(女子)逆境はねのけたS P 住吉が7位、江川が15位/全日本フィギュアスケート選手権

 20日に行われた女子SP(ショートプログラム)。明大からは住吉りをん(商3=駒場学園)、江川マリア(政経3=香椎)の2人が出場した。目標の世界選手権出場へ向け表彰台を狙う住吉は7位、世界大会出場へ向け8位入賞を狙う江川は15位発進となった。

◆12・19〜23 全日本フィギュアスケート選手権(東和薬品RACTABドーム)

 最終滑走で登場した住吉。演技冒頭は「緊張して上半身が思うように動いていないなという感じはあった」とダブルアクセルの着氷時にミスが出てしまう。だが「その後は丁寧に心を込めて滑れた」と序盤のミスにも動じずに対処した。2本目の3回転ルッツと3回転トーループの連続ジャンプを決め流れを取り戻すと、3本目の3回転フリップも着氷。演技中盤からはキレのある力強い滑りを見せ、スピン、ステップは全てレベル4を獲得し技術点では全体4位を記録。指先まで神経を張り巡らせた振り付けで『Un homme qui me plaît』の世界観をつくり上げ、プログラムの完成度の高さを示した。
 「自分のやるべきこと一つ一つというのを目指してやりたい」。後半グループの選手たちが会心の演技を繰り広げ、プレッシャーがかかる中で挑んだS P。逆境の中でも「この試練を乗り越えてやろうというか、逆にチャレンジだと前向きに捉えて臨めた」と強気で演技に入ったことが功を奏した。22日に迎えるF S(フリースケーティング)に向け、弾みをつけて立ち向かっていく。

(写真:情感溢れる演技を披露した江川)

 自身にとって3度目の全日本に挑んだ江川。「一言で今の感情を表すと、本当に悔しいという感じで。 ジャンプを全てそろえられていた中で、スピンに乱れが出てしまい、自分の力を100%出せなかった」と演技後に思わず悔しさをあらわにした。
 S Pは昨シーズンから継続の『River flows in you』。6分間練習でのアクシデントがありながらも、気持ちを切り替え演技に臨んだ。楽曲の優しげな曲調に乗りながら、気品あふれるしなやかな所作がプログラムを彩る。「ステップを重点的に練習してきたので、東日本(選手権)の時よりも大きく伸び伸び滑れたのは良かった」と生き生きとした表情で、観客を魅了した。大会前から自信を持って臨んだジャンプは圧巻だった。冒頭の3回転ルッツを華麗に着氷すると、続く3回転トーループの連続ジャンプも確実に決めた。6分間練習で念入りに確認を行なったダブルアクセルも最後に決め切っただけにスピンでの取りこぼしが痛かった。「F Sはスピンも含めて、しっかり練習してきたこと出せたらいいなと思う」とS P での悔しさを糧にF Sでの巻き返しを誓った。

 両選手、万全な状態での演技とはならなかったが、それぞれが持ち味を出し昨年度からの成長を見せた。大混戦の上位争いを制するのは誰か。女子F Sの演技に注目だ。

[冨川航平]

試合後の囲み取材より
住吉
――2年前、この大阪の同じ舞台で悔しい思いをされたかと思います。会場に入るタイミング、リンクに上がる際はどのような気持ちでしたか。
 「そうですね。1週間くらい前から先に緊張させておくっていう作戦を今回取っていて、それが功を奏したのかあまり緊張しないなっていうふうに思っていたんですけど、自分の出番が始まる前、靴履いた後にやっぱり緊張来たって感じて。でもそれをしっかり声に出してコーチたちに『今緊張来ました』みたいな感じで、外に出すことによって、前と違う心持ちで始められたかなと思います」

――一つ前が島田麻央選手(木下グループ)の演技でしたが、自分に集中する中でも印象に残る選手はいましたか。
 「麻央ちゃんもそうですけど、花織ちゃん(坂本花織選手・シスメックス)や新葉ちゃん(樋口新葉選手=令5商卒・ノエビア)。やっぱり強い選手たち、上の選手たちって本当に自分がやってきたことを信じられる強さがあると思うので、そこが自分にまだ少し足りなかったなっていうのを感じているので、F Sでしっかり自分を信じ切る、そこは見習っていきたいなって思います」

江川
――全日本は今年で3度目になると思いますが、その中でもS Pに思い入れなどはありますか。
 「そうですね。一番初めに出た全日本がここでの全日本だったんですけど、2年前は二つジャンプが抜けて、終わった直後にぼうぜんとしてしまうような演技だったんですけど、そこから今少し成長できたなって実感する部分もあります」

――「全日本の時の感情は毎年違う」とおっしゃっていたと思いますが、今年は今のところどのような感情ですか。
 「そうですね。やっぱり去年とおととし出て、どういう舞台かっていうのは少しずつ知ることができているかなっていうふうに思うので、そういう意味では落ち着いて前よりできる部分もあるかなっていうふうに思います」