
狂気と天才は紙一重――明一
明治一の暴れ馬
「明治一の暴れ馬」。これがいつもコンビを組む斎藤(功・政経1)の明一に対する評価だ。他(た)の部員たちも「やんちゃ」「我が強い」「暴れまわる」と口をそろえる。厩舎(きゅうしゃ)にいると前を通る人間にかみつき、放牧中には部員の額をけった武勇伝を持つ。「人間が要求することを受け入れてくれないし、怒ったら馬装さえさせてくれない」(斎藤・功)というほどの激しい気性の持ち主だ。
そんな暴れ馬に懐いてもらうため、斎藤(功)が思いついた秘策――それは、お菓子をあげること。「馬用のクッキー、角砂糖などをあげたらだいぶ懐いてきた」(斎藤・功)と計画は成功したようにみえた。しかし、「ちょっかいを出したらすぐにかみつかれた」(斎藤・功)というように、やはり一筋縄ではいかないようだ。
たぐいまれな才能
だが、そんな明一も競技になればこの上なく頼りがいのあるパートナーに変身する。斎藤(功)も「障害の飛越に関しては天才」と相棒には脱帽だ。いったん障害を飛び始めれば落下することはない。競走馬上がりなので足も速く、10歳という若さがもたらす元気な体も明一の強みだ。
障害飛越に関して問題はないという明一。そんな彼に残された課題は、人間の指示にパッと反応するように理解させること、そして競技中に障害の前で立ち止まらないようにすること。だが、その課題も「馬が止まるのは乗ってる方に原因がある。だからもっと馬に信頼してもらわなきゃいけない」(斎藤・功)の言葉通り、人馬一体の努力で克服してくれることだろう。
栄光目指して
これまでに明大馬術部に数々のタイトルをもたらしてきた明一。昨年は北島元主将(平20政経卒)を背に、全日本ジュニア障害馬術大会、全日本学生馬術選手権大会を制した。現在、少し足に腫れが見られるものの、大会出場には全く問題はない。パートナーの斎藤(功)も「これだけの馬なので、成績を残さなきゃいけない。いい馬に乗っているという自信は強みになる」と自信をのぞかせる。新たなパートナーである斎藤(功)と息の合った活躍で、今年も明大馬術部に大きな勲章をもたらしてくれるはずだ。
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