無冠に終わるも早大破り、有終の美飾る/全日本選手権

1999.01.01
 史上初の女子総合優勝を達成したインカレから、わずか3週間ほどで迎えた今回の全日本選手権。一足先にインカレで引退した4年生男子に続き、4年生女子の大学最後のレースとなった。結果だけを見れば優勝したクルーはなかったものの、随所で光るレースが見られた。
 インカレで納得のいく結果を残せなかった男子は、舵手付きペアが2位と意地を見せた。「1年生に色は何でもいいからメダルを取らせたかった」と嶋田(文3)が同じ艇に乗った1年生の城(商)に熱い思いを込めたこのレース。ミスが響き終盤に日大に離される展開になったが、なんとか2位でゴールし、銀色のメダルを獲得した。レース後、「先輩についていけなかった」と悔し涙を流した城。その涙と強い思いがあれば、今後さらに成長していけるだろう。

雪辱を果たした女子舵手付きクォドルプルクルー

 ずっと目標にしてきた総合優勝をインカレで成し遂げた女子は、4年生のもう一つの目標の達成に挑んだ。それはクォドルプルで宿敵早大を敗ること。4年間挑み続けてきたが、今まで1度も勝つことができていなかった。3種目を制覇した今夏のインカレでさえこの種目では早大に敗れていた。今年のメンバーは女子史上最強との呼び声も高く、そのメンバーで戦う最後の大会となるこの全日本選手権。そして今まで部の中心だった4年生と今後部を担っていく3年生の5人で組まれたこのクルー。最高の舞台に最強の布陣で臨んだこのレースはまれに見る接戦となった。終盤までつかず離れずのレースが続き、いつどの艇が抜け出すか分からない展開の中、ゴール後大きなガッツポーズをしたのは本学だった。しかしこれは優勝したからではなく、早大に勝てたから出たガッツポーズ。そこには順位以上のものがあった。1位から4位までが1秒以内にひしめいたこの大接戦、本学は優勝よりも重要なものを手にした。
 また今回、女子は4年生が下級生とできるだけ同じ艇に乗れるようにクルーを組み、後輩育成の意味合いを強めた。そのため4年生は体力的に厳しい中、全員が2レースに出場。全てを後輩に伝えた。
 
 今大会は優勝した種目は一つもなかったものの、7クルーが最終日まで残り入賞を果たすなど、結果以上のレースを見せてくれた。4年生が引退し男子は今大会から、女子は次の新人戦から3年生が部をけん引する新体制となる。「4年生は本当に偉大だった。でも、同じようにやっていくだけでは追い抜くことはできない。参考にしつつも新しい3年生を見せていきたい」(藤原・法3)と、これから中心となっていく3年生も意気込んでいる。偉大な4年生の持つ技術と思いを受け継ぐ3年生、そしてそれを見て成長する下級生。王者としての道を歩む準備は整った。成熟した力と、フレッシュな若い力を兼ね備えたこの部は、今後さらに強くなり、活躍を見せてくれるに違いない。

4年生のコメント

誰もが頼れる主務、井戸希恵(農4)
「レースは早稲田にクォドルプルで勝てて本当に良かった。勝てたのは全体の結束力があったから。後輩を育てるために考えに考えて臨んだ試合、一緒に乗った3年生の藤原には今後女子主将として部を引っ張っていってほしい。明治は今上り調子だから、このまま王者で居続けていってほしい」。

誰もがうなずくクールビューティー、河津純(文4) 
「全日本は他のクルーが強かったけど、とにかく悔いの残らないレースをしようと思った。4年生女子が全員乗ったエイトは、4年間の集大成として思い出になった。楽しかった!インカレでは女子総合優勝もできたし、明治には感謝の気持ちでいっぱいです」。

誰もが認めるマサオこと、川野真由美(営4)
「前まではただ優勝を目指すだけだったけど、今回は全力を出して相手に負けない気持ちでやれば、その結果を自然と受け入れられると思っていた。今日のレースは積極的に攻めることができた。最後に早稲田の鼻をへし折れて良かった。レースに関して悔いはない。明治は最高!後輩には自分たちらしさを忘れないで強気でやっていってほしい」。

誰もが笑顔にムードメーカー、財津友美(政経4)
「2本目のレースは考えずに、1本ずつ精一杯やれた。持っている力をすべて出し切れた。早稲田に勝てて本当に嬉しい。自分はクルーを引っ張っていく存在じゃないけど、いつもこのメンバーだから大丈夫だと思えたし4年生の絆を感じた。明治に入って良かった。そして同期に出会えて良かった」。

誰もが仲良くなれる男子マネージャー、佐藤史親(文4)
「引退の実感がまだ湧かない。今日レースの伴走をしながら、自分はどれだけ端艇部に貢献できたのかなと考えていた。半分選手、半分マネージャーの立場だったから、その間に立って橋渡しができればと思っていた。1年の男子マネージャーを入れたし、その立場を確立できたかな。マネージャーには選手同様、日本一のマネージャーを目指してほしい。あとネギの青い部分は料理に使ってね(笑)」。