水谷、まさかの4回戦敗退/全日本学生選手権

1999.01.01
 学生日本一の座を決めるこの全日本学生選手権。明治はダブルスでは一昨年優勝しているが、シングルスでは実に10年間優勝から遠ざかっている。ダブルス8組、シングルスでは14人もの選手が出場し、今年こそと優勝への期待は高まったが、青森大がダブルス、シングルス共に上位独占という結果に終わった。「特に大きな波乱は起こらなかった」(水谷・政経1)という今大会。ただ一つのことを除いては…。

 ダブルスでは3組のペアがベスト8に残った明治。そんな中、団体戦主力メンバーの水野、小野主将組が全日本選手権ベスト8の足立、笠原組(早大)を3対1で破り、準決勝へと駒を進めた。準決勝の相手は坪口、垣原組(青森大)。しかし相手ダブルスのパワーに押され、2、3セットは一時リードする場面も見られたものの、終盤引き離され3対0のストレート負け。昨年と同じく、準決勝で涙を飲む結果となった。

 シングルスでの注目は何といっても、今大会が個人戦デビューとなる水谷だ。誰もが疑わなかった水谷の優勝。しかし、ランキング決定戦でまさかの落とし穴が待っていた。ランキング入りのベスト16を決める4回戦まで、順調に勝ち進んできた水谷。ランキング決定戦の相手は近畿大の濱川という選手だ。「相手の情報がなかった」(石崎・政経4)状態ではあったが、会場にいる人のほとんどが水谷の勝利を疑わなかった。

 しかし、いざ試合が始まってみると、いつもと何かが違った。1、2セットを連取され、3セット目を奪い返すものの、緊張や焦りからか普段なら考えられないような簡単なミスを重ねてしまう。北京五輪代表が近畿大の、しかも1年生に敗れるかもしれないという空気が段々と会場に漂ってきていた。「相手の得意なコースに打ってしまっていた。いつもなら自分で考えてコースとか修正したりするのに、それが全然できなかった」(水谷)。水谷が打ち負けるそのたびに盛り上がる会場。そして、目を疑う結末が――水谷、4回戦敗退。

 結局この4回戦を勝ち上がり、ランキングに入ったのは水野、軽部、甲斐(営1)の3人。そして次のベスト8を決める5回戦で、早大のエース各・笠原をフルセットの逆転勝利で破った軽部が、一人準々決勝へと勝ち進んだ。その準々決勝でも学生卓球界ナンバーワンカットマンの塩野を圧倒的な強さで破った軽部。そしてベスト4のうち3人を青森大が占めるという顔ぶれの中、唯一の関東勢として準決勝へと臨んだ。

 決勝進出を懸けた次の相手は今年行われた世界選手権代表の大矢(青森大)。昨年敗れたこの準決勝の壁を越えたい軽部は要所要所で好プレーを見せ1セットこそ奪ったものの、「向こうが一歩上だった」(軽部)と語るように最後は地力の上回る大矢の前に屈した。

 シングルスダブルス共に結果を見ると、決勝では青森大の選手同士が対決するなど、青森大の強さが目立った今大会。水谷が4回戦で破れたことを除けば、「強い人が勝っていった」(水谷)と、強豪が勝つべくして勝っていったと言える大会となった。

 「思ったより勝てなかった。自分のミスが多くて、自滅した感じがする」(水野)、「自分自身思い切ったプレーができて満足している」(甲斐)、など、今大会を終えて選手が感じるところはそれぞれだ。この全日本学生選手権を終え、ほとんどの選手に全日本選手権予選が控えている。今大会の内容を踏まえ、全日本選手権予選、そして全日本選手権に各自臨んでいってほしい。