
(34)やっと手にした勝利――梁取慎也/関東大学リーグ戦
春負けて、例年よりも早いスタートを切り練習に励んだものの「夏はチームも何もかも最悪だった」(藤井コーチ)と振り返るように、あっけなく明治の夏は終わった。
やっと掴んだ東洋大戦白星
夏の不安を残したまま迎えた秋の関東大学リーグ戦。日大を下して初戦を白星で飾った明治が次に戦うのは、今まで幾度となく苦しめられてきた東洋大だった。「(東洋に)勝てば勢いに乗れる」と梁取部門主将は、特にこの試合に重点を置いていた。試合は東洋大に先制を許したものの、その後すぐに取り返し、終わってみれば7-3と圧勝。一昨年のリーグ戦決勝以来の勝ち星だった。
「試合中、ベンチでは全員が試合の話をして、俺が率先して声出さなくても皆が声を出していた。こんなの初めてだった」。やっと手にした勝利には、梁取部門主将のずっと求めていた“一丸となったチームの姿”があった。
主将としてのプレッシャー
「(春と夏、負けてからの)キャプテンとしてのプレッシャーはやっぱすごかったと思う」(外崎・政経3)。試合後、ロッカールームで肩を震わせる梁取部門主将の姿があった。「やっと勝った。東洋にはここ最近勝ってなかったし、今日は(悔しい思いをして卒業してった)先輩たちのためにも勝ちたかった」。試合後見せた彼の涙は、主将になってからこれまでの苦労やプレッシャーを物語っているようだった。
試合前日の夜、「慎也さんが3、4年一人一人まわって『絶対気持ちで負けんな!』って言ってたんだよね。それでさらにやらなきゃって思ったんだ。本当キャプテンらしいキャプテンだよ」(坂田・政経3)。代表にも幾度と選ばれ活躍している彼だからこそ感じる“主将としてのプレッシャー”ははかり知れない。しかしそれを感じさせないほどの明るい人柄と人一倍強い責任感があるからこそ、チームメートから絶大な信頼が置かれているのだろう。「DFの俺が得点を取りに行く必要はない。俺はただ前(FW)が安心して攻撃できるように必死で守る。数字としてはついてこなくてもきっとチームの信頼感はついてくるよね」。
4年目の黄色いユニホーム
「まだリーグ戦は始まったばかりだし安心してられない。これからも明治のプライドを懸けて頑張ります!この黄色いユニホームを着れるのも今年で最後だからね」。入学してから変わらない77番の黄色いユニホームに、今年は“梁取らしいキャプテンマーク”がしっかりと付いている。
目指すは優勝、ただ一つ。黄色いユニホームを着た彼の胸にはもうそれしかない。
◆梁取慎也 やなどりしんや 政経4 駒大苫小牧高出 177cm・75kg
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