
佐藤駿 世界選手権代表に初選出「今シーズン一番目標としてきた舞台」/国際大会代表選手発表
佐藤駿(政経3=埼玉栄)が、来年3月24日から30日にかけてアメリカ・ボストンで開催されるISU世界フィギュアスケート選手権代表に選出された。GPファイナル(グランプリファイナル)3位の成績や、日本人選手2位のシーズンベスト記録など〝国際競技力〟が評価され派遣が決定。初めてつかんだ世界最高峰の舞台は、来シーズンのミラノ・コルティナダンぺッツォ冬季五輪(ミラノ五輪)の男子シニア3枠が懸かる重要な大会となる。五輪プレシーズンの集大成、日の丸を背負い世界へ挑む。
2021年の全日本フィギュアスケート選手権(全日本)で負った左肩のケガから復活後、着実な成長曲線を描いてきた。特に今シーズンは、昨シーズンから本格的に力を入れてきたスケーティングや表現面の進化がすさまじかった。〝指先まで意識するように〟という振付師のギヨーム・シゼロンさんの指導を受け、演技の流れが途切れない滑りを追求。
加えてジャンプの安定感も増し、技術面と表現面の両方がかみ合った。多くの試合で270点以上を記録し、中でもGPシリーズ(グランプリシリーズ)中国大会では目標としていたGPシリーズ初優勝を果たす。さらに、2年ぶりの出場を決めたGPファイナルではSP(ショートプログラム)4位からFS(フリースケーティング)で4回転フリップ以外の全ジャンプを成功させて総合3位で表彰台に上った。「練習からノーミスを何回もやってきた。それでもまだやはり本番では出し切れてはいないけど、練習でできているものがある程度試合で出せるようになってきている」と成長を実感している。
SPのジャンプ構成を4回転フリップからルッツへと難易度を上げて挑んだ今シーズン。〝鬼門〟となっていたSPの不安を払しょくする好演技を連発。ISU非公認大会ではあるものの、東京選手権ではいきなり100点超えを果たした。全日本では冒頭の4回転ルッツで転倒し81.90点にとどまったが、FSで果敢に挑んだ4回転フリップは着氷に乱れがあったもののこれまでたびたび記録されていたアテンションがつかないクリーンなジャンプを披露。日々自身のスケートと向き合い、見えた課題を克服するべく研鑽(けんさん)を積んできた。今回の全日本は順位としては7位となったが、より良い滑りを追い求め努力を重ねてきた跡を残したことに変わりはない。「世界選手権は、枠だったり日本男子選手の未来も懸かってくるので、そういったプレッシャーの中でもいい結果が出せるように頑張っていきたい」。懸命に、日本、そして世界の頂を見る準備を整えてきている。
[布袋和音]
代表記者会見のコメント
佐藤
――世界選手権への出場が決まった時の気持ちを教えてください。
「初めて世界選手権に出場することができて、本当にうれしく思っています。全日本選手権で悔しい結果に終わってしまったので、その結果を踏まえて、世界選手権では笑顔で、最後まで全力で滑り切れるように頑張りたいと思っています。そして、枠もかかってくると思うので、自分で枠を取ることと表彰台を目指して頑張っていこうと思います」
――五輪前の世界選手権ということで、世界に示したいアピールポイントを教えてください。
「世界選手権は今シーズン本当に自分が一番目標としてきた舞台ですし、そして同時に一番大事な試合でもあると思うので、そういった舞台で自分が活躍できるように頑張りたいと思っています。そして、自分のアピールポイントとしては高難度ジャンプだと感じているので、自分らしいジャンプができるように頑張っていきたいと思います」
――ミラノ五輪に向けて思いを教えてください。
「ミラノ五輪に向けて、僕はまだ足りない部分がたくさんあると思います。出場することができたならばいい結果を出したいなと思っていますし、目先の試合を一つ一つこなすことが大事なことかなと思っているので、一試合ずつ頑張っていこうかなと思います」
――代表発表の瞬間はどのように過ごしていましたか。
「僕はホテルで一人でいたんですけど、本当に緊張してしまって、携帯をつけては閉じてを繰り返していました。結果が出てからは本当にうれしい気持ちで、ファンの皆さまに本当に心配をおかけしてしまっているかなと思っているんですけど、僕は大丈夫なので、世界選手権でいい演技ができるように頑張っていきたいと思います」
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