大会後インタビュー① 中本凜主将/全日本学生大会

2024.11.26

 第62代主将として部を率いてきた中本凜主将(政経4=姫路商)。部員に寄り添って共に強くなる、といったリーダーシップをとり、見事に全日本学生大会(全日本)で総合準優勝に導いた。主将としての歩みと、自身の演武面についてもうかがった。

(このインタビューは11月10日に電話で行われたものです)

――明大少林寺拳法部に入部する前は、どのような印象を持っていましたか。
 「高校生の頃から、明治大学のユーチューブで大会の演武動画を見ていることが多くて、明治の少林寺は本当にすごい人ばかりが集まっている、レジェンドばかりの集団で、自分はその中でやっていけるのだろうかという不安と、その中に自分も入らせてもらえるんだといううれしさと、楽しみと、いろいろな気持ちでいました」

――コロナ禍での入部となりましたが、それによる苦労などはありましたか。
 「入学して初めの関東学生大会が、コロナの影響で前日に中止が決定しました。自分のデビュー戦である大会がなくなってしまったのですが、当時組んでいただいた2年生の先輩に『大会はなくなったけど、ここまですごく成長できたよ』と言っていただけました。その大会がなくなったことで演武発表を兼ねて、部内大会も開催していただいて、その中でも先輩たちのすごさを見せつけられるような結果になりました。コロナだからこそ部内でより一層頑張れましたし、入部して早々に改めて『このすごい先輩方についていけるんだ』と思えるきっかけになったことが、特に印象に残っています」

――4年間続けてきて、苦しかった時期はありますか。
 「1年生の頃の全日本は先輩に引っ張っていただいて、優勝させていただくことができましたが、2年生以降はほとんど1番を取ることができませんでした。そこで『どうして取れないのだろう』とか『自分にあと何が足りていないのか』をすごくたくさん考えました。練習で実力的には成長できているな、と毎回感じていたんですけれども、本番にすごく弱くて、どうしても失敗してしまうことが結構あって。大会がすごく怖く感じてしまうことが、自分の中で大きな壁になっていました。2年生、3年生と、1度大会で失敗してしまってから、トラウマになってしまってそれが続くようになってしまったのですが、3年生の大会の中では、しっかり1本集中してやり切ることができて、1番を取れた大会もあって少し安心できたこともあります。これまでの期間で、明治の看板を背負って出るからこその、大会に対してのプレッシャーをすごく感じてきたことが、自分の中では『どうしてできないんだ』という葛藤の経験でした」

――主将として心がけてきたことを教えてください。
 「まずは、部員一人一人と話をする時間を作らせていただきました。時期によってはモチベーションが下がってしまうような部員も見受けられたのですが、自分が主将としてやっていくと考えたときに、誰のことも否定はしないこと、同じ目線で考えるということを私は意識していこうと思っていました。なのでモチベーションが下がっている部員には、どうして下がっているのかということと、部活をするにあたって何を目標にしているのかを整理して。今(モチベーションが)下がってしまっているなら、どうやったら一緒にここからもっと頑張っていけるかな、ということを部員との面談で一緒に考えていくようにしました。そこから徐々に、後輩たちがまた練習に熱を出してくれるようになりました。一人一人の考えていることに寄り添っていけるように、常に後輩たちを見ていくという部分は一番意識して、主将として務めさせていただきました」

――主将としてのやりがいを感じられた場面はありますか。
 「この全日本もそうですし、9月に開催された関東学生新人大会(新人戦)に関しましても、夏のきつい練習を乗り越えた後の新人戦で、1、2年生が出場したほとんどの部門で優勝を取ってきてくれたこと。そしてその新人戦で悔しい思いをした部員が、悔しさをバネに次の日から練習での姿がすごく変わって、この全日本でメダルや表彰状を取ってきてくれたこと。そういった各大会で、日頃から練習を頑張っている部員たちが活躍して『明治は強いんだぞ』という姿を見せてくれたことがすごくうれしかったです。取ってきてくれたメダルや表彰状を見せてくれて『中本先輩、メダルかけさせてください』と言ってかけてくれたり『先輩のおかげで(メダルや表彰状を)取れました』と言って一緒に写真を撮ってくれたりもしました。後輩たちが頑張った成果を発揮して、その成果を持って笑顔で帰ってきてくれる。その姿を誰よりも近くで見られたことが一番主将としてのやりがいを感じられたと思います」

――今年度の練習改革はどのようなことを行ってきましたか。
 「上級生で相談して、個々の課題を解決していくためにはどのようなメニューを組んでいけばいいのか、今までのメニューからどこを変えれば、みんなが共通するような課題を克服できるのかを時間をかけて見直して、メニューを考えて試行錯誤していきました。今までよりも演武に関しても立合評価法に関しても、効率よく、みんなの基礎につながるような練習メニューを取り入れることが多くありました。自分たちの目標としている演武での1位だけを見るのではなく、試合の方でも成長していくことで、どちらの上達にもつながったのではないかなと思います。あとは基本の面でも演武の面でも、個々に寄り添った指導を本年はたくさんできたと思っております。指導にあたる3、4年生の頑張りと、下級生がその指導に応えて、自分の課題に一つ一つ向き合い克服するために全力で練習してくれた、というようないい循環が起こっていて、相乗効果で各々が成長できたのではないかなと思っております」

――その集大成である全日本の結果を振り返っていかがですか。
 「総合優勝ができなかったことは、すごく悔しくはあります。ただ、人数が決して優勝した大学と比べても多くはない中、各ペアがそれぞれの部門で大活躍を見せてくれました。この1年間のみんなの頑張りが実って準優勝という成績につながって、形に残ったことをすごくうれしく思います。個人の結果としては3位で、最後も1番が取れず悔しい結果に終わってしまいましたが、今回の演武で組んだ田中(夢真・政経3=姫路商)は高校生からずっと一緒に練習してきて『先輩の1番最後の大会は、絶対私が一緒に組みたいです』とずっと言ってくれていた後輩でした。田中は腰がヘルニアになってしまって、絶対に痛いはずなのに、練習中はほとんど痛いと言わずにずっと一緒に練習し続けてきてくれました。本番でも、今までは失敗してしまって『あれがなければな』と悔しく思うこともありましたが、今回の演武に関してはやれるだけのことはやった、とすごく思えました。あとは頑張ってくれた後輩に対してと、ここまで支えてくださった家族や監督、先輩、後輩たちみんなに自分のこの4年間を見せるんだ、というつもりで、今までで一番気持ちをしっかりと込めて、いい演武ができたのではないかなと思っています」

――明大少林寺拳法部の魅力は何だと思いますか。
 「まずは本当に一人一人が輝いている、すごく熱いチームだなと思います。明治大学が目標を置いている『個を伸ばす』部分で、 個性のある部員が多い中でお互いに認め合って、どれだけ辛い練習でも、どれだけ辛い思いをしている部員がいても、みんなで支え合って、また同じ目標に向かって一緒に頑張っていけるチームです。一人一人がそういった温かさを持っていて、チーム全体は熱くて、その結果が大会にも現れるような、本当にすごい団結力を持った、熱いチームであることが魅力かなと思います」

――今後、少林寺拳法はどのように続けていきますか。
 「大学を出てからは、地域の道場に所属することになると思います。社会人になってからも少林寺憲法を続けていく周りの人と一緒に今度はまた、これまでの大学の垣根を超えて、今まであまり関わってこなかったような人たちとも組んで、大会に出場していけたらいいなと思っています。いろいろな人と関わりながら後輩たち、現役部員のサポートもしながら、社会人になっても少林寺拳法を楽しんでいけたらいいなと思っています」

――後輩の皆さんに伝えたいことはありますか。
 「私個人の気持ちとしては、まず『本当にありがとう』とみんなに伝えたいです。あとは、この先、今の3年生の代にバトンが渡っていくにあたって、本当にこの1年はみんなで一緒に乗り越えられた年だと思っているので、今のチームの団結力から、さらに頑張っていってほしいなと思います。どんなことにも自信を持って、自分たちが頑張っていく過程を大切に、仲間を大切に頑張っていってほしいなと思います」

――ありがとうございました。

[春田麻衣]