
王者の壁高く 帝京大に完敗/関東大学対抗戦Aグループ
11月中旬とは思えぬ暑さの下、昨年度王者・帝京大との対戦が秩父宮ラグビー場で行われた。前節、筑波大を完封に抑えたディフェンスは息をひそめ48失点。後半に修正力を見せたものの、エンジンがかかるのが遅く28―48の完敗を喫した。
◆11・17 関東大学対抗戦Aグループ(秩父宮ラグビー場)
▼対帝京大戦
明大28{7ー33、21ー15}48帝京大◯
試合の入りから帝京大ペースだった。キックオフのボールを展開されるといきなり自陣深くまで攻め込まれ窮地に。ファーストスクラムでコラプシングを誘い自陣からの脱出に成功したものの、すぐにボールを奪い返され6分に先制を許した。その後も帝京大の出足の速いディフェンスと素早いアタックのテンポに苦しみペースを握れないまま失点を重ねる。「プレッシャーをかけないと、今日の試合みたいな感じで早いテンポで出されてディフェンスがセットできない」(フッカー西野帆平・文3=東福岡)。前半唯一の得点は32分。敵陣22メートル付近のラインアウトからショートフェーズを重ねるとBKが展開。右センター秋濱悠太(商4=桐蔭学園)がギャップを突きブレークするとパスを受けた右ウイング白井瑛人(商1=桐蔭学園)が左中間に飛び込んだ。「秋濱さんが抜けて、あとはもらって置くだけだった」(白井)。しかしその後も明大は2トライを献上し7―33で前半を折り返す。
後半は明大が修正力を見せた。「何をするべきなのか意思統一ができていなかったので、もっとシンプルにやってきたことをやろう(とハーフタイムに話した)」(木戸大士郎主将・文4=常翔学園)。明大が得点したのは後半9分だった。白井が20メートル付近でボールを受け取ると、タックルを二つ外し、最後は受けながらも前に出てグラウンディング。圧巻の個人技で今試合2トライ目、対抗戦11トライ目を決めた。「点差をつけられて明治としても終われないので、明治のプライドを体現できて良かった」(白井)。その後帝京大に失点を許し、一進一退の攻防を続ける中18分、ラインアウトモールから展開するとフルバック金昂平(政経4=大阪朝鮮)が外にステップを織り交ぜランニングし、そのままインゴールまで持っていった。「モールを止められてからのアタックで、BK同士の勝負は自信があったし、敵陣深くで絶対に取って帰りたいという自分の気持ちもあった」(金昂)。そして最後はFWが重戦車の意地を見せた。ノータイム、ゴールライン目前でのスクラムは帝京大ボール。帝京大がボールをキープすればそのままノーサイドの局面で明大がコラプシングを誘うと、その後のラインアウトモールも押し込み途中出場の金勇哲(営4=大阪朝鮮)がトライを決めた。最終スコアは28―48で明大の完敗。だが完敗を告げるホイッスルは大歓声の中鳴り響いた。
見事な修正力を見せたものの、試合は前半で決していた。しかし後半だけに着目すれば帝京大相手に21―15の明大リードであり、この力を前半から発揮することができれば次節の早明戦勝利、そして『奪還』も決して不可能ではないだろう。「後半あれだけしんどい場面で、あれだけのラグビーができるってことは、前半からもっとできる」(左プロップ檜山蒼介・情コミ2=尾道)。木戸組のシーズンはまだ終わっていない。今日の涙を糧に木戸組はさらに〝前へ〟と進めるはずだ。
[佐藤比呂]
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