重量級2人がフリーで3位! 大浦は全日本で初の表彰台/全日本学生選手権

2025.08.28

 大会3、4日目は全身の攻撃が許されるフリースタイルが行われた。トーナメント戦で競い、2日目まで残ることができた選手は9人。昨年度は1人も届かなかった表彰台に2人が上がり「全体的な底上げができた」(森陽保監督)と確かな手ごたえのある大会となった。

◆8・21~24 全日本学生選手権(駒沢屋内球技場)
▼3、4日目
[男子フリースタイル]
▼57キロ級

志村――5位
▼61キロ級
葛城――ベスト16
小山内――ベスト16
▼65キロ級
遠藤――ベスト16
曽野――ベスト16
三島――ベスト16
▼86キロ級
森――5位
▼97キロ級
大浦――3位
▼125キロ級
菊地――3位

 61キログラム級に出場した葛城壱成(農4=和歌山北)。2回戦では序盤に3-0とリードを奪うも途中で4-3と逆転を許す。それでも試合終了間際に渾身(こんしん)の投げを決め、土壇場で4年生の意地を見せて逆転勝利を収めた。続く3回戦ではローリングで大量得点を挙げ、テクニカルスペリオリティ勝ち。見事、準々決勝進出を決めた。 同じく61キログラム級に出場した小山内葵生(営3=埼玉栄)も気迫全開。2、3回戦と果敢な攻めで相手を圧倒して連勝し、準々決勝進出へ駒を進めた。

 ベスト4進出の目標を掲げて今大会に挑んだ大浦響(営4=山形市立商)は準々決勝で完封勝利を挙げた。しかし準決勝、相手は表彰台常連の濱田豊喜(中大)。「相性が良くないのは分かっていたが、一泡吹かせてやろう」(大浦)と臨むも、開始18秒後に右足を奪われ、先に相手に2点を献上。さらに1分後には、一瞬のスキを突かれ、状態を崩されると背後を奪われる。「格が違った」(大浦)とそのまま主導権は奪えず、4分3秒を残して試合終了となった。準決勝敗退とはなったものの、最後になると思い臨んだ大会で3位と自己最高記録を更新。目標のベスト4入りを果たし、見事11月に行われる内閣総理大臣杯への出場を決めた。

 優勝を目指していたグレコローマンスタイルでは初戦敗退となり悔しさをにじませた菊地一瑳(政経3=埼玉栄)は、フリースタイル1日目の勝利でベスト8入りを決め、目標とする準決勝の舞台を懸けた戦いに挑んだ。会場に響き渡るほどの大きな声で「お願いします」と発し、マットに上がった菊地。2点を先に奪われるものの、すぐにローリングで4点を取り返すと次々と点を重ね、最後は投げ技で13―3とする。相手のチャレンジ失敗で最終スコアは14―3とし、準決勝へ進出した。しかし準決勝の相手はこちらも表彰台常連のソヴィット・アビレイ(山梨学院大)。約1分半の粘りを見せるも、決勝進出とはならず。重量級2人が3位の健闘を見せ、今大会は幕を下ろした。

 今大会でほとんどの4年生が引退する。今年度主将を務めた志村優充主将(営4=足利大付)は「リーグ戦は現状維持に留まってしまったが、来年以降は皆が戦力となって頑張ってほしい」と後輩の活躍に期待を込めた。

[小松錦葵、下田裕也]

試合後のコメント
森監督
――今大会で収穫はございましたか。
 「ベスト16の段階で9名残ったのは、過去になかったものだと思っているので、一定のレベルは上がってきているのではないかなと思っています。練習面についても、ただ点数を取るのではなくて、取った後にどんな新しい技を形成していくか、動いていくのかというところでさらにチームとしてレベルアップができるのではないかなと思っています」

――底上げをできた、結果につながったのはどのような変化からですか。
 「正直、昨年度のチームの方が雰囲気は良かったかなと思っていたのですが、今年はキャプテンの志村、西村がとにかくリーダーシップを発揮してくれて頑張ってくれたことですかね。練習も自分たちで一応考えながら、またコーチ陣のアドバイスをもらいながら少しレベルアップができたのではないかなと思っています」

――惜しい試合もありました。今後、選手に期待することを教えてください。
 「曽野壱晟 (文3=いなべ総合)に関しては4月のJOCで胸骨を折って、まだくっついていない状況で今回は試合に出ているので、その中でよく頑張ったなと思っています。菊地については自分に甘いところがあるので、そこをもっと厳しくやってくれれば結果は出ると思います。大浦については最後で一応表彰台に登れたというところについて、日頃やってきたことがつながったと思います。髙塚(恒輝 ・法3=新宮)も最近は姿勢が変わってきていて期待しています」

志村
――キャプテンとして、1年間どのようなことを頑張りましたか。
 「まずは去年の先輩が築いてくれた土台を崩さずに、さらにどのくらいレベルアップできるかというところに注力したのですが、それに後輩が応えてくれたのはチームの雰囲気として良くなったと思います」

大浦
――3位という結果はいかがですか。
 「僕自身、全国大会でメダルを取るというのが今回初めてだったので、本当にうれしいことだなと思っています。家族にもちゃんと感謝の気持ちと一緒に伝えたい、報告したいなと思います」

葛城
――今大会を振り返っていかがでしたか。
 「ふとした時に周りから声が聞こえてきて『集中!』とか『点やっちゃだめよ』とか聞こえてくると一回、疲れたなとなっている気持ちに『よしっ!』と気持ち入れ替えながらできたので、みんなの応援をする時ももっとしっかり力を入れられたらなと思います」

菊地
――今後の意気込みをお願いします。
 「自分は来年もあるので、メダルの色をいい方に変えたいなと思うのと、まだこれから内閣(総理大臣杯)とかもあるので、とりあえずいい結果を出せるように頑張りたいです」