全関東・選抜事前インタビュー①/若林優弥「今までの結果は関係なく、その日の試合だけを考える」

2025.06.12

 6月14日から全関東学生選手権(全関東)、28日から全国大学選抜(選抜)が行われる。全関東、選抜、全日本学生選手権(インカレ)、東京都学生リーグ戦(リーグ戦)、全日本学生王座決定戦(王座)と主要5大会の始まりを告げるこの時期に、選手たちは何を考え、何を目指しているのか。

 今回は、若林優弥主将(農4=小笠)の事前インタビューをお届けする。

(このインタビューは6月7日に行われました)

――昨年度を振り返って、どんな1年でしたか。
 
「全関東優勝から始まったので、スタートは良かったんですけど、そこから選抜、インカレ、リーグ戦で勝ち切ることができなかったです。インカレでは決勝で負けてしまったりと、勝てる試合を逃してしまったという悔しい思いが多い1年間だったなと思います」

――印象に残っている大会はありますか。
 
「インカレです。一昨年のインカレで優勝したこともあり、もう一度優勝したいという思いが特に強かったです。決勝まで残って最後、強豪の法政大学と戦うことになりましたが、そこで勝ち切れたら『本当に実力で勝てた』と思える中、最後の最後で実力不足が出てしまったので、より悔しかったしですし、やはり運では勝てない大会なんだなと改めて感じました」

――昨年度1年間で、自身で成長を感じたことはありますか。
 
「練習での的中率や、練習でやってきたことが本番でもできたと強く感じることが多くなりました。試合に向けた準備が、練習でより確実なものになってきている実感はあります」

――王座はいかがでしたか。
 
「自分の中で『これなら優勝できる、自分はもう外さない』と思える準備で臨めた大会でした。王座は自分の射ができた感じはあったんですけど、東西(東西学生選抜対抗試合)は練習で詰めきれなかった、自分の甘さみたいなところが出てしまったので、もっと詰めておくべきだったなという後悔もあります」

――主将に決まった時の心境を教えてください。
 
「その時はいい意味でも悪い意味でも(主将になることを)全然想像できていなかったので、できるかなという不安はあったんですけど、やるしかないという思いもあったので、わくわく半分、不安半分みたいな感じでした」

――主将としての理想像を教えてください。
 
「自分はすごいカリスマ性があったり、背中で引っ張っていくみたいな主将ではなくて、どちらかと言うと縁の下の力持ち的な存在だと思います。チームの方針などでも、みんなの意見に寄り添うような、チームを支えられるリーダーになりたいです」

――期待している選手はいますか。
 
「もちろん、増田(皓太・理工4=富士宮西)には期待していますが、全員に期待している部分もあります。と言うのも、シーズンが始まってから、初めての大会である全関東まで結構期間があったんですけど、あまり思うような的中がみんな出ていなくて、それこそ自分と増田ぐらいしかいい的中のままいられた選手がいませんでした。今までの先輩たちは、全関東まですごく調子が良くて〝全関東と言えば明治〟みたいなイメージがつくほど結果を残しているんですけど、今年はそういう感じではないです。でもそこで『自分が出て、優勝に貢献する』という気持ちを持って、苦しい思いや、悔しい思いをバネにしてくれれば、みんな成長できるのではないかと思っています」

――〝全関東と言えば明治〟というイメージがある中で、プレッシャーは感じていますか。
 
「あまり感じていないです。昨年の2連覇が懸かったインカレもそうでしたが、今まで(決勝に)残っているから今年も残らないとみたいな、ジンクス的なものを考えてしまうと、自分のことを苦しめてしまうので、2連覇ではなくて〝その大会〟という意識を大事にしていきたいと思います」

(写真:昨年度選抜での若林)

――全関東形式の練習試合もされていると思いますが、チームの状態はいかがですか。
 
「今のところは正直負けなしという感じではないんですけど、全関東形式が始まった直後の的中から比べると、練習でも練習試合でも的中は伸びてきていて、法政大学や早稲田大学に勝てる試合も増えてきたので、あと1週間しかないですけど、負けないように調整していきたいと思います」

――個人の練習で意識していることはありますか。
 
「試合当日になんとかしようと思っても、うまくいかないというのが今までの経験上あるのと、試合では緊張や不安で100%の力を発揮できるとは思わないので、うまくいかなかったり、負けてしまったら『相手が強かった』と思えるぐらいまで、練習から100%の準備をすることを心がけています」

――試合前のルーティーンはありますか。
 
「特にないです。ルーティーンを決めないというのがルーティーンかもしれないです。ルーティーンを決めてしまうと、自分の中でそれ頼りになってしまったり、何らかの理由でそのルーティーンができなかった時に、自分の中で大きい不安になってしまいそうで。不安を作らないことが大事だと思っているので、ルーティーンを作らないことを意識しています」

――集中力の保ち方を教えてください。
 
「自分は元々、全然集中できるタイプではなくて、勉強とか自分がやりたくないことは全然集中できないんです。でも、小さい頃からゲームとか自分の好きなことは本当に熱中するタイプだったので、自分なりにこれをすれば集中できるみたいなのはないんですけど、弓道が本当に好きなので、勝ちたい気持ちや負けたくないという気持ちから集中力が生まれてくると思います」

――全関東、選抜はどのような大会と位置付けていますか。
 
「全関東は選抜やインカレと比べて規模に差がありますが、自分の感覚的にはレベルや盛り上がりという点で、選抜やインカレに劣らないぐらい大きい大会だと思っています。全関東と言っても、日本武道館でやりますし、全関東を見に来てくださる人も結構います。また、一番うるさい大会というか、お祭り騒ぎみたいな大会なので、楽しんでできる大会だなと感じています。一方選抜は全関東と真逆みたいな感じで、本当に静かな大会で、規模も全国クラスです。明大の実績としては、全関東は何年も決勝まで残っている一方で選抜はあまりいい結果を残せていないので、どのような運び方で、選抜に臨むかは今考えてるところです。また、選抜からインカレまでが1カ月半ほど空くので、全関東、選抜を勝ち切って、一度落ち着いてからインカレに臨む形でいきたいです」

――全関東では個人でも本戦に出場されますが、個人戦と団体戦はどちらの方が得意ですか。
 
「団体戦の方が得意です。今までの的中率を見てみると、団体戦の方が的中率がとても高くて、個人戦は本戦出場も2大会に1回ぐらいしかないぐらいなんです。これは高校生の時からずっとそうで、団体戦は外さないけど個人戦は地区予選敗退とかが多かったです。その理由は団体戦は自分のためだけにやってないというのがもしかしたらあるかもしれないなと思います。自分はずっと団体戦で勝ちたいという思いが強かったので、そういう思いが影響しているのかもしれないです」

――今回の大会で注目してほしいところはありますか。
 
「最近はあまりいい的中を出せていない状態が続いたので、そんな状態でも優勝する姿や、諦めない姿を見てもらいたいです」

――大学弓道最後の一年です。どんな一年にしたいですか。
 
「昨シーズンの大会ごとの結果を見てみると、タイトルを取れる自信があったので、5タイトルすべて取りたいという思いが強いです。5タイトル取った大学は今までないんですけど、そこを目指したいです」

――改めて、全関東、選抜への意気込みを教えてください。
 
「全関東と選抜は必ず優勝するという思いで練習しています。今までの結果はいい意味でも悪い意味でも関係なく、その日の試合だけを考えて、全関東も選抜も絶対にタイトルを取る気持ちで臨みます」

――ありがとうございました。

[寺井和奏]