明治どうした!?日体大にも敗戦…24年ぶり/関東大学対抗戦

1999.01.01
 今年の明治はどうしてしまったのか。26日に秩父宮ラグビー場で行われた日体大戦、明治は本来の力を発揮できずに敗れた。対抗戦で明治が日体大に敗れたのは24年ぶりのこととなる。
 
 筑波大の敗戦から1週間。明治は“背水の陣”で日体大に挑んだはずだった。しかし開始直後に日体大に攻め込まれるなど、立ち上がりにつまずく。前試合の悪夢がよぎる。前半8分に山口(真・政経3)、15分に田村(優・文2)がトライを奪ったものの、日体大は前半28分にトライとゴールを決め、10-10のイーブンへ。その後日体大はペナルティゴールを2本決め、明治との差を広げていった。前半は16-10の日体大リードで折り返した。
 
 しかし後半も明治の勢いが戻ることはなかった。ミスからのペナルティが重なり、その際はペナルティキックを狙われるなど、完全に日体大のゲームプランにのせられてしまった。後半終了直後、敵陣ゴールライン直前からのスクラムもトライに結びつけることができず、試合終了までFW戦にこだわったが、結局明治のノックオンでノーサイドとなってしまった。明治の選手たちは言葉少なにグラウンドを去った。

 もう一回問いたい。「明治はどうなってしまったか」と。早稲田・慶応・帝京大といった“強豪校”との対戦を目前にしながら、筑波大・日体大戦で敗れた今年の明治。筑波大・日体大とまったく明治らしいラグビーを見ることができなかった。それは11月から続く強豪との対戦のことばかり念頭に置き、「筑波大や日体大には“絶対”勝てる」というおごりの結果ではなかったか。
 
 試合後の記者会見で、日体大の柴田和宏主将・米地徹ヘッドコーチは満足げな表情を浮かべこう語った。

 「帝京大戦に敗れて、日体大は何ができるか考え、“走れて、ディフェンスで我慢できる”という強みを出すしかないということになった。“FWの明治”だからスクラムなどでは劣勢になることはわかっていたから、少しでも点を重ねようとペナルティゴールを狙っていった。最後の攻防はきつかった。ここでトライを取られれば、簡単に逆転されるから必死に守りきった。(チーム状況の質問に)今は過去4年の中で一番雰囲気もいい。きついが、楽しく練習できている。今日の勝利は相当な自信になったし、これは“みんなで”勝ち取ったものです」(柴田主将)。

 「今日の試合は最後までやりきった、走りきった。それに尽きる。最後まで守りきったというのは、日体大が明治の精神力を上回っていたということだ。相手より走れる自信があったので、相手の体力を奪っていく作戦にした。最後のゴール前の攻防はきつかったと思うが、よくみんなでディフェンスできた。柴田(主将)も声を上げ、15人を奮い立たせていた。(早稲田戦のプランは、と聞かれて)明治戦のことしか頭になかったので、これから考えます。しかし80分間走り続けるフィットネスはあるので、わたしたちのスタイルを出せればいいと思いますが」(米地ヘッドコーチ)。

 慶応、そして今回明治から“金星”をあげた日体大。その彼らの言葉の中には、今年低迷している明治への『処方箋』が隠されているように思える。

 日体大にペナルティキックを多用され、ゲームの主導権を完全に握られてしまったというのも一因だろう。しかし一番大きかったのは“自分たちの強み”を敗戦から見つめなおして、それを再び出し切ったことだ。
 そして目の前の試合を全力で戦うということだ。「明治戦のことしか考えていなかった」という日体大、一方明治には「慶応戦から……」ということが頭の隅にあったのではないか。先日の敗戦を生かし、ただ目の前の敵を倒すことに集中して金星を挙げた日体大。対照的に明治はそれができずに敗れた。
 
 日体大とは対抗戦において24年ぶりに敗れた明治だが、明らかに“非常事態”と言わざるを得ない。ついに「対抗戦6位=大学選手権不出場」というシナリオも浮上してきた。もし明治が今年の大学選手権に出られないとすれば、不吉にも同じく『24年ぶり』のこととなる。早急に対策を講じるべきだ。もう慶応にも、帝京大にも、そして早稲田にも負けられない。

[薦田弘隆]

~選手のコメント~
藤田監督
「今日は我々のラグビーができなかった。『前へ』がベースの縦横無尽というのができなかった」

杉本(晃)主将
「ブレイクダウンで圧倒しようというプランだったが、ボールがぽろぽろ出てしまった。一つ一つのプレーの基礎ができていない。もうこれから開き直っていくしかない」

小野
「日体大のFWが勝っていた。今回の反省点を生かしていくしかない。自分はFWで押し切るしかない」

山本
「気持ちの問題。これが今の明治の実力だと思う。今後は全て出し切るだけ」。

杉本(博)
「最後まで攻めていけたら、FWで行ってよかった。自分の仕事は前へ突破していくこと。ここで立ち止まっていても仕方ない。次の試合に照準を合わせる」

下村
「後半はFWで勝負するつもりだったが、前に出ることができなかった。もう開き直ってがむしゃらにやるしかない」

大須賀
「相手のペースだった。最後はいけるかと思ったが取りきれなかった。よかったのはゲーム中最後だけ」

山口
「ブレイクダウンで絶対勝つということで試合に臨んだが、そこでミスが多発してしまったことでペースがつかめなかった。今回で自分たちの弱さを自覚したと思うが、絶対に気持ちを切らすことなくあとは思いきりやるしかない」。

衞藤
「あせりが出てしまった。もっと一つ一つのプレーを必死にやるひたむきさが大事。ゴール前でスクラムトライが取れなかったのがリズムに乗れなかった原因だろう」。

田村
「(筑波大に負けてからの)練習での調子は良かった。今日ももちろん勝ちにいく意識でやったが、結果的に負けたのだから何も言えない。ミスやペナルティが多すぎた。(今後は強豪との対戦が続くが)もう全部勝つしかない。何にしても今のチームのままじゃダメなことは分かり切ってる。ミーティングを重ねてチームの課題を克服していきたい」。

内田
「潜在的に日体大を甘く見ていたところがあったと思う。筑波大以降バリエーションを増やそうと立て直しをはかってきたが、付け焼き刃では対応できなかった。今後一人一人が何をやりたいのか浸透させて実行に移せるよう丁寧にやっていくしかない」。