(8)山本、最高峰の舞台で笑顔の14位!/全日本選手権

1999.01.01
 山本が新体操日本一を決める全日本の舞台で、堂々の14位!出場だけでも明治からは久々のことだが、それに加えて14位という好成績。この結果によって山本は見事ユニバーシアード大会一次予選を通過し、また世界選手権二次予選へと進むこととなった。

 3カ月前の全日本インカレでは「緊張して全然自分の演技ができなかった」と悔し涙を流した山本だったが、今大会、そんな彼女はどこにもいなかった。「今年思うような演技が全然できていない。これが十代最後の演技。びびってちゃだめ。思い切ってやる」。そう決意した山本の演技は、全日本という大舞台にも関わらず堂々とし、輝いていた。大会初日、ロープでは13.300。フープではあとわずかで14点台にのるかという13.875点を記録した。

 続く2日目。「緊張してしまった」と語る後半1種目目のクラブだが、それでも13.250。緊張の中でも大きなミスを犯すことなく、次の演技につなげた。それだけでも彼女が3カ月前の全日本インカレから精神的に大きく成長したことがうかがえた。
そして最終種目のリボン。自分を落ち着かせるため、山本は会場、そして自分の演技するマットを見て、そして大きく息を吸った。「できる。やるしかない。ここまできたら順位は気にせず自分らしい演技を」。そして山本の演技が始まった。音楽に合わせた華麗な動き。山本が魅せる演技に会場からも声援と拍手が巻き起こった。曲も後半に入り疲れが出てきて当然の場面。それでも山本の演技は後半にいくにつれて勢いを増しているようだった。「後半演技が盛り上がるところは、演技していて本当に楽しかった」。リボンの得点、13.652。全種目が終わり、総合順位は2班の演技結果を待つこととなった。しかし順位が出る前に山本からはすでに笑顔がこぼれていた。「クラブは緊張してしまったけど、この大会、全日本インカレではできなかった自分らしい演技をするという目標が達成できた」。順位は関係ない。自分の演技ができたことに対する喜びの笑顔だった。

 大会前、山本にコーチはこのように声をかけていた。「練習はできているんだから、ここまできたら楽しんで演技してきなさい」。そうして臨んだこの全日本。「今回の大会、コーチや自分も含めて笑顔が多かった」と本人も語るように、今大会の山本には笑顔が多くあった。

 個人総合の結果は14位。この結果により山本は見事、上位20位以内の選手が出場できる世界選手権二次予選へと駒を進めた。「自分らしい演技をすることは達成できた。これからは難度ももっとあげていかないと」。悔し涙を流した全日本インカレから3カ月、この全日本で大きく成長した姿を見せた山本。一皮むけた彼女のこれからに、期待せずにはいられない。

◆山本千尋 やまもとちひろ 政経2 敬愛学園高出 161㎝