(15)総合8位でシード権獲得!43年ぶりの歓喜の瞬間
往路優勝の東洋大から遅れること5分34秒。6区を任された中村が芦ノ湖を出発した。中村にとって6区は2度目の挑戦。その経験を生かし、中村は快調に山を下り続けた。順位は変わらず7位で安田へ襷をつなぐものの、区間4位の好走で6位とのタイムを大幅に縮めた。
7区は当日のエントリー変更により、安田が登録された。安田は5㎞付近で6位の大東大を捉え、僅差で6位に浮上する。そして16㎞付近で5位の山梨学大を追い抜くも、ラスト1㎞で山梨学大にスパートをかけられると追いつくことができず、8秒差で平塚中継所へ飛び込んだ。
8区は初めての箱根駅伝に臨んだ細川(勇)。「体調が良かった」と言う細川(勇)は序盤に山梨学大を抜き去ると、茅ヶ崎で1分34秒あった5位の中央学大との差を少しずつ縮めていく、終盤、ついに細川(勇)が中央学大を追い越し、4位に浮上すると勢いそのままに遠藤に襷をつないだ。
9区も初の箱根駅伝となる遠藤が走った。遠藤は実力では自身を上回る堀(中央学大)にぴったりとくっつくとそのまま20㎞ほど粘って並走し続けた。しかし、そこに大東大が加わり、激しい4位争いが起こる。遠藤は6位に順位を下げてしまうが、シード圏内で最後のランナー卜部へ43年ぶりのシード権獲得への望みをつないだ。
本来ならば10区には松本(翔・政経2)が配置される予定だった。しかし、松本(翔)がエントリー最終締切日直前に発熱してしまったため、急遽卜部にまわってきたこの大舞台。激化するシード争いにプレッシャーを感じることなく、卜部は最初で最後となる箱根路を楽しんで走り続けた。単独6位をキープしていたが、徐々に7位集団との差は詰まる一方。そして終盤、ついに7位集団に吸収され後方にまわると、残り500mで驚異的なスパートを見せた9位の関東学連選抜との差もほんの少しに縮まる。しかし、卜部は必死に走り続け関東学連選抜の猛追から逃げ切り、8位でゴール。満面の笑みの選手たちに迎えられ、悲願の43年ぶりのシード権を獲得した。
ほんの少しミスが命取りとなってしまう――。それが顕著に表れた大会だった。有力視されていた大学のアクシデント、そして最後まで繰り広げられた激しいシード権争いと、本当に何が起こるか分からない、まさしく“戦国駅伝”だった今大会。
駅伝主将の東野(商4)が大会2週間前に筋膜炎になってしまい欠場。明大競走部の精神的な柱を欠いた状態の中、選手たちは一人ひとりが自分の持っている力を十分に出し切り、シード権をつかんだ。この結果は、チームをまとめ続けた東野への最高の恩返しとなった。そして、43年ぶりの重みを部員全員が大手町で噛み締めた。 しかし、これはまだスタートラインに過ぎない。これからのさらなる飛躍を目指し、明大競走部の快進撃はこれからも続いていく。
~選手のコメント~
1区 鎧坂
「楽しかった!本当に楽しかった!でも最後で抜かれてしまったので自分の走りの満足度は60%です」
2区 石川(卓)
「とにかくやりきった。今の状態なりにすべてを出し切った」
3区 北條
「もう少しやれたんじゃないかって気持ちがあるけど、シード権が取れて良かった」
4区 松本(昂)
「痛めていたかかとに加えて、マメもあって本当痛かった。区間新を出す、と思っていたけど出せなかったのはすごく悔しい。しかも区間新を2人出していたので尚更悔しかった」
5区 小林(優)
「自分のレースは後悔が残るものになってしまった。来年挽回したい。シード権が取れなかったら自分のせいだと思っていたので、取れて本当に良かった」
6区 中村
「チームを押し上げる走りができて良かった。シード権は夢だと思っていたのでめちゃくちゃうれしい」
7区 安田
「最低限の仕事はできたけど、区間賞を取れなかったのが悔しい」
8区 細川(勇)
「体調が良くていい結果を出せた。これからは今回の結果を糧に頑張っていきます」
9区 遠藤
「シード権が取れなかったら自分のせいだと思っていた。本当に良かった」
10区 卜部
「襷をもらったときは緊張してなくて、楽しんで走ることができた。7位集団が迫ってきてからは緊張した」
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