インカレ事前インタビュー⑦ 山岸美咲マネ、忽那知美マネ「誇れるチーム、誇れる選手、誇れるスタッフ」/日本学生選手権

2025.09.03

 9月4日から4日間、大学競泳界最大の大会・日本学生選手権(インカレ)が行われる。今シーズン最後となる大学対抗戦。『mighty』(力強い、偉大)というスローガンのもと、男子は総合優勝3連覇、女子はシード権獲得を目指す。

 今回は、山岸美咲マネジャー(情コミ4=明大八王子)、忽那知美マネジャー(国際4=明大八王子)のインカレ事前インタビューをお届けする。

(このインタビューは8月24日に行われました)

――4年間を振り返ってあっという間だったという感じはしますか。

山岸(以下、山)「振り返ってみると本当にあっという間だったかなと思います」

忽那(以下、忽)「私もあっという間だったと思います。1年1年仕事内容もそうですし、思いなども変わってきて、そういう面ではすごく充実した4年間だったかなと思います」

――引退が近い今だからこそ、マネジャーをやっていて良かったなと思う瞬間はありますか。

「ありきたりかもしれないですが、選手が結果を出したときは自分がサポートしたからこそ、やはりマネジャーをやっていて良かったなと思いますし、一番やっていてうれしい瞬間かなと思います」

「自分も基本的には同じ回答になるのですが、今までは結構自分のために勉強したりしてきたのですが、初めて人のために色々考えてやる中でうまくいかないこともあって、選手が悔しいときのことが自分のことのように悔しく思うこともあったし、うれしく思うこともあって、そういった経験ができたのはすごく良かったです」

――マネジャーは具体的にどのようなお仕事をされてるか教えてください。

「私は今一番上の立場、チーフマネジャーなので、細々とした仕事もありますが、総括の方が大きいかなといつも思っています。今はマネジャーチームが12人と例年より大所帯なので、全体をまとめることや率いることに力を入れています」

「私は3年生まではエントリー業務を主にやっていたのですが、今は後輩に引き継いでその管理をしつつ、ホームページやSNS運用に力を入れています」

――選手を支える立場として意識していることはありますか。

「私は常に先回り、1つ2つ3つ先を見据えて行動することを意識しています。監督や選手に頼まれてから動くのではなく、頼まれる前に『こうした方が動きやすいかな』や『チームが円滑に動くかな』と考えて行動するようにしています」

「同じく結果に直接つながらないからこそ、先回りや想定を重ねて、何かあっても『自分たちのやれる最大限はできた』と思えるようにしています」

――マネジャー同士だからこそ分かり合える気持ちはありますか

「自分の頑張りは目に見えないし褒められることも少ないです。だからこそ苦しいときやうれしいときを共有できるのはマネジャー同士ならではだと思います」

――マネジャーとして苦しかったことはありますか。

「一番苦しかったのは、自分の存在意義を考えたときです。下級生の時は『自分がいなくてもいいのかな』と悩みましたし、頑張っても選手からマイナスに言われることもあって『伝わっていないんだ』と落ち込んだこともありました」

「私たちはプレイヤーではないので、表に立つことが少なく存在が見えにくく、頑張りが伝わらないことが苦しかったです。ただ、同期や他大学のマネジャーと話すと同じ気持ちだと分かり合えるのは大きな支えでした」

――マネジャー以外にもいろいろなサークルやアルバイトの選択肢があったと思いますが、なぜマネジャーを選んだのですか。

「決め手はやはり明治大学水泳部がすごく強豪だということです。私は選手もやっていたのですが、そこまでのレベルではなかったので、マネジャーとしてでも強いチームの一員になれるチャンスだと思って決めました」

「私も高校まで競技を続けていました。その頃から水泳部のインスタグラムをよく見ていて、高校の先輩がマネジャーをやっていたこともあり実際に体験に行って、自分のレベルでは到底目指せなかった大会や日本一をマネジャーとして見てみたいと思いました」

――選手経験があるからこそ、『マネジャーに◯◯してほしいな』と思ったことはありましたか。

「正直な話、それはなかったです。選手のときはあまりマネジャーと関わりがなく、同期の一員ぐらいにしか思っていませんでした。今は自分なりに理想のマネジャー像を考えて動いています」

「私も同じで、高校の部活のマネジャーと大学のマネジャーは全然違うと思います。高校時代に感じたことを直接生かせているわけではないですね」

――高校と大学のマネジャーの違いはどんなところですか

「高校では部活内でタイムを計ったり、練習の補助をするのが中心でした。大学は体育会という組織なので、エントリーや書類作成、保護者対応なども多く、幅広い仕事を担うことになります」

「大学は関わる人数も多いですし、OBや保護者など大人の方との関わりもあります。選手のレベルも高く、アマチュアですがほぼプロ並み。その分マネジャーも真剣さや責任感を持たないと務まらないと思います」

――4年間を振り返って、自分が成長したなと思う点はありますか。

「今年度はチーフマネジャーとしてトップに立ち、後輩の動かし方や組織のまとめ方を試行錯誤してきました。やり方を変えたり、時には厳しく言ったり、周りを見ながら動いたりするようになり、そこが成長した部分だと思います」

「1年生の頃は先輩に言われたことをこなすだけでした。でも4年生になると、保護者やOB、他大学からも見られる存在になるので、自分たちの色=明治大学の色になると意識するようになりました。発言や行動にも責任を持つようになったのが成長だと思います」

――後輩がたくさん入ってきたことで大変だったことや良かったことはありますか

「人数が多いと仕事を分担する時にばらつきが出て難しく、今も試行錯誤中です。ただ、今後は人数が多い分できることやサポートの幅が広がるので期待しています」

「最初は偏りや派閥ができるのではないかと心配しましたが、後輩同士でうまくコミュニケーションを取っていて安心しました。全員に仕事を分けるのは難しいですが、新しい媒体に挑戦するなど仕事の幅を広げれば可能性はあると思います」

――SNS運営がとても評価されていますが、大変だったことや達成感はありますか

「ありがたいことに、入ってきたマネジャーのほとんどがインスタグラムを見て興味を持ったと言ってくれました。SNSに力を入れて活動してきた成果が入部という形で現れたのはうれしいです。今は引退までにフォロワー7000人を目標に活動しています」

――インスタグラムの運営はどのような体制でやっているのですか。

「全員がログインしていて、担当の日にそれぞれが投稿する形です。私は今シーズンは特に自分が企画を出して、インカレのカウントダウン投稿なども進めています。毎年、その代のマネジャーが話し合ってSNSの雰囲気を決めています」

――マネジャーだからこそ見える景色はありますか。

「選手の練習を毎日見ているので、今日は調子が悪そうとか頑張ってるなというのが分かります。その選手が試合で結果を出してくれると良かったなと感じます。マネジャーだからこその視点かなと思います」

「私も日々の練習を見ているからこそ、アップの時点で今日は調子がいいなと分かることがあります。そこでベストを出してくれると本当にうれしいです」

――タイム測定について、やりがいや工夫していることはありますか。

「入部当初は分からないことばかりでしたが、続けていくうちにみんな速くなってるな、強くなってるなとデータで分かるのがやりがいでした」

「最初は速すぎて分からなかったですが、積み重ねで理解できるようになりました」

――選手が知らないマネジャーの努力はどのようなことがありますか。

「正直、マネジャーの仕事の9割は選手が知らないことだと思います。練習中以外の仕事が多く、外部との連絡や書類対応などがたくさんあります」

「パソコンが必須なので、どんな時でも絶対に持ち歩いています。どこでも作業できるようにするのはマネジャーあるあるですね」

――インカレ前にみんなで決めていることや習慣はありますか。

「インカレ前はネイルを紫にするとか、サンダルをおそろいにするとか、自然に始まったことを毎年みんなでやっています」

「1年生が手作りのお守りを作ってくれて、それを全員でつけています。今年も作っているのでインカレで見られると思います」

――インカレに向けてこれだけはやり遂げたいと思っていることはありますか。

「最後は選手を招集所に送り出すだけなので、ここまで頑張ってきた姿を信じて送り出したいです」

「同じく、最後は笑顔で帰ってきてくれたらうれしいですが、もしそうでなくても受け止められるようにしたいです」

――マネジャーとしてインカレ中に意識していることはありますか。

「インカレはお祭りのように盛り上がりますが、その中で冷静に周りを見て動くことを意識しています」

「盛り上げも大事ですが、冷静さを忘れないようにしています」

――今大会がラストになりますが、最後に大会に向けてどのような思いを持っていますか。

「選手の結果ももちろんですが、監督が言っていたようにチームとして天皇杯を取った瞬間が一番の喜びです」

「私は2年生のときに初めて日本一になり、先輩が言っていたすごい景色を実感しました。今年もその景色を見たいです」

――最後に明スポ読者の皆さまへメッセージをお願いします。

「私も誇れるチーム、誇れる選手、誇れるスタッフだと思うので、ぜひ注目してほしいです」

――ありがとうございました。

[杉本菜緒]

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