相撲部屋へ出稽古、違う競技に触れることで得たもの/合同稽古

1999.01.01
 18日早朝、足立区にある玉ノ井部屋で、ラグビー部が“出稽古”に参加した。玉ノ井部屋は元大関・栃東を輩出した名門で、出稽古は玉ノ井部屋での栃東親方、そして黒崎コーチが明大中野高で同級生であることがきっかけで実現した。ラグビー部が相撲部屋で稽古することは、きわめて異例のことだ。

 選手たちはまずは四股(しこ)踏み、すり足を行った。慣れない動きに部員たちは困惑している様子だったが、部屋の力士が親身になって教えることで、だんだんさまになっていった。


 そしてぶつかり稽古。しかしグラウンドでは大きく見える重戦車・明治も、土俵の上では力士よりも小さく見える。それでも部員は恐れず、自分たちよりも一回りも大きい力士にぶつかっていった。

 その姿を見て玉ノ井親方も、まるで部屋の力士に指導するように、部員たちへ熱心にそして温かくアドバイスを与える。「手で押さず、足で押せ!」「体を丸くしたほうが力は伝わる」「かかとを上げるな!」……。ぶつかり稽古は1時間にも及び、再度四股(しこ)、すり足、ストレッチをして、午前中に稽古は終わった。


 「明治ラグビー部には体力のある選手が多いのは知っているし、今日の稽古を見れば分かる。しかし相撲で大事な四股(しこ)に代表される、下半身の強さはまだ弱い。ラグビーでもその強さは活きるんじゃないかな」(玉ノ井親方)と、ラグビーとは違う相撲という競技指導者の視点から明大ラグビー部を分析する。

 「大相撲の力士はとても重かった。機会があったらまたやりたい。礼儀面も強くなれる」(杉本(晃)主将・政経4)。体力的な強さだけでなく、礼儀といった“精神面の強さ”の大事さを学べた出稽古になったようだ。

 この日、相撲の稽古を通して、多くのことを学んだはずだ。そしてこれからも違う競技の練習に参加し、さまざまなアプローチでチームの強化にまい進していってほしい。