ビハインドから執念のサドンビクトリー突入もベスト4敗退/全日本大学選手権

 関東学生リーグ戦で5年ぶりの準優勝を果たし、8年ぶりにつかんだ全国への切符。準決勝は8年前にも決勝で対戦し敗れた因縁の相手、関西リーグ1位の関学大との対戦となった。3点ビハインドで迎えた第4Q(クオーター)で同点まで追い付きサドンビクトリーに突入するも、関学大の壁を破れず惜しくも準決勝敗退となった。

◆11・17~12・15 第15回全日本大学選手権(江戸川区陸上競技場他)
▼12・1 準決勝 対関学大戦(たけびしスタジアム京都)
明大7{1―3、1―1、1―2、4―1、0―0、0―0、0―1}8関学大◯

 第1Q開始46秒後に試合は動いた。ディフェンスが空いた正面を抜かれ関学大に先制点を許すと、明大はデンジャラスチェックを立て続けに記録される。関学大に与えたFS(フリーシュート)が決まり1点献上。しかしMD(ミディ)齋藤千暖主将(政経4=新発田)のロングパスをAT(アタッカー)吉田真裕子(農4=菊里)が決め、明大待望の初得点。ラスト80秒、関学大に攻め込まれた明大は空いたゴールの左にシュートを決められ、1―3で第1Qを終えた。「第1Qは相手の勢いにこちらがフォローを出すのが遅くなりゴール前に行かせてしまうことが多かったが、フォローを早く出して連動を回す修正をした」(DF(ディフェンダー)八尾可奈子・政経4=明大中野八王子)とディフェンスを強化した第2Qは序盤、明大にイリーガルコンタクトが出され関学大のFSが決まる。しかしその後は明大ボールが続き、残り時間4分を切ったところで華麗にディフェンスをかわした吉田が再びシュートを決め2点目を獲得。第1Qからの修正が効き、第2Qを最少失点で締め試合は後半戦へ。

(写真:果敢に攻める齋藤)

 第3Qは序盤から関学大に正面からランニングシュートを決められ、スコアは2―5。さらに明大オフェンスにイエローカードが出され関学大に与えたフリーシュートが決まり、点差が広がる。しかし関学大にイエローカードが出され関学大が1人少ない状態になったスキを突き、明大の反撃は始まった。「ブレイク後に得点できたところがターニングポイントになった」(MD竹内晴花・法3=日女大付)。この試合、明大の全得点をもたらした吉田が関学大ディフェンスのファウルで獲得したフリーシュートを決め、3―6と点差を縮めた。追い付かなければ後がない第4Q、斎藤が運んだボールをAT宮田柚希(文3=金沢)が流れるようにゴールに入れ4―6に。その後すぐに関学大に1点を献上するも、「試合後半からは1対1の守りから、ゴール前のエリアを分けて守るゾーンディフェンスに変えた」(八尾)とMDも含む7人がそれぞれエリアをカバーする戦略的な守りが功を奏しゴール付近に相手を寄せ付けない。そしてMD田村葵(農4=大和)がワンバウンドの技ありシュート、さらにゴール裏からディフェンス陣にマークされながらもシュートと二つのシュートを決め6―7と1点差に迫る。ここで関学大のデンジャラステックにより、またもやFSのチャンスに斎藤が挑むと手堅く得点する。最大4点ビハインドだった明大は、この得点で同点まで追い付いた。

(写真:得点時の選手たち)

 試合は先に得点した方が勝利となるサドンビクトリーに突入。明大にゴールの好機が幾度と訪れるも生かせずにサドンビクトリー第1Q、第2Qを終える。勝敗を分けたのはサドンビクトリー第3Q。ドローを拾った関学大がボールをゴール付近に運ぶと、明大がディフェンスした際にこぼれたボールをゴール下にシュート。グラウンドボールの処理が明暗を分け、明大の粘りは届かず悔しくも敗戦となった。

 8年ぶりの全国の舞台となった明大。第4Qで一気に4ゴールと〝4Qの明治〟を全国に知らしめた。「この負けを意味あるものにできるのは来年、この壁を越えることでしかできない」(竹内)とこの試合で引退となる4年生のプレーと涙を胸に刻み、来年こそ日本一を体現すると誓った。

[小松錦葵]

試合後のコメント
井川裕之ヘッドコーチ
――準決勝に向けてどのような声を掛けられましたか。
 「落ちたボールを拾うことと、相手が強いボールを持って走ってくるラン突破があったので相手のランを止めるという2点です。相手のランを止めるのはできていたが、落ちたボールを拾うところの課題が埋め切れなかったと思います。まさに最後、拾われ負けた試合ですね。象徴的に拾われて決められたみたいな終わり方でした」

――今年はどのようなチームでしたか。
 「コロナで一回崩れた基準を元に戻し切れなかったですが、基準を一歩前には進められた感じです。(コロナ禍で)練習量とかミーティング量とか、オフェンスの攻め方の当たり前、技術面での当たり前のレベルが下がっていたので、練習量の基準がかなり上がって明治が強かった頃(2014年~2016年頃)に近い感覚には7割戻ったかなと思います。ビデオミーティングはコロナでなくなっていたので、そこに関しては5割くらいは戻せたかなと思います。そこから失われていた攻め方、守り方の知識、理解は攻め方に関しては7割、ディフェンスに関しては10割戻せたチームでした」

齋藤
――今試合に向けてはどのような目標を立てて挑みましたか。
 「チーム全体では『一番』というテーマを置いていて、それぞれ個人がこれで一番になるというものを体現しようと言っていました。試合に出る選手だけではなく、みんながこれで一番になるというものを決めて、そこに向かって進めた1カ月間だったと思います」

――最後のあいさつで「24明治が大好きでした」と涙を流していたのが印象的でした。今年の1年を振り返っていかがでしたか。
 「始まる時は、それぞれの思いがバラバラで係の仕事などどれ一つを取っても全体でできている感じがあまりなかったです。でも進めていくにつれて一人一人が係、分析、自分のプレーで少しでも成長しようとみんながチームの日本一に向けて、同じベクトルで進んでいるなというのがすごく伝わってきました。今日はその集大成として、チーム一丸となって戦えた一日だったなと思っています」

――自身の4年間を振り返っていかがでしたか。
 「1年生の時は毎日ラクロスが楽しいという中で入って、4年生の先輩がちょうど育成の先輩で、エースみたいな感じの人が自分たちを育成してくれていたので、その選手にすごく憧れてすごく頑張っていました。でもそのうまかった先輩たちが日本一をとれなくて、こんなにうまい人たちでも取れないのか、どれだけ努力したら取れるのだろうと思っていました。頑張ろうと決意をしたのが1年生で2、3年生は自分が実際にリーグ戦にも出させてもらっていて、その中で最後に勝負を決めるのは一つのシュートが決まるか、グラウンドボールを取れるかで個人技術に懸かってくるなと感じて、そこを強化することに注力した4年間でした」

G(ゴーリー)野地咲良(営4=平塚江南)
――後半から出場されましたがチームはどう見えていましたか。
 「自分が代わって入ったのがビハインドで点差3点と結構厳しい状況ではあったのですが、自分の中では後半に強い明治だと思っていましたし、オフェンスも徐々にペースを上げているのを見ていて、この人なら決めてくれる、この形なら絶対に点が入ると仲間を信じていたので点差への焦りは特になく、絶対に大丈夫だろうという気持ちで臨みました」

――このチームを1年間、副将としてどう見ていましたか。
 「一戦一戦成長するのがよく分かるチームというか、今年は特に一戦一戦に集中して前のゲームよりも今回が良かったと言えるように毎回続けて、その通りに試合ごとに成長しているのが見えていたし、やろうと言ったことに対して徹底する力もどんどん付いていったのは、自分が副将というまとめる立場でやっていてチームの仲間が誇らしいなと思いました。仲間を信じるというのはこういうことなのだなと今日のゲームをやっていて思いました」

八尾
――敗因としてはどのように考えていますか。
 「まずはオフェンスで時間を取れたのに対して、そこで決め切れなかった最後の決定力の弱さが一つあるかなと思うのと、ディフェンスに関しては最後にダウンボールさせるところまではいけていたので、そこのグラウンドボールに対しての反応の速さと、最後にそこを取り切る執念の強さが少し負けてしまったかなと思います」

――後輩に残したい言葉はありますか。
 「結局最後、グラウンドボールを取られたりシュートを決めきれなかったり、ラクロスの勝敗を分けるのはそこだと思うので、そこを後輩たちには強くなってもらって来年は日本一になってほしいです」

竹内
――結果としては負けとなりましたが、収穫と捉えられる部分はありましたか。
 「負けてしまって本当に悔しいですが、一つのグラウンドボールで取り切れないとか、シュートを決め切れないとか、シュートを打てるシーンなのに打たないとか、有利のときはこう攻めようとか、当たり前の基準として自分たちが大事にしたいと掲げて取り組んできた部分が分かっていたつもりだったし、絶対にそこをやろうと思っていましたが(その大切さが)より身に染みて分かりました。このフィールドに立ったメンバーだけではなくて、スタンドの選手もみんな、ここが取れてれば勝てたなと思うシーンが実感として刻み込まれたと思うので来年のチームをつくる上で全員が本気で勝ち切りたいと思える試合になったところが収穫です」

(写真:「やっぱり明治がナンバー1!」と声をそろえた試合後の選手たち)