府立優勝 グランドスラム達成! 井上メイジこれにて閉幕/全日本学生選手権

2024.12.09

 最強軍団・井上メイジがここに大成した。このチームが始動した際に井上晴陽主将(法4=三井)が目標として掲げた『グランドスラム』。最後の舞台である全日本学生選手権(府立)にグランドスラムが懸かっていた。そんな大一番でも、順調に駒を進める明大拳士たち。決勝戦でも見事に勝ち抜き、目標を果たした。他の追随を許さない強さを見せ、最強軍団としての威厳を示した。

◆12・1 第69回全日本学生選手権(エディオンアリーナ大阪)

▼明大――1位

 昨年度王者かつ、今年度団体戦無敗のチームという最強の肩書を持って臨んだ全日本学生選手権。シード権での出場で、初戦から順当に駒を進めた。初戦で主力の土屋賢生(文3=関西福祉科学大)の離脱もあったが、準決勝まで相手に1勝も渡さず勝ち抜いた。

 しかし、準決勝の関学大戦。3年生以上の選手には、この相手に苦い記憶があった。優勝確実と言われ〝最強の拳法家〟木村柊也(令5文卒・現BRAVE GYM)率いた木村メイジが、同大会で敗北を喫した2年前。打ち負かされた相手こそ、この関学大であった。「少し熱が入ってしまい、視野が狭くなった」(山田健斗・文3=桜丘)。ここまで全試合全勝だったが、初めて相手に先鋒戦で1勝を逃してしまった。先鋒を務めた井上は「一番最初に出て負けて、嫌な流れをつくってしまったかなと思ったが、後ろの6人残ってるメンバーが全力で戦ってチームを勝ちにしてくれた。試合終わった後に土屋兄弟(賢生、泰生・文1=関西福祉科学大)が『負け引きずらんとってください。切り替えて。絶対大丈夫やから。さっきの負け引きずらんとってください』って声を掛けてくれて、そういう言葉に僕は支えられた」と、チームメートに対する心強さを口にした。その言葉通り、後のメンバーが6戦5勝と大奮闘。苦しい記憶を断ち切り、見事決勝戦へと勝ち進んだ。

 迎えた決勝戦は、関大との一戦。準決勝と同じく先鋒での出場となった井上は、先ほどの負けを払拭するかのような戦いぶり。47秒で試合を終わらせ、次鋒の山田太粋(法1=岩槻)へとつなぐ。山田太はルーキーとは思えない落ち着きぶりで冷静にスキを突き、面突きで二本先取した。続く五将・越智通友(営4=明大中野)は今大会技能賞を獲得した内畑谷将(関大)と当たる。残り時間4秒で二本目を取られ、悔しくも1敗。勝敗は三将・土屋賢に委ねられた。長丁場となったこの試合、相手とのにらみ合いの時間が続く中、残り時間19秒で放った胴突きが決まった。その7秒後に二本目を取り勝利。「僕が勝って決まるって感じで、今日スーパーヒーローみたい」(土屋賢)と、明大の優勝を決めた。しかし、勝利は決まっても試合は終わらない。兄のバトンを受け継ぎ、土屋泰が得意の突きで二本先取すると、大将戦・森川征那(文4=三井)へとつないだ。得意とする組みを決め、空打ち。「いろんな人のおかげで自分の組みは成り立っている。相手に対しても、指導者に対しても、感謝の気持ちを持って投げていた」。わずか27秒の試合だったが、森川の組みで二本先取となり、試合が終わった。

 そんな森川だが、最優秀選手賞も受賞。「『絶対に評価されるような試合をやろう』というふうに思っていたし、父にも監督とかにも『みんなの記憶に残るような試合をしてくれ』と言われたので、そのおかげで獲れた」と振り返る。

 府立という最高峰の戦いで優勝したことに加え、今年度すべての団体戦で勝ち抜き、グランドスラム達成。並大抵の強さでは成しえない偉業を果たした。井上メイジは有終の美を飾ったが、強豪〝メイジ〟はこれからも続いていく。この強さという期待、プレッシャーを抱き、次の世代がつくる〝メイジ〟から目が離せない。

[中川美怜]

試合後のコメントは近日公開します