
WUG事前インタビュー② 吉田悠真/FISUワールドユニバーシティゲームズ
7月16~27日にかけて、FISUワールドユニバーシティゲームズ(WUG)がドイツで開催される。2年ごとに開催され、学生を対象にした国際総合競技大会である今大会。競泳競技には、明大水泳部から5人、ヘッドコーチに佐野秀匡監督が選出された。WUGに挑む選手たちの思いとは。
今回は100メートル平泳ぎ、200メートル平泳ぎに出場する吉田悠真(農3=春日部共栄)のインタビューをお届けする。
(この取材は7月6日に行われたものです)
――WUGへの出場が決まった時の心境を教えてください。
「うれしいというよりかはほっとした感じでした。2番手の選手が自分のベストタイムよりも遅くて、とにかくそこだけにこだわってやっていたので、ほっとした気持ちが大きかったかなと思います」
――所属されていたスウィン鷲宮でも吉田選手の壮行会が行われていました。周囲の反応や応援の声はいかがですか。
「スウィンの大会で少し話してきましたけど、スウィンには自分の妹がいるので『お兄ちゃんだ』となって群がってくれて、サインを書きました。日本選手権が終わってから家族は妹しか会っていなくて、妹はいつも通りでしたね。親もあまり興味ないかなという感じです。前からそうなのですが、逆に色々言われなくてやりやすいです(笑)」
――初めての国際大会ですが、国際大会に懸ける思いはどのようなものですか。
「国際大会だからといって、こだわっていることとかはないです。自分はベストを更新すればメダルは取れるかなと思っているので、ベストを更新してインターナショナル標準記録を突破をすることが目標です。突破できたら、強化選手の対象になるので、今後レベルの高い選手と合宿に参加できる機会が増えて、自分が速くなれるきっかけになると思うので、それを目標にしています」
――強化合宿はいかがでしたか。
「普段は一緒に練習しない選手もいて意外と楽しかったです。強化というほどがっつり泳ぐ感じではなくて、レース感覚を養うというのが一番の目的でした。自分はあまり速くなかったのですが、安定して速い選手もいて、すごいなと思いました。また、控え場所などでも普段同じチームにいない選手もいるので、どういう過ごし方しているのか見るのも面白かったです。セルフケアの仕方、何をどのタイミングで食べるかなど、人によって違うので、それを自分の中で吸収するというのは今のところはないのですが、そういうのは見れて良かったと思います」
――WUGに向けての練習で成長を感じたことはありますか。
「スタートとターンが自分の課題なので、結構そこは監督と2人でこだわって改良してきました。スタートは速くなったのではないかなと思います」
――監督からはどのような言葉をかけてもらっていますか
「国内の大会とは違って知らない人ばかりなので、あまり気負わず、気にせず泳ぐように言われました」
――法政・明治・立教 三大学定期戦で100メートルで自己ベストを更新しましたが、現在の調子はいかがですか。
「悪くはないと思います。100メートルは200メートルに対して結構伸び悩んでいたので、ベストが出て安心しました。ですが、もっと速いタイムを目指していたので、もう少し詰められれば良かったかなとは思います」
――200メートルの方が得意な理由はありますか。
「自分はパワーがないので、抵抗を減らす方にシフトしていったら、気づいたら200メートルの方が得意になっていたという感じです。逆に、小嶋先輩(小嶋壮主将・情コミ4=桐光学園)は見ての通り体が大きくて、回転数も上げられるので、自分より100メートルが得意なんです。平泳ぎはそのような差が大きいので、見ていても面白いかなと思います」
――ここからのスケジュールを教えてください。
「直前合宿をナショナルトレーニングセンターで12日までして、その日に現地に行きます。向こうでも練習して、17日が100メートルの予選、準決勝で、決勝に残れれば18日に決勝があります。19日が200メートルの予選、準決勝で、こちらは多分決勝に残ることができるので、20日がファイナルになると思います」
――大会を間近に控えた今の気持ちを教えてください。
「今もまだ実感が湧いていなくて、現地に着くまで実感が湧かないと思うのですが、現地に行って会場の雰囲気を楽しめたらいいかなと思います」
――レース前は緊張するタイプですか。
「大きい大会ほど逆に緊張しないです」
――植物の研究室に所属しているそうですが、どのような研究をしているのですか。
「研究テーマが来週やっともらえるのですが、植物のオートファジーという、細胞の自食作用について研究をしている研究室に所属しています。研究室の環境がすごくよくて、大人や大学院生も多いですし、何より先生が2016年にノーベル生理学・医学賞を獲得した大隅先生の直属の弟子なので、面白い研究環境で学ばせてもらっているなと思います」
――もともとオートファジーに興味があったのですか。
「第一希望の研究室は落ちてしまったのですが、植物だったらこの研究室が面白いかなと入学した当初から思っていたので、やりたいことはできているかなという感じです」
――教職の授業も取られていますが、文武両道の原動力は何ですか。
「毎日授業はありますが、キャンパスの隣の寮に住んでいるので、大学に行くか行かないかは体調以外の条件で決まらないのはすごく楽です。特に頑張ろうと思ってやっているわけではなくて、履修登録したら行かないといけないという思いでやっています」
――競泳との両立で大変なことはありますか。
「今学期は大会がテスト期間に被ってしまっているので、テストがない授業を選んだら、その分少し忙しくなってしまいました。教職の授業もどのような条件でも4回以上休むと単位がもらえない先生がいて、それは無理だなと思って別の先生に変えたというのもあったり、履修登録は苦労しました」
――ドイツに行って大会以外でやりたいことはありますか。
「ビールを飲んでみたいです。自分のレースは最初の4日間で先に終わるので、そういうこともできるのかなと思います。あとは海外の選手がどのようなレースをしているのか観察するのがメインになるかもしれないです」
――海外での生活で意識していることはありますか。
「米を持っていくようにしています。現地にはないのですが、日本人に米は結構大事だなと思います。観光だけだったらなくても大丈夫なのですが、エネルギーにするにはちょっとパンとかだと心もとないので、米を持っていくと安心ですね」
――大会までの残り2週間弱で、どのような練習をしたいですか。
「ここからいきなり(新しい練習を)始めても多分間に合わないだけなので、あとは調整をするだけだと思います。自分がやってきたことを信じて、量を減らしつつ、疲労を抜きつつ、100パーセントの力を大会に持っていけるようにしたいです。僕が心配しているのは、時差と気温。気候は日本とドイツは違うので、そのようなことをしっかり調べて、対応する力が必要なのかなと思います」
――改めてWUGへの意気込みをお願いします。
「インターナショナル標準記録の突破が第一目標で、そこにメダルの獲得が付いてくれればいいかなと思います。(200メートルの)インターナショナル標準記録が2分9秒9なのに対し、今は自分より上位の4人が2分7秒台になってしまって、歴代の記録を見てもここまで速いことは中々ないので大変ですが、頑張りたいと思います。また、インカレ(全日本学生選手権)に向けて明治に勢いをつけられるように、いい結果で終われたらいいです」
――ありがとうございました。
[寺井和奏]
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