
個で圧倒し開幕連勝/関東大学対抗戦
熊谷に集まった多くの紫紺ファンが目の当たりにしたのは、風を切り裂きながらグラウンドを切り裂く、新しい『明治』の姿だった。まずその先陣を切ったのは主務として部をまとめ、プレーヤーとしてもチームを引っ張っている大須賀(農4)だった。立ち上がりが弱いという明治がこの試合でもトライを取りきれずにいた開始7分。ターンオーバーしたボールを杉本(博・商2)から受け取ると快足を飛ばしての独走トライ。その8分後にもまたしても相手のミスからのこぼれ球を拾い上げると、今度は自分で最後まで持ち込みインゴールまで持ち込んだ。この男の存在が、チームに勢いを与えた。
その後もBKがどんどんチャレンジし、相手ディフェンスの穴を突いてビックゲインを繰り返した。相手のミスにもそつなく漬け込み、大量7トライを挙げて前半を折り返した。
先日の成蹊大戦から立て直し、全体的に見れば今日の勝利は今年のチームカラーを発揮してのものだったように見えた。しかし、試合後の選手たちの表情は一様に硬い。選手たちの多くが漏らすように、今日あれだけの攻めができたのは個での力に差があったから。次の試合の相手からは徐々に相手個人のスキルも同等、もしくはそれ以上のものになってくる。ブレイクダウンでの激しさもいっそう増してくるであろう。そのような強敵に対して自分たちのラグビーを展開し、試合を優位に進めていくために必要なものは何か――。それは、個人の突破力だけでゲインを図るのではなく、チーム全体が縦横無尽に機能し、組織の力で相手ディフェンスラインを翻ろうして崩すこと。そしてそれを確実にトライに結びつけること。そのようなプレーが試合でできるようになって始めて上位校と戦うことができるのだ。普段の練習では実践を意識しそのようなプレーをしているだけに、試合でそれが発揮されるのが待ち遠しいところだ。
徐々に縦横無尽なプレーが出始め、本来目指すラグビーの芽が出始めた杉本組。これから深まるシーズンで、彼ら本来の『縦横無尽』が本格的に開花していくことであろう。
~試合展開~
前半:立大 Kick Off
7分 明治T(大須賀)GK成功(呉)明治7-0立大
→明治陣10メートル立大ラインアウトからラックを繰り返し、明治がターンオーバー、杉本(博)、大須賀とわたりトライ。
15分 明治T(大須賀)GK成功(呉)明治14-0立大
→明治陣10メートル立大スクラムからラックを繰り返し、こぼれたボールを大須賀がキャッチ、そのまま独走してトライ。
16分 明治T(山本)GK成功(呉)明治21-0立大
→立大キックオフから明治、杉本(晃)、西原、山本とわたりトライ。
21分 明治T(松本)GK成功(呉)明治28-0立大
→明治陣22メートル立大ラインアウトから明治ターンオーバー、衞藤、山本、松本とつないでトライ。
25分 明治T(西原)GK失敗(呉)明治33-0立大
→明治陣22メートル付近での立大ペナルティから明治がクイックスタート、してそのままトライ。
30分 立大T(平盛)GK成功(平盛)明治33-7立大
→立大陣10メートル明治スクラムから展開、立大がターンオーバー、ラックを繰り返しトライ。
33分 明治T(山本)GK成功(呉)明治40-7立大
→明治陣10メートル立大ラインアウトから明治がターンオーバー、田原、大須賀、鎌田、山本とつなぎトライ。
39分 明治T(田原)GK成功(呉)明治47-7立大
→明治陣ハーフライン明治ラインアウトから展開、田原、呉、城、杉本(晃)、田原とつないでトライ。
後半:明治 Kick Off
2分 明治T(西原)GK成功(井上)明治54-7立大
→明治陣22メートル立大ラインアウトから明治ターンオーバー、西原、山口、西原とわたりトライ。
15分 明治T(杉本博)GK成功(井上)明治61-7立大
→立大陣ゴール前明治スクラムからモール、杉本(博)がそのままトライ。
20分 明治T(奥田)GK成功(井上)明治68-7立大
→立大陣ゴール前明治スクラムから杉本(博)、田原、奥田とつないでトライ。
29分 明治T(名嘉)GK成功(井上)明治75-7立大
→立大陣22メートル明治ラインアウトから展開、ラックを繰り返し、城、名嘉とつないでトライ。
34分 立大T(広石)GK成功(平盛)明治75-14立大
→立大陣22メートル明治ラインアウトから展開、立大がターンオーバー、田中、坂本、広石とつなぎトライ。
37分 明治T(杉本博)GK成功(井上)明治82-14立大
→立大陣10メートル付近での立大ペナルティから明治クイックスタート、山本、杉本(博)とつなぎトライ。
~試合後のコメント~
城
「いいテンポで展開できている場面もあったが、全体的に個人で突破していた。今後のチームはもっと激しさを持ってくるので、ブレイクダウンの激しさをもっと強化したい。後半の失点は夏からの課題である、攻めるところで攻め切れていなかったのが原因。勝ったことは収穫になるので、修正すべきところは修正して次につなげていきたい」。
原田
「成蹊大戦より得点は取れたが、まだまだチームでとっているというわけではない。筑波は今日みたいな試合はできない。次はチームで取るトライを取りたい。筑波は弱くない。気を引き締めて頑張る」。
土井
「いいアタックができている部分もあったが、個人でいき過ぎた。よりいっそうチームを意識して、実践に向けた練習をしていかなければならない」。
鎌田
「トライは全試合よりも多かったが、それはチーム状態が成蹊大の時よりも良かったから。突破をすることはできたが、たまたまだし、調子も普通です。これからもチームの方針に従ってプレーするだけです」
山本
「相手が相手だったため、まだまだディフェンスやブレイクダウンで課題はある。それでも今までは相手が弱ければその分ミスを連発して自滅していた分、今回は少ないミスでプレーできたと思う。今後はさらに個々を強く、1対1に強くなっていかなければならない」。
西原
「自分のトライは、チームのために取ったもの。個人の力だけでは取れないもの」
杉本(博)
「チーム的にはやってきたことを出し切れていない。BKでパスが回せたのは良かったけど、その後のFWのポジショニングが悪すぎた。筑波戦までに修正したい個人的には最悪だった。いいところで取れなかった。次はもっと自分でビックゲインしたい」。
田原
「成蹊大ではハーフ団にプレッシャーが掛かっていたがそれを反省して気をつけるようにできていた。点は取れたが練習しているトライパターンで取れなかった。精度が低い」。
呉
「成蹊大ではできなかったことが今回チームで出せてよかった。アップからの気合いの入りとミスの少なさが今日のテンポの良さにつながったと思う。次の筑波はレベルも全然違うので、もっとゲームコントロールの精度を高めてモチベーションを上げていきたい」。
大須賀
「自分たちがゲームコントロールできず、個人の強さに頼ってしまった。DFは前に出ることができたけど、ミスした後に点を取られた点が課題。強いところと当たるまでにしっかり修正したい」。
山口
「今日は個人で圧倒できた分チームでいいリズムもつくれたが、今後1対1では勝てない相手になると今のままでは厳しい。今日はすべてミスからトライをとられてしまったのでこれからもっと集中していかなければならないし、チームでの攻撃力も高めていきたい」。
衞藤
「最後の10分でもう少し得点を取ることができた。今日は一人ひとりが圧倒するということに加えて、縦横無尽のラグビーをやるという意識を強く持ってプレーすることができた。チームもけっこう仕上がってきて雰囲気も良くなってきている。次の試合ではBKできれいにボールを繋ぎ、自分でもトライを決めるという気持ちを持って臨みたい」。
奥田
「今日はいい感じだったが、やはりエンジンが掛かるまで時間がかかった。
個人で圧倒できることができるため、個人で行ってしまった」。
松本
「BK陣はグラウンドを広く使ってチャレンジできたと思う。DF面では、こぼれ球への反応が悪かった。バッキングをしっかりして、最後のところでしっかり止められるようにしたい」。
木暮
「チームとしては圧倒できた。ブレイクダウンは1対1では勝っているけど、その後がうまくつなげていないので修正していきたい」。
仲西
「今日はボールを横に繋ぐという縦横無尽に攻めるラグビーを意識してやった。しかしまだこれから。ジュニア戦もあるからしっかり集中していきたい。自分のプレーをアピールして、次の筑波戦ではリザーブからスターティングメンバーで出れるようになりたい」。
吉住
「今日はブレイクダウンで圧倒できた。いい流れで行けた。FWは社会人のチームに出稽古にいっているので、強化ができたと思う。これからはチームとしてやるべきことをやっていくだけ。トライを取られたので70点。まだまだ。今日はリザーブだが試合に出たい」。
名嘉
「チームとしてもっと練習してきた形を出したい。ラインアウトは今は色々調整している段階。これから精度を高めていきたい」。
村田
「あんまり練習でしていたパターンで点を取れてなかった。今日は個人の強さで立教を上回っていたからやれたこと。でもそれは当たり前だ。まだまだだめだと思う。FW、BKの精度を高めなければならない。次はドロップゴールを狙う」。
井上
「ケガはもう問題ないが、個人のプレーはへたくそですね。前半は縦に、後半は外に散らしていく作戦だった。昨年からBKでもトライを取れるようにしているので、それを向上させていきたい」。
安部
「BKはハイパウントに注意しながらやった。FWとBKの連携は良くなっているのでこれからもっと改善していく必要がある。ハンドリングにも気をつけたい」。
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