
日本一決定戦で大奮闘 己と戦う強さ光る/日本選手権
国内最高峰の大会、日本選手権が4日間にわたり開催され、明大から24人が出場した。今大会は7月にシンガポールで行われる世界選手権、ドイツで行われるFISUワールドユニバーシティゲームズの代表選考会も兼ねている。明大から世界選手権内定者は現れなかったものの、多くの選手がハイレベルの予選を耐え抜き、B決勝、決勝で白熱のレースを展開した。なお、FISUワールドユニバーシティゲームズの代表は4月1日に発表される。
◆3・20~23 日本選手権(東京アクアティクスセンター)
◆1日目
▼男子400メートル自由形
3位 田渕 3分49秒27
7位 庭野 3分53秒22
▼女子400メートル自由形
7位 長尾 4分12秒13
▼男子100メートル平泳ぎ
7位 小嶋 1分00秒50
▼女子100メートルバタフライ
8位 木津喜 59秒38
▼男子100メートル背泳ぎ
7位 西村 54秒66
◆2日目
▼男子200メートル自由形
6位 清水 1分48秒43
7位 加藤涼 1分48秒89
▼女子200メートル自由形
4位 長尾 1分59秒85
▼男子200メートルバタフライ
6位 上川畑 1分57秒58
◆3日目
▼男子100メートル自由形
7位 五味 49秒41
▼男子200メートル個人メドレー
5位 渡辺 1分58秒46
7位 加藤涼 1分58秒91
8位 上川畑 2分01秒62
▼男子200メートル平泳ぎ
5位 吉田 2分10秒34
◆4日目
▼男子100メートルバタフライ
4位 五味 51秒69
6位 成嶋 52秒31
▼男子400メートル個人メドレー
5位 田渕 4分14秒07
[1日目]
男子400メートル自由形では、田渕海斗(情コミ4=日大藤沢)が前半から積極的な泳ぎを展開。3位入賞を果たしながらも「少し力んでしまった。調子は悪くなかったので、もう少しいけるかなと思ったが甘かった」と、自己評価と悔しさを吐露。狙っていた47秒台には届かなかったものの「1種目でも決められるように頑張る」と次種目への意欲を見せた。
一方、男子100メートル平泳ぎでは、小嶋壮主将(情コミ3=桐光学園)が自己ベスト更新を決勝の舞台で果たし7位に。大学生トップでワールドユニバーシティゲームズへの切符を狙っていた小嶋は、1位の座を譲ってしまったことに悔しさを見せるも「200、50メートル平泳ぎでも(内定を)狙って頑張る」と力強く語った。
また、男子100メートル背泳ぎに出場した西村優雅(情コミ1=湘南工科大付)は、前半のターン前15メートルに注力し、決勝で7位。「前後半のタイム差を埋めるため、今以上のスピードと持久力が必要」と今後の課題を明かした。
女子400メートル自由形では、長尾佳音主将(営3=武蔵野)が7位に入った。「長野県の高地で酸素の薄い中できついトレーニングをやったのでだいぶ調子はいい感じになっていると思う」と振り返り、本命の200メートル自由形へさらなる好成績への期待を抱かせた。

(写真:決勝に挑む田渕)
[2日目]
200メートル種目で一層の熱戦が繰り広げられた。男子200メートルバタフライでは、川野博大(商1=武南)がB決勝で1位。高地合宿での厳しいトレーニングを経たものの、予想のタイム更新には至らず「自分の調子を合わせる練習がまだ課題」と悔しさをにじませた。
小嶋は、50メートル平泳ぎB決勝で4位に終わった。決勝進出を逃した悔しさを胸に「これからは100、200メートルをメインに、インカレ優勝を狙う」と今後の目標を掲げた。
男子200メートル自由形では、加藤涼(政経1=中京大中京)が決勝7位に。予選で自己ベスト更新を果たし、自信に満ちていたものの、決勝では緊張が影響。翌日のレースに向けて「自己ベスト更新を狙う」と意気込んだ。
そして、女子200メートル自由形では、長尾が4位に入賞。表彰台目前の好タイムを出すも、わずかな差に終わった。「合宿で培った後半の粘りが生きた」と実感しながら、次なるユニバーシアード出場への期待を高めた。
男子200メートルバタフライでは、上川畑英(政経2=桐光学園)が決勝で6位に終わり、涙を流す場面も。12月にベストを出した自身とのギャップに悔しさを隠せなかった。

(写真:自由形を泳ぐ長尾)
[3日目]
明大から最多19人が出場した3日目。女子100メートル自由形では「練習から調子が良かった」という田村真優(営1=目黒日大)がB決勝で自己ベストを更新した。
遠藤渚(理工3=八王子学園八王子)は200メートル背泳ぎ初エントリーにして、B決勝に駒を進めた。今大会、50、100、200メートルと3種目の背泳ぎに出場した遠藤。その中でも「100メートルはケガ等で練習できなかった時期があったが、それでもインカレ時に近いタイムを出せた」と手応えを感じた。大学3年間、毎年自己ベストを更新し続ける彼女のラストイヤーに目が離せない。
「いつもは感じるレース前のワクワクや緊張がまったくなかった」と語ったのは、男子100メートル自由形の五味智信(商4=湘南工科大付)。「メンタルをこの試合に持っていくことができず、心の弱さが出てしまったレースだった」と自由形のエースは7位に沈んだ。
決勝のレースを明大勢が3枠を占めたのは、男子200メートル個人メドレー。渡辺裕太(営2=日大藤沢)、加藤涼、上川畑がそれぞれ5位、7位、8位につけた。渡辺は「最初のバタフライから周囲と競るつもりだった」が遅れをとってしまう。得意とする後半で巻き返しを図るもかなわず苦い表情を見せた。
男子200メートル平泳ぎでは、吉田悠真(農2=春日部共栄)が予選を2位通過。自己ベストを更新する圧巻の泳ぎでガッツポーズを見せた。決勝では幸先の良いスタートを切るも「最後で詰まってしまった」と5位。目標としていたタイムには届かなかったものの、見事大学生トップの座を守り抜いた。

(写真:レース前の五味)
[4日目]
大会最終日は100メートルバタフライで五味、成嶋義徳(政経2=八王子学園八王子)、400メートル個人メドレーで田渕の3人が決勝に進出した。成嶋は「感覚は良かったが、予選からタイムを落としてしまったことと、順位が低いことは納得できない」と悔しさが残る6位。今後はインターナショナル選手標準記録である51秒62を目標に練習に励む。
田渕は世界選手権派遣標準記録を3秒以上上回るも、松下知之(東洋大)を筆頭とする4分1桁秒台の熾烈(しれつ)な内定争いには及ばず、5位となった。

(写真:バタフライを泳ぐ成嶋)
惜しくも明大から世界選手権の代表に内定した選手はいなかったものの、日本最高峰の大舞台で多くの選手がB決勝、決勝で奮闘する姿は、その強さを垣間見せる。
今大会に向け、学校練組はアメリカで厳しい合宿を行ってきた。「(アメリカでの)本当にきつい練習が自信になってベストにつながったと思う」(小嶋)と言うように、大会に至るまでの過程は必ずや彼らの力になるだろう。激しい練習の成果を自信に変え、今後も成長を続ける。
また、昨年度明大を卒業後も佐野秀匡監督の下で練習を積んでいる松山陸(令6商卒)が50メートル背泳ぎで世界選手権への切符を手にした。さらに、4月に明大に入学する成田実生(令7情コミ入学=淑徳巣鴨)は出場した200メートル個人メドレー、400メートル個人メドレー、200メートル背泳ぎの3種目全てで優勝、そして世界選手権内定を獲得し、個人メドレー2種目では高校新記録を更新する偉業を成し遂げた。高校生活最後となる大会を有終の美で終え、これから始まる明大での4年間には「成長と充実の大学生活にする」と笑顔で抱負を語った。4月からは成田をはじめとするルーキーが加わり、明大水泳部は新たな歴史を刻む。
[杉本菜緒、寺井和奏]
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