(7)富岡幸弘~強さの裏に、明治の絆あり~

(7)富岡幸弘~強さの裏に、明治の絆あり~
 シーズン最初の大会である全日本距離別選手権では、500、1000m共に国内自己ベストタイムをたたき出した富岡(政経3)。惜しくも入賞には届かなかったが、本人もにっこり「調子がいい!全力で滑った」と言うように、会心のレースだった。
 
 大学一厳しいと噂される明治の練習。当時高校二年生だった富岡の心を決めたのは、ある人からの1本の電話だった。「明治に来ないか」と誘ってくれたのは、同郷の北海道早来町出身、加えて白樺高OBの小林正暢(平15政経卒・現ムトウ)。当時日本記録保持者だった彼に強いあこがれを持っていた。

 富岡が彼を慕うこととなる決定的場面は、高校3年次のインターハイに訪れる。「小林さんのおかげで優勝できたと思っている」。――「弱気じゃ負ける。明日は勝つと言え!」と弱気になっていた自分を叱咤激励してくれた。気持ちをそこですっぱり切り替え、富岡は500、1000mW優勝の快挙を成し遂げる。

 二人の縁は、今も続いている。山梨での短距離陣の練習に、小林氏が参加。日本の先頭を滑ってきたトップスケーターの教えが、いい刺激となっているようだ。目標であるユニバーシアードの最後の選考大会、全日本スプリント選手権へ向け、着々と準備を進めている。

 富岡自身がユニバーシアード出場を確実にするための条件に挙げたのは、この大会で1000m学生1位のタイムを出すこと。常に明るい富岡だが、今回ばかりはナーバスになっている様子。「崖っぷちスケーターって呼んで」と言う彼に「また小林さんに喝を入れられちゃうよ」と返すと、この返答には微笑み返してくれた。

 「明治は上田(政経4)さん、信(黒岩・政経3)だけじゃないってところを見せたい」。ユニバーシアードに懸ける想いは他の誰にも負けない。運命の日は12月30日。富岡本来の強気の滑りができれば、間違いなくいつもの明るい笑顔を私たちに見せてくれることだろう。

◆富岡幸弘 とみおかゆきひろ 政経3 白樺学園高出 170cm・67kg