ろの二人へとバトンをつないだ。「やれることは全てやった」。
試合後、競技場は明治の優勝を喜ぶ人々の歓声に包まれた。いつしか、選手たちの周りには、大きな輪が出来上がっていた。もちろん、中心には遠藤がいる。「最高の2日間だった」と最後を締めくくった遠藤の目には、かすかに涙がにじんでいた。
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