(4)2年ぶり箱根出場決定!

1999.01.01
 第85回記念大会枠で3枠、関東学連選抜のシード権獲得により1枠増え、例年よりも多い計13校が出場できる今回の箱根駅伝。13枚の箱根行きの切符を目指し、全45校、総勢521名の選手たちが凌ぎを削った。
 トップ通過候補に挙げられていた本学だったが、鎧坂(営1)や村上(政経4)がケガでエントリーから漏れ、石川(卓・政経3)は夏から引きずっていたケガが治り切らず、無念の欠場。本学は万全の状態とは言えない状況で予選会に臨むことになってしまった。
 
    午前9時の号砲とともに松本(昂)が先頭集団へ飛び出した。そんな松本(昂)に続くのは好調が続く北條、そして駅伝主将の東野。そして下級生たちが必死に食らいつが、5km通過の時点で8位と、序盤から周囲の期待とはかけ離れた展開となってしまう。

 中盤に入っても、依然として松本(昂)はトップ集団を引っ張り続け、上位陣は変わらず好位置をキープし続けた。しかし安田を突然のアクシデントが襲う。足に激痛が走り、満足のいく走りができない。激しい痛みに耐えつつ、懸命に走り続けようとした安田だったが、途中で無念のリタイア。悔しさの残る箱根駅伝予選会となってしまった。

 それによって11位だった選手が10位に繰り上がり、厳しい展開に追い込まれた本学。そして終盤、先頭から引き離され始めた松本(昂)がトップを追っていこうとした矢先、またもやアクシデントが発生する。足がつってしまい、前に進むことすらも困難な状況に陥ってしまった。しかしそれでも松本(昂)は表情をゆがませながら、痛めた右足を懸命に引きずるようにして必死に前へと急ぐ。「1秒でも速くゴールへ」。その気持ちを強く持って前へ進み、ゴールと同時に担架で運ばれた。

 松本(昂)の後を追うように北條がゴールにたどり着くと、選手たちは続々とそれに続いた。しかし、あと2人が追い上げきれず、10人目の選手がゴールしたのは全体で14番目となってしまい、全員に不安がよぎった。

2年ぶりの箱根出場権を手にした選手たち

 レース後、マネージャーたちがタイムの計算を始め、全員に緊張が走る。そして、結果は総合9位。インカレポイントを使うことなく予選通過を決めた。本学の順位が発表されたと同時に、張り詰めていた空気が一瞬にして吹き飛ばされた。手を叩き合って、抱き合って本選へ出場できる喜びを噛みしめ合う選手たち。全員の表情が満面の笑みに変わった。

 主力選手の故障で、思うような結果が出せなかった本学。しかし、「北條や中村など中堅どころの踏ん張り、夏合宿で急成長した小林(優)、松本(翔)はよかった」(山本コーチ)と大きな収穫もあった。主力が万全ではなくても、それ以外の選手がカバーして得たこの結果は大きな意味を持つだろう。

選手のコメント

東野
3年生に助けてもらっていたので、今日は自分でどうにかしたかった。しかし、順位などまだまだ力不足。ケガ人が続出する中通過できたのは、チームの力がついてる証拠だと思う。

遠藤
タイムを稼ぐほどではなかった。10㎞あたりからきつかったけど、昨年の経験を活かして悪いなりの走りはできた。1、2年生が多かったので、下級生のために自分がペースを作るつもりだったけど、もう少しできたらよかった。

北條
通って安心した。不安だったけど、通ってよかった。去年よりも1分早く走れて、チーム内では5位から2位に順位を上げれたことで、成長を実感できた。何人も抜けた中で戦えたのはよかった。2年生2人が頑張ってくれた。

石川(卓)
代わってやりたい気持ちだったけど、見守るしかなかった。(10番目の選手がゴールしたのが14位という結果を見て)自分のせいだな、自分が走っていればそうならなかったと思った。みんなに申し訳なかった。ありがとうと言いたい。ポイントを使わずに通れたのはすごくよかった。落ちたら自分のせいだと思っていた。本当によかったとしか言えない。

松本(昂)
素直に喜びたい。予選通過は目標の1つだったので、それをクリアしたことによって次のステップにいけるんじゃないかと思う。ケガ人が出たけど通過したというのはいい結果だった。1人1人がしっかりと目標を持って、走った結果だと思う。つった足はもう大丈夫。石川(卓)に箱根を走ってほしかった。つなげられてよかった。

小林(優)
ほっとした。課題の後半の選手があまりよくなかった。周りの評価も高くてチームも強くなったから上位を狙っていた。調子がよかったので走れない人の分まで頑張れた。個人としては責任のある走りができた。

松本(翔)
攻めるというよりは押していく走りだった。10㎞過ぎでもっと攻めようと思ったけど、アップダウンも多く予想以上に難しかった。集団走の中でバラけたら他についていこうと思ってた。

岩崎
とりあえず通ってよかった。チームの足を引っ張ってしまった。(10番目の選手がゴールしたのが14位という結果を見て)泣きました。61分~62分で走ろうと思っていて、調子はよかったけど甘かった。

細川(勇)
20㎞は初めてで1万mと違って長かった。15㎞からラスト1㎞がきつかった。西さんから62分半でいけると言われてたので、それを達成してチームに貢献したいと思っていた。2年生も調子が上がってきていたし、エースはいなかったけど不安はなかった。

安田
石川(卓)、松本(昂)と自分がケガしたことはきつかった。だが逆に主力抜きで通過できたことは大きい。被覆筋筋膜炎になってしまい、痛み止めを打って強行出場した。10㎞まで30分38秒と予定通りのタイムできていたが、10㎞過ぎで「プツン」と音がして「痛い」と叫んだ。そのまま我慢して走ったが、12、13㎞過ぎで監督が止めた。今は走れない。とにかく治すことが先決。

中村
前の5人のエース格が調子が良くない中、5、6番手以降の選手が粘ってくれたレースだった。個人としては冷静に走れるかを意識していた。本選は4年間で最後の走りとなる。特別なものだし、だからこそこれからを大事にしたい。

田原
チームはトップ通過を狙っていたがダメだった。ボロボロの状態だった。監督が設定していたタイムより1分30秒以上オーバーしていた。初めての20㎞だった。同じ1年生の細川(勇)でもまとめて走っていた余計に悔しい。ロードも大学に入ってから初めて。コースの起伏や環境の変化でスピードがまったく変わる。全日本についてはエントリーメンバーを狙える以上は走りたい。そのためこの2週間で作り直したい。