(1)チームの柱、深町主将
深町主将がキャプテンになった年の春、念願の1部昇格は意外な形で実現された。今年の春に適用された“2部1位、2位のチームは1部に自動昇格する”という特別ルール。本学はこのビックチャンスを見事ものにし1部昇格を果たした。1部へ上がることを誰よりも願っていた深町主将にとってこれほど嬉しいことはなかった。そんな深町主将がバレーを始めたのは中学の頃。最初からバレー一筋!だったわけではなく意外にも小学生まではサッカー少年だった。「実は中学に上がってもサッカーを続けようと思っていたんです。でも行った中学にはサッカー部がなくて(笑)。そこでしょうがないからバレー部かバスケ部に入ろうと思いました。どっちも見学しに行ったんですけど、バスケ部は先輩の雰囲気あまりが好きじゃなくて・・・だからバレーを選びました(笑)」。そんな軽い気持でバレーを始めた深町主将だが、彼のバレー歴は今年でもう10年にもなる。まさか始めた当初は大学に入ってもバレーを続け、さらにキャプテンにまでなるとは夢にも思わなかったに違いない。しかし今ではバレーと出会えてホントに良かったと、深町主将は振り返る。「サッカーを続けていたらインカレとかいけないでしょうしね。いい選択をしたな、って今では思っています」。
「下級生の意見にちゃんと耳を傾けてくれるし、チームをまとめるのも上手い。いいキャプテンです」(廣本・商3)と後輩からも絶対的な信頼を寄せられている深町主将。今となってはキャプテンとして皆を引っ張る立場にあるが、その途中では何度もバレーをやめたいと思ったことがあったという。特に作年は、チームにまとまりがなく試合に出ても楽しいと思えず、バレーから離れたいと思う日々が続いた。しかしキャプテンとなった今年、深町主将は新たな気持ちでバレーに向き合うことを決めた。「自分らしいキャプテンになろう、って思いました。俺はガンガン引っ張っていくようなタイプじゃなかったんで、自分らしく、自分ができることをしていこうと思いました」。チームの調子が悪い時も、雰囲気を良くしようと自ら声を出した。彼の目指すバレーとは、スタメンだけで頑張るのではなく、コート外の選手たちも一丸となる“全員バレー”であった。このような深町主将の姿勢に答え、徐々に良くなってきたチームの雰囲気。昨年は全く聞こえてくることのなかったコート外からの応援も見られるようになり、チームは着実にまとまりを見せていった。そして1部リーグで戦う中でさらにチーム力を上げた本学は、10月に行われた1部2部入替戦で駒大をストレートで制し、見事32年ぶりとなる1部定着を成し遂げた。「1部にいって、1部にチームを残すっていうことがずっと目標でした。だから達成できてすごくうれしかったし、やるべきことをやったなって感じです。もう1年やりたかったとは思いますけど、あとは後輩に任せます。後輩たちにはせっかく1部で戦えるんだから、とにかく楽しんでバレーをやってほしいです」。やるべきことはやった。そう話した彼の表情には達成感があふれていた。
12月1日から開催される全日本インカレ。4年生の深町主将はこの大会で引退となり、またそれは彼の10年にもわたるバレー生活に区切りがつくということでもある。「バレーは仕事というか義務というか、とにかくやらなくちゃいけないことだ、って思うんです。俺にとってバレーは人生ですね」。長年続けてきたバレーは彼の一部となっているようだ。そして、そんなバレー人生を懸けた最後の舞台での目標は“ベスト4”。これは全体ミーティングで深町主将が出した意見だという。「ベスト4という目標はかなり高いかもしれないけど、決して可能性はゼロではないと思います。目標は高めに設定して、チーム全体のモチベーションを上げていきたいと思いました。最後のインカレは楽しみつつも、悔いの残らないプレーをしたいです」。
決して向上心を忘れることなく、妥協しないで上を目指す深町主将。そんなひたむきに頑張るキャプテンだからこそ、チームもついていったに違いない。彼の10年にもわたるバレー人生の総決算ともなる全日本インカレ。ずっと心懸けてきた“全員バレー”で、最後にふさわしい有終の美を飾って欲しい。
◆深町勇太 ふかまちゆうた セッター 政経4 福大大濠高出 175cm・67kg
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次回は、サイドからの鋭いスパイクが武器のセンター、佐々木将人(文3)を紹介します。
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