森本・中野が好調2位 新体制に向け得点力増強へ/全日本学生ウエイトリフティング選抜選手権

 全日本学生新人選手権に引き続き、選抜選手権が開幕した。初日は61キロ級の森本、67キロ級の中野がそれぞれ2位登壇を果たし好発進。109キロ級では辻本がジャークで自己ベストを更新するなど、確かな成長を手にする選手が多く見られた。

◆3・8~9 第21回全日本学生選抜選手権(上尾市スポーツ総合センター)
▼61キロ級
2位 森本(S101 J134 T235)
▼67キロ級
2位 中野(S120 J138 T258)
▼81キロ級
12位 道幸(S114 J123 T237)
▼109キロ級
4位 辻本侑矢マキシム(S128 J155 T283)
8位 新井陽生(S120 J155 T275)
※S…スナッチ、J…ジャーク、T…トータル

 61キロ級には森本凌功(営3=紀北農芸)が出場。スナッチは肩のケガや不調の影響で不安を抱えながらの試技となったが「試合が始まるとスナッチも調子が良くなって、いい流れでいけた」と101キロを記録し2位につける。続くジャークは2本目を失敗したものの、3本目では135キロを見事に挙上。試技後には歓喜の雄たけびをあげ、自身をたたえた。

 中野龍斗(政経2=水島工)はスナッチを全て危なげなく成功させる。「自分のやりたい重量をできた」と、この時点でトップに立った。ジャークでは1本目の130キロを挙上し、136キロに挑むも失敗。2本目の失敗により目標の140キロへの挑戦はかなわなかったが、3本目では自己ベストとなる138キロを挙上し準優勝を果たした。満足とはいかなかったものの2位という結果に対し「うれしい」と素直に喜びの言葉を口にした。

 「今回6本全部成功するのが目標だったのですが、1本目から落としてしまったので、自分の軽い重量でも落としてしまうという弱さが完全に出てしまった」。道幸昌弘(政経2=若狭東)はスナッチの1本目を落としてしまったが、2、3本目は成功させる。ジャークでは3本全てを挙上するも「もっと自信持ってスタートを高い重量でできるぐらいのフォームをこれから身につけていくべき」と次への目標を語った。

 大会が2日目を迎え、重量級の戦いが幕を開けた。この日出場した2人のうち、初めにプラットフォームに上がったのは来年度主将を務める新井陽生(政経3=尼崎工)。引退した上級生から期待する声も上がっていたが、得意のスナッチでは「本当にぼろぼろで、恥ずかしいの一言」と、2本目、3本目を続けて失敗。好記録を残した12月の全日本学生選手権(インカレ)後に抱えたケガが響き、やるせなさに表情を曇らせた。続くジャークでは3本目を取り切れなかったものの、自己ベストに迫る155キロを挙上。自身は辛口評価だったが「(新井には)熱量と、見ている人を引きつける力がある。さらなる力を付け、スナッチ145キロ、ジャーク170キロといった数字が見えてくればと思っている」と、中田健太郎監督からは熱いハートへの評価も伺えた。

 そんな新井が期待を寄せる辻本は、トータル283位を挙上し4位。2本目のスナッチで失敗となるも「自分のフォームでは、(バーベルを)引き上げる瞬間が重要なポイントになる。その引き上げをより意識して取り組めたことが成功につながった」。3本目で調整に成功し、4位につく。続くジャークでは「本当に、よくあれで取れたなというのが率直な感想」と、苦笑いで振り返りながらも自己ベストを更新。舞台上でバランスを崩しながら、最後は粘り強く立て直した。スナッチ、ジャークともに3本目を成功させ、この日のポイントは「自分でしっかりと考え直し、もう一度同じ重量、より重い重量を取れたこと」と、前向きに振り返った。

 5月には、全日本学生個人選手権が開催予定。今年度は2人の選手が表彰台入りを果たしている。「3年生を中心に、根拠は何なのかと、根拠となるような練習内容であったり、目的を明確にすることであったり。それに向けての進捗(しんちょく)スピードなど、達成に向けた速度感で振り返るよう指導している」(中田監督)。〝チーム新井〟の発進に向け、一つ一つ着実に力を蓄えていく。

[松下日軌・塩谷里菜] 

試合後のコメント
森本
――今年度の目標を教えてください。
 「12月の全日本大学対抗戦の引退試合で表彰台に登ることが目標です」

中野
――ジャーク2本目の失敗の原因はございますか。
 「クリーンした後よくくらむのですが、このくらみを直せればもう少し良くなるのかなと思います。あと、プレスアウトも多いので、くらみとプレスアウトを克服できればもっと上で戦えるかなと思います」

道幸
――今大会を通して得た課題や収穫はございますか。
 「(課題は)低重量でも落としてしまうことで、収穫は他の選手を見て自分の体がまだまだ細い(ことです)。フォームだけではなくて泣きたくなるぐらいの練習が必要だなと思いました」

辻本
――今回の大会ではどのような目標設定を行いましたか。
 「まずは、新記録を取ることが一つでした。次に、スナッチはいつも通りのフォームで取り組み、なおかつ成功率を上げるという目標がありました。ジャークは絶対に155キロを取るという気持ちで挑んでいたので、三つのうち成功は一つですね」

新井
――今年度のチームの雰囲気はいかがですか。
 「規律を重んじているのは変わらず、しかもウエイトに対して真摯(しんし)に向き合っていると思います。例えば練習外でも、練習の仕方、体のケア、ストレッチに入念に取り組んでいますし、どうすればウエイトが強くなるか、どうすればうまくなるか、部全体で『今の自分をどうやったら改善できるか』、強くなろうという向上心は、自分が4年間今まで見てきた中で一番強いと思います」

中田監督
――堀口実篤(政経1=宇陀)、根岸蒼空(政経1=藤岡工)が優勝を果たしました。
 「(堀口は)ウエイトが相当好きな方で、まだまだ正直できるなと思っています。競技に対する考え方や知見も、まだ1年生という若手で勉強不足なところは多々ありますが、気力ややる気はすごくありますし、持っているものはいいですから、そこに経験や知見を踏まえることで、これからより伸びるだろうなと思います。(根岸は)スナッチが苦手で、おそらくそのままずっときていると思いますが、それらが徐々に改善されていまして、そこはしっかり応援してあげること。得意のパワーやジャーク、これは他の選手にはないものですので、体を引き締めながら結果を出す。それによってさらに動きが良くなり、重量も上がるかなというふうに思っています」

――2位となった森本は、来年度最上級生となりますが、どのような振る舞いを期待しますか。
 「森本は軽量級ということもありますから、団体戦では起爆剤となる存在です。スナッチで言うと110キロ、ジャークでは140キロ、初日にしっかりと成功させてもらうことで、チームの雰囲気は一気に上がり、大きな貢献になると思っています」