(3)今年度リーグ戦全勝…陰のMVP/甲斐義和

1999.01.01
 秋季リーグ戦4連覇を達成した明治。1年生ながらもレギュラーに定着し、32度目の優勝に大きく貢献した立役者がいる。甲斐義和。彼は、2007年ワールドジュニアサーキットフランス大会でダブルスに出場し、見事優勝を飾った。輝かしい実績を手土産に、甲斐は入学後、すぐさまレギュラーに定着。そして、今年一番活躍した選手と評しても過言でもない。ただ、甲斐にとって、順風満帆な1年ではなかった。

初のリーグ戦で、大活躍!

 甲斐は、デビュー戦となった新人戦で、シングルス準優勝を果たした。「あいつはレギュラーに入るだろう。すばらしい素質と可能性を持っている」(高山監督)。その監督の言葉通り、甲斐は1年生で唯一の春季リーグ戦のレギュラー入り。そして、5戦無敗という最高の結果を残し、最優秀新人賞を受賞した。特に、優勝決定戦・早大戦では、重要な2番手で起用され、接戦をものにして、ゲームの流れを明治に引き戻した。チームは宿敵・早大にあと一歩のところで敗れ、2位に終わったものの、「早大に負けて悔しいとしか言えない。けど、自分自身思い切ったプレーが出来たし、(新人賞を取ったことで)自信がついた」と甲斐自身はと手ごたえをつかんでいた。

インカレには出場できず…

 その後も、活躍すると誰もが予想していた。だが、試練が待っていた。7月に行われた関東学生選手権。甲斐は1年生ながらシード入りし、ランク入りは当確かと思われた。しかし、まさかの4回戦敗退。「試合に対する気合いが足りなかった…。今思うと、とても悔しい」。そして、自身のインカレのレギュラー入りへ危機感を漂わせていた。だからこそ、甲斐は自分を追い込むため、翌日から猛練習を開始。「負けた悔しさをバネに頑張る」と真剣な眼差しで、懸命に球を追いかけていた。だが、また試練が襲い掛かる。本学が2年連続の3位に終わったインカレ。甲斐は登録メンバーには選ばれたものの、猛練習での過労で肩を故障していたことから、試合のオーダーに名前が挙がることは一度もなかった。「試合に出たかった…。青森大に勝ちたかった。自分は何もできなかった」。そんな不甲斐ない自分にいらだった。しかし同時に、「絶対、秋季リーグ戦では優勝に貢献したい」と力強く語る甲斐がそこにはいた。

リーグ戦初優勝!

 そして、今回の秋季リーグ戦。「オレが負けても後ろに小野(主将・商4)や甲斐がいるから楽に戦えた」(水野・営4)と言われるほど、甲斐は1年生ながら上級生から厚い信頼を得るようになっていた。またダブルスでも北京五輪代表・水谷(政経1)と組んでの出場。甲斐と水谷。彼らは、中学3年の時の全国大会の決勝で戦っていた。そのときは、水谷に軍配が上がった。だが、「甲斐は強い。僕もびっくりするようなプレーを連発するから驚く。そして、頼りになる。これからもっと強くなると思う」(水谷)と今ではかつてのライバル、それも全日本王者の水谷から絶賛されるような選手に成長した。甲斐自身、出番は少なかったものの、シングルスでは2戦無敗。その結果、なんと、彼は1年間リーグ戦で無敗を守り続けた。「無敗を守るとかは全く意識していなかった。ただ、チームが優勝できてよかった。僕にとって初優勝。とても感動した」。優勝した直後には、小野主将と抱擁するなど、本学32度目のリーグ優勝の喜びを現わした。「次の目標は全日学(全日本学生選手権)で優勝すること」。この黄金ルーキーの勢いはまだまだ留まるところを知らない。

◆甲斐義和 かいよしかず 営1 明豊高出 163cm・60kg