積年の思い実らず、日本一への道閉ざされる/関東大学リーグ戦

 クラッシュボウル出場への切符を懸け、明治大学グリフィンズvs.法政大学トマホークスの一戦が川崎球場にて行われた。リーグ全勝と破竹の勢いで勝ち進んできた両雄の対決は、トマホークスに軍配。23年ぶり念願の甲子園ボウル出場はまたも夢と消えた――。

 かねてこの天王山に照準を合わせ、スカウティングを重ねてきたグリフィンズ。ランとパスの両方に長けたトマホークス戦へ、「チームは最高の状態で迎えることができた」(芹澤・文4)と総力戦の準備は整っていた。

 気温12℃。いてつく強雨が降りしきる中、グリフィンズのキックオフでゲームは始まった。グリフィンズは、総得点326、総失点40(第6節終了時)と両リーグ通して№1の数値をたたき出しているトマホークスを前にしてもひるむことなく、モットーである『泥臭さ』を全面に押し出したプレーで食らい付く。共に攻撃の軸となったのはチームが誇る最強RBだ。昨季リーディングラッシャー・RB#33喜代吉(理工3)と今季リーディングラッシャー最右翼のRB#29原(法大)による熾烈なラン合戦に注目が集まった。

 試合が動いたのは第1クォーター終盤。トマホークスはランとパスを織り交ぜた攻撃で、着々と陣地を拡大していく。幾度もファーストダウン獲得を許したグリフィンズ。最後はRB原(法大)のランで押し込まれ、先制のタッチダウンを奪われてしまう。

 しかし第2クォーター開始早々にグリフィンズのビッグプレーが炸裂する。QB#16田中(蔵・政経2)からのミドルパスをキャッチしたWR#1安田(営2)が、すぐさま右サイドを駆け上がってきた喜代吉にボールをトス。喜代吉はディフェンス陣を振り切り、エンドゾーンまで走り抜けた。「対法大戦用に隠していた」(安田)というラテラルパスから試合を振り出しに戻す同点のタッチダウンへと結び付ける。開始わずか10秒、電光石火のタッチダウン劇に観客はこの日一番の盛り上がりを見せた。

 オフェンス陣の攻勢にディフェンス陣も応えた。DL#5杉山主将(政経4)、チームの守護神・LB#10芹澤の指揮のもと、テーマとして掲げていた『全員ディフェンス』で強力トマホークスオフェンスの前進を許さない。持ち前の低く鋭いタックルで杉山主将やDL#99小林(政経3)らライン陣がロスタックルを決めれば、SF#19関(政経2)がパスインターセプトを奪うなど要所での堅守が光った。
 互いに譲らず6―6のロースコアで迎えたファイナルクォーター。ここまで、爆発的な攻撃力を持つトマホークスのランとパスを封じ込め、フィールドゴール圏内にすら入れさせなかったグリフィンズだったが、「ディフェンスのキレがなくなった」(芹澤)とここにきて失速。開始から1分半、またも原(法大)に均衡を破る51ヤードのタッチダウンランを決められ、追い込まれた。

 トマホークスの歓喜の咆哮(ほうこう)がピッチに響き渡り、静まり返るグリフィンズスタンド。万事休すか――。誰もがそう思った矢先だった。直後のキックオフボールをRB#28北村(政経2)がキャッチ、切り裂くように左サイドへ走り込み、一気に55ヤードもの独走でチャンスメイク。勝利への気運を高めた。まだいける――。逆転を信じ、ボールは田中(蔵)から喜代吉にハンドオフされた。走路をこじ開け、ボールをキャリーする喜代吉。エンドゾーンまではあとわずか。だが「詰めの甘さが出た。一生悔やまれるプレー」(喜代吉)と、襲い来るディフェンスのハードタックルに対応し切れず、転倒。思いを乗せたボールは喜代吉の手からこぼれ落ち、ファンブルリターンを許す。それと同時に足を抱え込みうずくまる喜代吉。エースの負傷退場――攻撃の中核を欠いたグリフィンズに反撃の力は残されていなかった。その後はトマホークスにゲームを支配されたまま、無常にも試合終了の笛が鳴り響いた。

 またも断たれた甲子園ボウルへの道。本当にあと一歩だった。今年は5年ぶりとなる地獄の夏合宿も復活させ、リーグ戦に備えるなどチームの布陣は万全だった。下級生の台頭もあり、「今年は本当に勝てるチーム」(杉山主将)とその強さに絶対の自信をのぞかせていただけに、敗戦の悔しさは一入(ひとしお)だ。人目もはばからず泣き崩れるグリフィンズの面々。しかしスタンドのファンからは惜しみない賛辞の拍手が降り注いだ。
 悔し涙を浮かべながらも、「4年間の集大成を見せられた」と語った芹澤。敗れはしたが、それほど凝縮された密度の濃い一戦だった。このチームで日本一を目指すことはもうできないが、その思いは下級生へと引き継がれていく。「この悔しさを糧に来年こそは絶対に甲子園ボウルに出場する」(喜代吉)。足りないあと一歩を埋める1年が今始まろうとしている。