西脇文泰

2013.09.18
 どんなものであれ、勝ち続けることは容易ではない。しかし、勝つことが当たり前とされている集団がいる。明治大学体育会馬術部だ。今回はそんな常勝明治を引っ張る現主将・西脇文泰(文4)に触れていく。

 父親の馬好きに影響され、中学1年生のときに乗馬クラブに通い始めた西脇。明大馬術部を選んだ理由は意外なものだった。高校生のときにさまざまな大学からスカウトがきたが、当時は大学生馬術界の事情を知らなかったため、大学の知名度から考えて選らんだのだという。

 馬術部では喜びと同時に苦しみも経験した。2年次の全日本学生馬術三大大会、明大馬術部生活の中で唯一納得できるという成績を残す。しかし、実力を認められたため、乗りこなすのは難しい馬を任せられるようになった。個人でいい成績を残すために、安定して能力を発揮できる乗りやすい馬に乗りたい。だが、部全体のレベルを上げるには自分が乗るしかない。そして西脇はチームで勝つことの喜びを知っているため、任せられた馬と一緒に大会を戦い抜く道を選んだ。「学校の名前を背負ってみんなで戦うのはいい。団体での一体感はすごい」。

 長きにわたり全日本学生三大馬術大会を優勝し続けた結果、馬術界では明治じゃなければ優勝できないとまで言われるようになった。ただ、それは部員からしてみれば優勝以外許されないというプレッシャーになる。主将ともなればそのプレッシャーも人一倍なのだろう。しかし、「連覇を自分たちの代で途切れさせてはいけないというプレッシャーはあるといえばある。だけどそれを楽しんでいる」と問題ない様子だった。さらに西脇は「この全日本を勝つことが最大の目標。関東大会が終わった時点で、全日本までの日を逆算して練習している。ただの優勝ではなく完全制覇を狙う」と表情を変えずに答えた。

 有終の美を飾り、次の代へ連覇のバトンをつなげられるのか、勝負の日は近い。

◆西脇文泰 にしわきふみやす 文4 鶯谷高出 179cm・64kg

※関東学生馬術三大大会は5月26~31日に行われた。全日本学生馬術三大大会は11月1~5日に行われる。