
(3)新体操に恩返しをしたい/三宅重興
「新体操への招待」第3回は、新体操という競技の中でも一般には知名度が低いとされる「男子新体操」に取り組む、本学体操部の三宅重興(法2)にスポットを当ててみる。
三宅が新体操に出会ったのは中学校2年。始めた当初は「まさか踊りができるとは。何だこれは」という新鮮な印象だった。その後、名門・清風高に入学したものの、待っていたのは厳しい練習環境。清風高では、器械体操部と新体操部は練習場所を共有していたが、優先されたのは器械体操部の方だった。練習時間は限られていたが、三宅は完成度の高い演技を目指し練習を重ねる。その結果、3年次にはインターハイで個人5位入賞を果たし、国内最高峰の大会である全日本選手権にも高校生ながら出場した。
順風満帆と思われた三宅の新体操競技人生。そのさなかに09年国体からの男子新体操休止が決定した。「出場したことのある大会だったし、正直驚いた」とショックを隠せなかった。
新体操に将来が見えないと知った三宅は高校生最後の大会を期に一度引退した。だが「大学に入ってからどこか物足りなさを感じた」ことで再び新体操への熱に火が点いた。そこで考えた末に生まれたのが「世間の人に男子新体操をもっと知ってほしいし明治の学生にも知ってほしい」という決意だ。この言葉に込められていることは「自分がやっていたスポーツである男子新体操が、将来幻のスポーツであってほしくない」という新体操に対する熱い思いだ。
さらなる向上をしないかと強豪・国士大から練習の誘いがあったが「自分を入部させてくれたところで、仲間と一緒に練習したい」と断り、あえて厳しい練習環境に身を置いている。仲間を大切に思うところは人一倍だ。
現在、男子新体操はテレビ等メディアの露出も増え、世間にも認知され始めている。三宅の「世間の人に男子新体操をもっと知ってほしい」という決意が徐々に形となって表れ始めている証明だ。三宅は通常の大会に出場するほかにも、器械体操の選手が出場する大会にエキシビションとして男子新体操を広める活動を行なっている。五輪の競技にないスポーツだが、自分がやっているスポーツの発展のため、三宅はこれからも演技し続ける。
◆三宅重興 みやけしげおき 法2 清風高出 167cm・62kg
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