(6)神保町は魅力あふれる街/神田古書店連盟会長・中野さん

1999.01.01
(6)神保町は魅力あふれる街/神田古書店連盟会長・中野さん
 「神田古書店連盟」の会長を務める中野さん。明大卒業生でもあるという中野さんに、明大生と古書店とのかかわり、さらには未来の神保町について話を伺った。

 「今の駿河台校舎は新しくてきれいになっちゃって、昔みたいに学生が好きなことをしてパワーを発散する場所がなくなっちゃったよね」。以前の古い校舎では、学生が教室に照明器具を取り付けて演劇をするなど、「やりたいことを自由にやる」環境があったという。

 一方で、「自分たちが学生のころも、そんなに古書店街に来ていたわけじゃなかった」という意外な話も。「場所に縛られないのが学生だと思うし、神保町の古書は学部の授業レベルでは必要ないと思うよ」。それでももちろん、「古本屋はタイムマシンみたいなもの。1000年近い年月を、一気にさかのぼることもできる」という魅力もある。古書店にしか味わえない魅力を、一度は体感してみるのも面白い。

 「神保町は表通りじゃなくて裏通りから開発が進んでいる珍しい街」。確かに六本木ヒルズや表参道ヒルズなど、近年再開発された場所は表通りを中心に開発されている。「もし神保町が再開発されて六本木ヒルズみたいになったら、間違いなく古本屋はなくなる。神保町はまわりにたくさん大学があって、そこに本屋ができて、自然と出来上がっていった街。住んでる人たちのそういうパワーがない街は面白くないと思うよ。再開発して人為的につくられた街は、きれいでかっこいいけど面白いとは思わない」。

 古いお店が立ち並ぶ神保町。だからこそ「やりたいことを自由にやれる場所はあると思う。大学の4年間は、自由に自分を表現できる貴重な時間。いたずらして怒られるくらいがちょうどいいと思うよ」。