
ジュニア選手権開幕 慶大を圧倒し好スタートを切る/関東大学ジュニア選手権
残暑厳しい慶大日吉グラウンドで慶大と対戦した。明大は13トライを奪う猛攻で慶大を下し、ジュニア選手権、そして対抗戦へ向け幸先の良いスタートを切った。
◆9・7 関東大学ジュニア選手権(慶大日吉グラウンド)
▼対慶大戦
〇明大85{42―7、43―10}17慶大
「今日は夏合宿を終えて初めての試合。勝つことだけに集中して、試合の入りを大事にしようと意識した」(スタンドオフ神尾樹凛・政経1=国学院栃木)。その言葉どおり、明大は序盤から果敢に攻撃を繰り広げていく。前半5分、自慢のスクラムで慶大を圧倒しペナルティーを得ると、ラインアウトからモールを押し込みフッカー高比良恭介(政経2=東福岡)が先制トライを挙げた。10分には相手陣でのラインアウトからサインプレーで中央へ展開すると、左ウイング海老澤琥珀(情コミ3=報徳学園)が華麗なステップで相手ディフェンスを切り裂き、左隅にグラウンディング。難しい角度のコンバージョンキックも神尾が鮮やかに決めてみせ、試合開始から10分でスコアを14―0とした。14分にはゲームキャプテン・フルバック山川遥之(営4=尾道)がビックゲインを見せる。自陣から一気にトライラインまで攻めこむと、FWがピックアンドゴーでショートフェーズを重ね、最後はBKの展開から山川がトライエリアへボールを持ち込んだ。その後慶大に1トライを返されるも、海老澤らの献身的なディフェンスや果敢なタックルで相手に主導権を握らせず、逆に相手のミスや守備のほつれを突き2トライを奪うなど集中力高く試合を進めていった。そして34分、この試合のハイライトとも言うべきビッグプレーがさく裂する。自陣で相手ボールのラインアウトを奪うと、神尾が右サイドへ向け大きなクロスキックを放つ。鮮やかな放物線を描いた楕円球は、右ウイング大沼隼人(政経3=国学院栃木)の腕に吸い込まれるように収まった。「外からコールがかかったので、その選手に合わせる形で仕掛けた。コールがあったからこそできたプレー」(神尾)。大沼のサポートについていた左フランカー久保太進(法2=長崎北陽台)にボールが渡ると、久保はそのままゴールまで30メートル近くを走り切り、最後は相手選手を引きずりながら中央にグラウンディング。アグレッシブな攻撃を仕掛け、前半だけで6つのトライを奪った明大。神尾のコンバージョンキックも全て決まり、42―7で前半を折り返した。
後半も立ち上がりから攻め込んでいく明大。序盤は特にFWを起点に攻撃を仕掛けていった。44分にラインアウトからモールを押し込みアドバンテージを得ると、そのまま右プロップ富田陸(政経4=大阪桐蔭)がグラウンディング。49分にはスクラムを押し込んで相手ディフェンスが乱れたところを右センター大和哲将(政経2=佐賀工)がブレーク。サポートについた大沼がパスを受け取りトライエリアまで駆け抜けていった。抜けたときの準備はちゃんとできていた」(大沼)。「あそこで抜けるのは想定内だったし、自分がパスをもらう形も想定していたので、54分には高比良、左プロップ伊藤潤乃助(文4=常翔学園)のフロントロー二人がボールキャリーで大きく前進し、その後もショートフェーズを重ね久保が左隅にトライ。「仲間がいいところまでボールを運んでくれたので、あとはトライするだけだった」(久保)。試合終盤にはBKが展開力と巧みなアタックで好機をつくった。66分に自陣22メートルラインのラインアウトをスティールすると、BKが右へ大きく展開。途中交代でフルバックに入った伊藤利江人(商3=報徳学園)が裏のスペースへ長いキックを蹴りこんだ。懸命にチェイスしていた大沼がボールを拾い上げると、そのまま相手を振り切ってトライエリアへとボールを持ち込んだ。70分には途中交代のスクラムハーフ田中景翔(文3=常翔学園)がパスダミーを織り交ぜた巧みなランでブレークしそのままトライを奪う。そして72分にはまたしても神尾のクロスキックから大沼がハットトリックとなるトライを決めた。74分には鮮やかなロングパスから伊藤利がとどめのトライ。後半は2トライを奪われるも、終始慶大を圧倒したまま85―17でノーサイドとなった。
試合を通じて強力なFWとスキルフルなBKが多彩な攻撃を魅せ、13トライ10ゴールを奪う圧倒的な攻撃力で慶大を下した明大。関東大学対抗戦の開幕も近づく中、ジュニア戦士たちの活躍は必ずや明大のチーム力を底上げしてくれるだろう。熾烈(しれつ)な競争と固い結束が生み出す明大の快進撃。その開幕が、待ち遠しい。
[加藤晃誠]
試合後のコメント
久保
――チームで良かった点と反省点を教えてください。
「良かった点は入りからしっかり自分たちのラグビーができて、得点を重ねられた点です。反省点としては、それ(自分たちのラグビー)を一貫してできなかったところ、後半に点を取られたりして自分たちの流れをもっていけない部分が多々あったのでチームで一貫してできるようにしていきたいです」
神尾
――今後に向けての意気込みをお願いします。
「チームとしては対抗戦全勝を求めていて、自分としては紫紺を着ることと、一試合一試合大事に学んでいくことを自分の中での目標にしています」
大沼
――今日はどのようなプランで臨みましたか。
「キックでエリアを取って、ディフェンスでボールを奪うっていうのは自分としてはできたと思います」
山川
――BK全体の出来はいかがでしたか。
「BKは若いメンバーだったんですけど、生き生きとしていて、一人一人が強いキャリー、いいディフェンスをしてくれたと思います」
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