5年ぶりの合宿実施、リーグ戦へ仕上がりは順調

 選手たちの希望で実施された5年ぶりの合宿。それは「ここ数年、ブロック2位で終わっている。上に行くためには同じ練習を続けていたんじゃだめだと思った」(芹澤・文4)からだ。春の集大成として臨んだ関西学大との定期戦は7対34で完敗。昨季の学生王者にその実力をまざまざと見せつけられ、悔しい敗戦を喫した。だが一方でこの試合は、秋のリーグ戦を戦う上で自分たちに足りないものが何であるのかを、選手個人個人があらためて自覚するきっかけももたらしていた。もっと強くなるために何をすればいいのか。その答えの一つが、5年ぶりの合宿の実施だった。

 そんな中で行われた今回の合宿。午前中は基礎体力の強化、午後はヒットとスピードの強化を重視したトレーニングを行い、仲間とともにアメフト漬けの生活に身を置いた。普段は学校生活との両立のため短時間でこなしていた練習メニューを時間をかけてじっくりやることで、各ポジションごとのスキルアップ、個々のレベルアップにも力を注いだ。「アメフトにより集中できる環境、みんなで話し合える環境だった」(カラフチ・営3)。その結果、チームにもより一層の一体感が生まれた。
 
 さらに今回の合宿では「環境の変化への適応力を意識した」(喜代吉・理工3)というように、環境の変化も最大限に活用した。普段練習している八幡山の芝のグラウンドとは違い、合宿所は土のグラウンド。「人工芝のグラウンドよりも足を動かさなければいけなかったから、フットワークの強化になった」(カラフチ)。個人個人が与えられた環境と時間をフルに活用することで、合宿の成果はより大きいものになっている。

 約1カ月後に迫った秋のリーグ戦へ向け、チームはここまで順調に仕上がってきている。「リーグ戦ではQBのリーダーシップを見てほしい。自分がオフェンスを引っ張っていく」(田中(蔵)・政経2)、「“こいつなら何かやってくれる”とみんなが注目するような、相手が怖がるようなジョーカー的な存在になりたい。試合中は(背番号の)29番に注目してほしい」(小谷田・政経2)と気合も十分だ。エースの喜代吉、守護神の芹澤は他校から厳しくマークされることが予想されるが、芹澤は「たとえ相手が3人で来ようと負ける気はしない。自分が絶対に止めてみせる」と自信をのぞかせる。

 勝つために何よりも重要な“チーム力”も、日々の練習や今回の合宿で十分に養ってきた。費やした時間と努力はすべて、クラッシュボウル、そしてその先の甲子園ボウルで勝利を手にするためのもの。「1戦1戦全力で勝ちに行く。みんなで甲子園に行きたい」(小谷田)。合宿で手にした確かな手応えと自信を力に変えて、仲間とともに日本の頂点を目指す。