
(女子)華麗な『トゥーランドット』で魅了! 江川総合5位入賞/サマーカップ2025選手権女子FS
サマーカップの最終カテゴリーを飾ったのは選手権女子FS(フリースケーティング)の演技だ。SP(ショートプログラム)で7位につけた江川マリア(政経4=香椎)がTES(技術点)で高得点をたたき出し総合5位と入賞を果たした。SP2位発進の住吉りをん(商4=駒場学園)は、大技4回転トーループをはじめとするエレメンツにミスが続き総合7位に、8位発進の奥野友莉菜(商1=駒場学園)もジャンプに乱れがあり総合10位で今大会を終えた。
◆8・9〜12 サマーカップ2025(木下カンセーアイスアリーナ)
▼選手権女子FS

江川の圧巻の演技に会場が拍手と歓声に包まれた。今シーズンのFSは、昨シーズンから継続となる『トゥーランドット』。冒頭の3回転フリップと3回転トーループのコンビネーションジャンプはGOE(出来栄え点)1.24点を記録。「今シーズン3試合目となる今大会で一番いいフリップトーが入った」と確かな手応えを感じた。その後のジャンプも加点を連続し、安定した滑りを見せた。演技後半、曲調が変わる場面でダブルアクセル、3回転トーループ、2回転トーループで高さのある3連続ジャンプを着氷。壮大な音楽に合わせた力強さのある滑りで『トゥーランドット』の主人公の心情の変化を表現し、持ち味である高速で華麗なレイバックスピンで締め括った。FSでのスピン、ステップは全て最高難度のレベル4を獲得。TESは優勝した中井亜美(TOKIOインカラミ)に次ぐ2位の68.42点を記録した。演技後には「一つ一つ丁寧に、いい集中力で滑り切ることができた」と充実の表情を浮かべた。シーズン開幕に向けて「今はエレメンツが中心となっている。ジャンプのギリギリまで表現に意識を向けられるように、ジャンプに余裕を持てるようにしたい」と課題を分析した。PCS(演技構成点)を伸ばすことができれば、目標とする国際大会出場に大きく近づくはずだ。今後より洗練されたプログラムに期待したい。

SP2位の住吉は継続プログラム『Adiemus』で優勝を狙った。しかし「最近は今までよりも自信を持って臨むことはできていたが、ここの氷に入ってから降りられていなかった」という4回転トーループでは回転不足を取られ、流れに乗れず。その後のエレメンツに関しても「全てにおいて自分がやりたいと思っていたものがことごとくうまくいかなかった」と、演技後には淡々と振り返った。SPの勢いそのままとはいかず、FS127.39点で総合7位となった。

奥野は昨シーズンから継続のプログラム『The PHANTOM of the OPERA』を披露した。冒頭の3回転ルッツは回転が抜けるミスとなったが、その後はイナバウアーからのダブルアクセルを流れるように着氷し会場を沸かせた。演技後半の3回転ルッツは惜しくも転倒、続く3連続ジャンプも回転不足の判定とジャンプにミスが続き「心の問題ではなくて、技術的にタイミングが合わなかった」と悔しさを口にした。ミスした後の切り替えを課題としていた奥野だが、その後のコレオシークエンスではイナバウアーとイーグルで華麗な滑りを魅せGOEは1.00を記録するなど、失敗を払拭(ふっしょく)する心の強さを見せた。奥野にとって『The PHANTOM of the OPERA』はノービス時代にも一度滑ったことのある思い入れのある曲。「観客やジャッジの方にも物語が伝わっていくような表現をしたい」と本格的なシーズン開幕に向け表現面にも力を入れていく。
[髙橋未羽、橋本太陽]
試合後のコメント
江川
――『トゥーランドット』は王道の曲で、今シーズンも多くの選手が使用していますが、ご自身でどのような色出していきたいか、またこだわりはありますか。
「自分の一つの強みとして、振りの中で流れのまま(ジャンプを)跳ぶことができる点だと思っているので、最初から最後まで、物語の世界観を壊さないように熱を入れてということを意識してプログラムをつくっています」
――次戦に向けてブラッシュアップしたい点はございますか。
「ジャンプとジャンプの間というのが自分の中で気になる部分かなと思うので、そこをブラッシュアップできればと思います」
住吉
――五輪シーズンでもありますが、今シーズンの目標をお願いします。
「こうやって弱い部分があるというところで、そこが自分が五輪にいけるかいけないかに関わってくると思っています。そこをしっかり根本的に解決できるように、どんな場面でもやり切るという強さを、五輪という大きな目標に向かって改善していきたいです」
――国際大会も控える中で、そこからの逆算という意味で今の状態はどのくらいでしょうか。
「今シーズン何試合か出た中で、初めてここまで緊張して臨みました。そういった中だとまだこうやって弱さが出るんだなということを痛感したので、自分にプレッシャーをかける練習を積んでいけたら一番いいのかなと思います」
奥野
――プログラムの中で見てほしいポイントがあれば教えてください。
「コレオシークエンスがイナバウアーだったり、イーグルだったり、滑って見せる部分が多くて。みんなそうか(笑)。なんて言うんでしょう、私の得意なイーグルだったりを魅せられる部分なのでコレオが一番注目してほしい部分ですね」
――ノービス時代にも滑ったことのあるプログラムとのことですが、ご自身で成長したと思う部分を教えてください。
「ノービスの時は本当にスケーティングもそうですし、ジャンプも全てヘナチョコだったので、大きくなって、漕いでいるように見せないスケーティングを身につけられたと思うので、そういった部分がノービスの頃とは違うかなと思います」
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