
あと一歩届かず、ジュニア終戦/関東大学ジュニア選手権
前半は苦しいゲーム展開。序盤に早稲田のペナルティから敵陣深くでチャンスを得るも、スクラムホイールの反則でそれを逸してしまう。その後も接点で上回ることができず、ボールを動かしてもゲインを切ることができない。マイボールスクラムからサインプレーも試みたが息が合わず。相手の我慢我慢のディフェンスにたまらずペナルティを取られるという展開を繰り返し、ほとんどチャンスらしいチャンスを作り出すことができない。大半の時間を自陣で過ごす展開で、何とか粘り強いディフェンスで2トライの失点にとどめたが、ホームの早稲田に完全に押されっぱなしのまま折り返した。
前半が終了して0-10。このようなスコアは今シーズン何度も目にしてきた。前半は何とか試合を作っても、後半スタミナが持たずに突き放される・・・。観客席に収まりきれない程に詰めかけた多くのファンは同じような思いを抱いていたことだろう。ましてやこの試合展開だったら40分後にはどうなるのだろうかと。
しかし、後半を迎えるとその不安はいい方向に裏切られることとなる。「いつも後半切れてしまっていたから、今日は後半を前半以上にやろう」(成田)と誓ったチームは、風上だったことも力に変え、前半までの守勢は何だったのかと思わせるように攻め続けた。序盤に武田が待望のトライを奪取して3点差とすると、PGを決められ6点にビハインドを広げられてからも敵陣で相手のゴールラインを幾度も浸食しかけた。次のトライをどちらが取るのか――。試合も終盤を迎え、双方のファンが一喜一憂しながら見守る中、明治が敵陣ゴール前5メートルでのスクラムからボールを展開。ついにディフェンスラインを破るラストパスか・・・と思った次の瞬間、ボールは無情にもグラウンドを転々としていた。ラインの谷間にうまく飛び込んでいただけに、ギャラリーからは大きなため息が漏れた。攻めても攻めても取りきれない。この煮え切らない思いは最悪の結果となって返ってきた。終了間際に一瞬の隙を突かれ、外を割られて試合を決する痛恨のトライ。相手のミスをチャンスに変え、それをしっかりものにしたほうが勝つ。どのスポーツでも言われる展開をまさに見せつけられることとなってしまった。点差こそ13点だったが、内容的にはそれ以上に悔やまれるものとなった。
今日の試合も「取れそうで取りきれない」。厳しく言ってしまえばそれまでなのかもしれない。だが、今日の彼らは「負けていてもまた見に行きたくなる試合」を見せてくれたように思う。今まではなかった「見ている者たちに訴えかける何か」の一端を、垣間見られたようにも感じられた。もちろん、この試合だけで期待して応援し続けてくれたファンへの裏切りを取り返せるわけでは到底ないが。
いよいよ来週、今シーズンのラストゲームとなる早明戦を迎える。伝統の早明戦について敵将である中竹監督はこう語っている。「早明戦には魔物が住んでいる。何が起こるか分からない。そういう意味では、例年より今年の方が怖い」と。6位に沈み、選手権出場をも逃したチームと「荒ぶる」を目指してまい進し続けるチーム。実力差は確かにあるのかもしれない。ただ、今日のようなゲームがその「何か」を起こすのかもしれない。
12月7日、伝統の国立のピッチで、私は「魔物」が見たい。
~選手のコメント~
吉住
「最初早大のディフェンスの出足が早く、対応できなかった。後半途中まで計画通りだったが、ミスが多く早稲田に突き放された。」
成田
「今日はいつもよりチームも盛り上がっていたし、気持ちも入っていた。目標は入りとラストの20分の気が抜けてしまうところをしっかりやることだった。後半はいつも切れてしまって取ったら取られるという展開になってしまっていたので、後半は前半以上にやろうというのをハーフタイムに確認した。(試合後の涙は)先日のケガで目の手術をしたが、なんとかこの試合にぎりぎり間に合うことができたから。それに4年間の思いもこみあげてきたのもあって。それだけにより悔しい。Aチームには勝って喜び、嬉し涙を流してもらいたい」。
鈴木
「ハーフタイムで山口BKコーチがスペースが開いている場所を教えてくれたので、後半はBK陣が上手く機能した。ミスが多く、勝てるはずの試合だった。」
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