磯和がシニア男子優勝! 4選手が入賞し実力見せる/サイニチホールディングス杯

 5月4、5日に埼玉アイスアリーナにてサイニチホールディングス杯(サイニチ杯)が行われた。明大からはシニア男子に磯和大智(営1=京都両洋)が、ジュニア男子に周藤集(政経1=ID学園)が、シニア女子に江川マリア(政経4=香椎)、山﨑舞美(商2=釧路湖陵)、奥野友莉菜(商1=駒場学園)が出場した。磯和、周藤、奥野は明大入学後初の実戦となった。

◆5・4〜5 サイニチホールディングス杯(埼玉アイスアリーナ)
▼シニア男子

▼ジュニア男子

▼シニア女子

 「大学が始まって、新しい環境にまだ慣れていなくて、その中では精一杯できたかなと思う」(磯和)。シニア男子で優勝を収めた磯和は笑顔で振り返った。大学入学後初の実戦は、今後に弾みをつける一戦となった。「先シーズンのラストの試合で全ミスをしてしまって、経験を積みたいと思って参加した」と、2月に行われた知事賞争奪愛知県フィギュアスケート選手権(知事杯)での悔しさをバネに練習に挑んできた。「6分間練習では決まっていたが、やはりまだ調整しきれてなくて。ミスが目立った」。冒頭、4回転トーループは惜しくも転倒。その後のトリプルアクセルも転倒とミスが続き、苦しい展開となるも、その後は幅のあるダブルアクセルやロックな曲調に合わせたキレのある踊りを披露した。また、演技終盤のコンビネーションスピンでは、最高難度のレベル4を獲得し、得点は前大会の知事杯から17点アップ。「先シーズンまでジュニアだったので、シニアになって演技時間が30秒増えたということで、演技もきつかった。今日もそんなに余裕を持って演技ができなかったが、最後まで滑り切ることができたというのが成長かなと思う」と、シニア男子部門で優勝を収め、確かな手応えを感じた一戦となった。

(写真:演技中の周藤)

 ジュニア男子に出場した周藤が披露したのは『The Bells of Notre Dame』。プライベートでも仲の良い先輩である三浦佳生(政経2=目黒日大)が中学生の頃に演じたプログラムと同じ曲を「すごく印象的で、4回転サルコーと4回転トーループを2本入れて成功させたり、すごくかっこよかったので」と選曲した。冒頭のジャンプは当初4回転サルコーを予定していたが「練習の段階からまだあまり成功率が高くなかった」と3回転に。続くコンビネーションジャンプとトリプルアクセルはしっかりと着氷に成功したものの、後半ではスタミナ不足から転倒が相次ぎ、最後のコンビネーションジャンプはまさかのノーカウントとなってしまう。「試合でやってはいけないミスをたくさんしてしまった」と点数は伸び悩んだ。完璧な演技を披露することは叶わなかったが3位に入賞し、大学生となってから初の舞台でこれからの活躍を予感させた。

(写真:2位につけた江川)

 大学ラストイヤーとなる江川は、昨シーズンから継続となるプログラム『Turandot』を披露した。1、2本目のジャンプは着氷が乱れたものの、中盤のコンビネーションジャンプはしっかりと加点を獲得する。スピン、ステップも確実にレベル4評価を得て、安定感のある演技を見せつけた。滑りこなしてきたプログラムで音楽の世界観を表現、110.49点で2位に立った。

(写真:豊かな表現力を発揮した奥野)

 ルーキーの奥野も昨シーズンのFSである『The PHANTOM of the OPERA』を披露。「調子が良かったので、今日こそは行けるかなと思って強気で挑んだ」と悔しさをバネに練習を重ねた。冒頭の3回転ルッツで転倒してしまったほか、続く2回転アクセルも抜けてしまうなど、課題であるジャンプでミスが目立った。それでも「結構滑るリンクで、あまり押さなくても滑ることができた」と持ち味の伸びのあるスケーティングでは実力を発揮する。リンクを広く使ったダイナミックな演技で物語の『光と闇』を表現した。「表現の部分であったりは結構頑張ったつもりではあったので、そこがしっかり点数に出たかなと思う」。大学入学後初の実戦で見事4位に入賞した。

(写真:印象的な衣装に身を包んだ山﨑)

 「昨年はフリーを滑る機会が少なく、滑りこなせなかった部分があった」と継続を決めた『SAYURI』。この曲で「もっと大学生らしい、シニアらしい滑りにしていきたい」と語りった山﨑は自身でデザインしたこだわりの衣装に身を包み、演技に臨んだ。「初めて滑るリンクで6分間練習だけでは氷の感触がつかめなかった」と冒頭の3回転サルコーでミスが生まれると、続く3回転フリップも両足着氷となってしまう。しかし中盤には感覚を取り戻し、最後のコンビネーションジャンプも成功させる。スピンでもレベルを拾い上げ、73.57点で9位に入った。「(あまり状態が良くない中で)とりあえず練習通りか、少し練習以上のことができたので、良い試合になった」と来たるシーズンに向けて確かな感触を得た。

 7月に開幕するシーズンに合わせて練習を重ねる選手たち。前哨戦ともいえる今大会では、明大スケート部フィギュア部門のレベルの高さを感じることができた。これからの選手たちの躍動に期待したい。

[髙橋未羽、大島菜央]

試合後のコメント
磯和
――大学に入って1カ月ですが、大学生活とスケートの両立という面ではいかがですか。
 「思っていたより両立できているなとは思うんですけど、やはり大学が楽しくて。少しスケートが…という感じです(笑)」

――明大スケート部フィギュア部門にどのような印象を持っていますか
 「フィギュアスケートがすごく強くて、すごくガチガチした感じでやっているのかなと思っていたんですけど、みんな明るくて元気で、楽しそうにやっていて、ものすごくいいイメージがいっぱいありますね」

周藤
――3位という結果をどのように受け止められましたか。
 「ジュニアGP(グランプリ)シリーズなどに出場している太翔(西野太翔・神奈川FSC)や大弥(蛯原大弥・駒場学園高)のようなレベルの高い選手たちと戦った中で、3位という結果は少し悔しい部分もあるので、次の試合ではきちんと練習から追い込んで、まとめた演技をして、いい結果につなげられるようにしたいです」

――大学生活には慣れてきましたか。
 「少しずつ慣れてきました。最初はもう本当に満員電車、朝5時半起きが週に4回1限を取っているので本当にきつくて、満員電車に押されながら慣れなかったんですけど、先輩たちに少し楽単とか教えていただいたおかげで結構慣れてきました」

奥野
――プログラムの継続を決めた理由を教えてください。
 「まだやり残しすぎているというか、先シーズン4回しか滑れなかったので。去年はインターハイとか国体はジュニアのプログラムに戻すという理由で、そこではこのフリーは使えなかったので。全日本選手権でもフリーは進めずだったので、4回しか滑れなかったのが結構心残りだったので、今シーズンも続けることにしました」

――全日本学生氷上競技選手権(インカレ)など今後の大会の目標などはございますか。
 「もちろんインカレには明治大学代表で出場したいなとは思っていて、そこでもしっかり明治大学の代表であるからにはしっかりとした演技をできるようにしたいなと思っています」

山﨑
――衣装はご自分でデザインされているそうですが、こだわりの点について教えてください。
 「着物の衣装は大学生には結構たまにいるんですけど、それでもありきたりなデザインにはしたくなくて。袖の部分で色を切り替えたところと、あとは濃いパキッとした色で動きがはっきり見えるような色を選びました」

――昨年の大学生活はいかがでしたか。
 「とりあえず1年目はなんとか単位も取って、大学の体育会以外の友達や他の競技の友達もできて、スケートも学校生活もすごく充実した1年になったなと思います」