(女子)住吉2位発進 淡く優しい演技で魅せる/サマーカップ2025選手権女子SP

 大会3日目となる11日には、選手権女子SP(ショートプログラム)の演技が行われた。明大からは住吉りをん(商4=駒場学園)、江川マリア(政経4=香椎)、奥野友莉菜(商1=駒場学園)が出場。住吉が2位につけ、3人とも60点台に乗せる好発進を見せた。

◆8・9〜12 サマーカップ2025(木下カンセーアイスアリーナ)
▼選手権女子SP

 住吉は新プログラム『Alba Lullaby』を演じた。曲名にある『子守唄』から連想し「昔の記憶から家族との思い出を回想していくような場面から、つらいことを乗り越えて、ここまで支えてくれた家族への感謝の気持ちを込めたい」という思いを語った。その言葉通り、パステルカラーの衣装に身を包み、和やかに演じる。演技全体としてジャンプでの加点には伸び悩んだが、得点は65.22。全体トップのPCS(演技構成点)を獲得したことが点数につながった。「五輪シーズンという大事な時に、自分にとってミーシャ(ミーシャ・ジー)とのプログラムの相性の良さを感じている。ミーシャも私のスケートをどんどん理解してくれていて、私のスケートを一番よく見せるためのプログラムを作ってくださった」と、充実した表情を見せた。FS(フリースケーティング)では140点付近が優勝へのラインになってくるか。注目が集まる。

(写真:柔らかな曲調に乗せて舞う江川)

 江川は節目のシーズンに合わせた『アヴェ・マリア』を披露。7月のアクアカップでも明言した通り、SPの冒頭では3回転フリップと3回転トーループのコンビネーションジャンプを導入する。今試合では壁に寄りすぎて転倒したものの「(昨シーズンは)ほとんど大会で入れられなかったが、今年の成功率としては、70、80パーセントぐらいで、練習では常に跳べている」と直近の手応えを口にした。情感あふれる演技で、笑顔を絶やさず滑り切った江川。PCSに課題は残ったが、得意のレイバックスピンなどで加点を稼ぎ、SPは7位発進となった。

(写真:フィニッシュポーズを決める奥野)

 奥野はワインレッドの新衣装と、高貴な雰囲気のある髪飾りを身にまとい氷上に立った。『Danse Mon Esmeralda』の曲調に合わせ、演技冒頭のイナバウアーからのダブルアクセルを華麗に着氷。コンビネーションジャンプはセカンドジャンプが回転不足となり、その後のスピンも解けてしまうミスが連続した。それでも3本目の3回転フリップは加点のつくジャンプを決め、演技後半のスピンは2種類どちらも最高難度のレベル4を獲得する立て直しを見せた。昨シーズンからの課題として、ミスをした後の立て直しを挙げていた奥野。今大会では「自信を持って挑めて、立て直すことができた。ローカル大会からそういったことができるというのは、成長だと思う」と手応えを感じた。

 点数が拮抗(きっこう)し、し烈な争いを極める選手権女子。五輪シーズンの今年はさらに激戦が予想される。FSでも好演技を見せ、シーズンの幕開けにインパクトを残したい。

[髙橋未羽、橋本太陽]

試合後のコメント
住吉
――演技を振り返っていかがですか。
 「今回のSPに関しては、ジャンプのところで6分間練習から少しかみ合っていなかったのですごく悔しいんですけど、そこ以外に関してはすごく自分が納得できる、練習してきたものを演技としてお見せできたかなと思います」

――FSの4回転トーループはいかがでしょうか。
 「昨シーズンはすごく自分の中で悩む感じになってしまって、全く練習の中でも入らないという状態だったので、全く武器にはなっていないなと感じていました。今シーズンに入って跳び方の改善をして、それによって必ず今の時点で1日1本、2本は降りられるようになっています。今年は曲の中ではあまり入っていないので『明日決めます』ということは言えないんですけど、この期間にどんどん精度を上げていって、今年は武器にできるかなというふうに考えています」

江川
――(コンビネーションジャンプは)壁が近すぎて転倒してしまったということでしょうか。
 「回り切っていたかは感覚は分からないんですけど、自分の中では降りた感覚で、降りたらこう少し(グラッと)なってしまったので、しっかりそこはスピードをうまく制御しながらできたらなと思っています」

――今シーズンのSPの点数の目標を教えてください。
 「SPはコンスタントに60点台後半を出していけるようにというのも含めて、今年はフリップトーの構成で挑む予定です」

奥野
――衣装の気に入っている点を教えてください。
 「気に入っている点は全部なんですけど、左右で腕の部分が少し違って、(左腕の)ひらひらしている部分がお気に入りです」

――選曲の理由を教えていただきたいです。
 「宮本賢二先生に『何かおすすめの曲ありますか』と聞いてみて提案していただいた曲です。自分の中でも男性ボーカルの曲を一度やってみたかったので、すごくいいなと思ったのと、賢二先生が『私に似合う、これを滑ったらいいと思う』と言ってくださるということは、もう絶対いいんだろうなと思って、即決しました」

――課題はメンタルとおっしゃっていましたが、どういうふうに強化していきたいですか。
 「とにかく自信をつけることというのは岡島(功治)先生と話していて、練習のジャンプ自体はすごくいいので、自分を信じて。『自信を持ってやれば絶対できるよ』って先生は言ってくれています」