全日本選手権特集(4)
――今までの試合を振り返ってみていかがですか?
東京選手権5位は、練習不足を実感しました。自分的にはあのメンバーで5位というのは「まぁいいかな」というくらいだったんですよ。でも、コーチには叱責されて…。もう辞めようかなというほどへこみました。でも、すぐに東日本選手権があって立ち止まっているヒマもありませんでした。今までは演技中で要素がしっかりできていなくても、それなりの点数が出てしまっていたので、それに甘えてきた部分が多かったんだと思います。東日本選手権が終わった後は、逆に開き直って「頑張っちゃえ!」と思えるようになっていました。今季やってきた試合をあらためて振り返ってみて、今まで勝っていた人に負けたのが悔しいというか納得できなかったんです。普段は負けず嫌いということは全然ないんですけどね。
――では、そんな中で転機となった試合はありますか?
(11月の)オール関東選手権でSPもフリーも1位になることができました。気持ち的にいろんなことがあった後のことなのですごくうれしかったです。そのせいあってか、いつもは全日本までに気持ちが切れてしまって、全日本にうまくモチベーションをもっていくことができないんですが、今回は「余計にもっと頑張ろう」と思うようになりました。
――今年はSPを一新しましたね
自分でやりたい曲を選び、振り付けを頼んで作ってもらいました。気にいっています!フラメンコ調なので、新しくフラメンコも習い始めました。
――フラメンコを習い始めたのはなぜですか?
やはり曲の流れをつかむということが一番ですね。他には、フィギュアは氷上の練習だけではダメで、陸上トレーニングも重要。フラメンコを習うことで、最近忘れていた陸トレの大切さも思い出しました。今までのやり方の甘さや、足りなかったところに気づくことができたと思います。
――フリーは変更なしですか?
もう3年連続で同じ曲を滑ることになりますね。普通はどんなに長く使っても2年までなんですよ。でも、振り付けなどうまくできなかったので、気に入らないものを使うよりは同じものを使おうということになりました。
――今後の課題は何でしょうか?
演技後半のジャンプをトリプルでしっかり跳ぶことです。普通の選手が、演技中に5回トリプルジャンプを決めるのに対して、私はいつも3回になってしまうんです。ジャンプの点数は高いですし、トリプルならなおさら。ジャンプ以外の要素でも点数は稼げると思うんですが、ジャンプが跳べないと、せっかくの他の要素が生きてきません。だから、どんな選手でも、トリプルを5回決めるために、たくさんの練習をしています。私は心のどこかで、「失敗させるよりはダブルで」といつも守りに入ってしまっていた部分があって。体力的に持たないということもありますが、しっかり跳んで全部でトリプルを5回決められるようにしたいです。
――ありがとうございました。最後に全日本選手権での目標を聞かせて下さい。
オール関東での演技がノーミスで、気持ちも入れることが出来てすごく良かったので、モチベーションをあげて同じように演技ができたらいいなと思っています。毎試合、緊張するんですけど、全日本はやっぱり特別。友達から「緊張してるね」と言われることはめったにないのに全日本では必ず言われるくらいですから。でも、その緊張を良い方向に持っていければいいですよね。成績は去年よりも上を目指して頑張ります!
取材後、萩原は「今年はジンクスみたいなものがあるんです」と言った。それは、ご両親が見に来てくれた試合では最高の演技ができたということ。シニアで全日本に出場するのは今年で3回目。そんな中、今回初めてご両親が見に来てくれるそうだ。今季、最高の演技ができたオール関東にもご両親が見に来てくれていた。「恥ずかしいから、視界には絶対入ってほしくないんですけどね。でも、この流れだとご両親が見に来てくれた方がプラスだと思うから」。そう語る萩原は、とてもうれしそうだった。
全日本でも、このジンクスはかなうか―。それは、彼女の笑顔を見れば分かるはずだ。
◆萩原綾子 はぎわらあやこ 法3 東北高出 162cm
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