
帝京に敗戦、24年ぶりに閉ざされた選手権の道/関東大学対抗戦
前半14分、自陣10m付近での明治ボールラインアウトを帝京大No.8野口がキャッチ。そこからFW戦でじわじわゴールラインににじり寄ると、最後はBKでパスをつなげ最後はCTB南橋が先制トライをねじ込んだ。FWBKが連携したその様は皮肉にも「縦横無尽」そのもの。自分たちが1年間追い求めたラグビーを、目の前でまざまざと見せ付けられてしまった。しかしこれに奮起したかのように明治も見せ場をつくる。前半20分頃から数分にわたり、敵陣22mから山本(政経4)の突破を軸にゴリゴリのFW戦を繰り広げる。そしてペナルティから得たスクラムで、SO田村(文2)が自らディフェンスの隙を突き追撃トライを決め一気に場内を沸かせた。前半は帝京大がさらに1トライを返し10-5のビハインドで折り返したものの、その内容は後半へ期待を抱かせるものだった。
だが、暫定1位はやはり強かった。「たとえトライに結びつかなくても前半20分積極的に仕掛けていくことが、必ず後半20分に響いてくると信じていました」(帝京大・井本主将)。その狙い通り後半20分以降「集中力を欠いた」(山本)明治になす術はなく、セットプレー、ブレイクダウンのFW勝負で完全にペースをものにした帝京が立て続けにトライを連取。36分に山口(政経3)がトライを決め必死に食い下がるも、時すでに遅し。さらに40分には自陣でのマイボールスクラムをターンオーバーされたあげくトライを奪われるという、重戦車明治にとってもっとも屈辱的な形でノーサイドとなった。
日体大戦での敗戦以降まさかまさかと募り続けた不安はついに、揺るぎない事実として彼らに突きつけられた。“大学選手権不出場”。慶応戦までで2勝3敗6位、2試合を残し崖っぷちに立たされていた明治にとって、全国行きの切符をつかむには帝京、早稲田への勝利が最低条件だった――。杉本組にはもう、「大学日本一」の夢を追う権利すら残されていない。
シーズン佳境で自身のケガに苦しみ、ここ最近では治療を最優先とせざるをえなかった杉本主将は、悔しさとも諦めともとれぬ表情で天を仰いだ。「(早明戦は)最後の意地をみせるしかありません」。それは目指すべきものを失ってもなお戦い続けなければならない、試練を強いられた大黒柱の精一杯のプライドに見えた。
泣いても笑っても、次回の早明戦が杉本組ラストゲームとなる。12月7日、傷だらけの紫紺の戦士はどんな思いで国立のピッチに立っているのだろうか。兎にも角にも、花道へのカウントダウンとなるもっとも過酷な3週間が、これから彼らを待ち受けている。
藤田監督
「慶大戦で、次は(帝京戦)明治のこだわりを見せる、と言っていたがそれはスクラムだった。だが、セットプレーでマイボールを取れない上にミスが出たのは甘かった。ラインアウトは焦っていた」。
杉本主将
「帝京の圧力はそんなに感じなかった。ラインアウトでミスが多く、ゲームを作れなかった。まだシーズンは終わってない。最終戦に最後の意地を見せられたら」。
原田
「今日はダメだった。スクラムやラインアウトで自分が足を引っ張ってしまい、チームに申し訳ない。早明戦は開き直ってやっていく。」
仲西
「帝京は強いと分かっていた。練習の甘さが出た。もっと厳しくしていかないと。ラインアウトは考えすぎてしまった。今日はチームの出来は50点くらい」。
土井
「FWが安定していなくセットプレーで負けていた。後半に1トライされてから立て直すことができなかった。大学選手権出場はなくなったが、次の早稲田戦は見に来てくれるお客さんのために、そしてラグビー部の伝統のためにも頑張りたい。」
山本
「後半の20分で集中力が切れてしまった。今日はSOの周辺でFWを当てるということを意識して、敵陣に入ったらFWで攻めようと思っていた。あと1試合にすべてをかけて、勝ちにいく」。
金澤
「SOの周りにFWを立たせて攻めるというゲームプランを遂行する以前に、セットプレーの不安定さからスタート地点でつまずいてしまった感じ。帝京はブレイクダウンでの絡みが激しく、ラック付近やゴールラインを背負っているときのディフェンスができていなかった」。
奥田
「(今回もFW戦を挑んでいったのは)FWはFWで優位に立ちたかったということ。失点した後に修正のきかないといううちの弱い部分が出てしまった。今日負けたら終わりということは知っていたので、ここまできたら連勝してそういう意味での『伝説』を作りたかったが、選手権に出れなくなったという事実は事実として受け止めるしかない。あと3週間近くあるので、三洋電機への遠征で社会人の胸を借りてラストゲームの早稲田に対してしっかりと準備していきたい」。
松本
「今日は天気が悪かったから、キックで圧力を掛けた。ハイパンを多用したのもそのため。体力がある前半は良いが、なくなる後半にはミスが増えた。特に、セットプレー。次の最終戦、早明戦へ向けてセットプレーの安定は必須。大学選手権へ行けなくなってしまい、もうこれ以上負けっぱなしで終われない。早明戦ですべてを出し切りたい」。
溝口
「前半は接点でも対応し、プレーできたが後半はセットプレーがもうすこしだった。早明戦では早稲田のBK陣に負けずに、1年生らしい思い切りのいいプレーをしたい」。
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